小説の設定はどう書く?読者に自然に伝える3つの方法

小説の設定はどう書く?読者に自然に伝える3つの方法

記事
小説
小説の設定は、作るだけでは読者に伝わらない。大切なのは、設定を物語の中でどのように見せるかである。
この記事では、私が意識している、
1. 会話の中で描く
2. 行動で描く
3. 少しずつ描く
という3つの方法を、例文とともに紹介する。

設定は、すべて出さなくても良い

小説の設定とは、世界観・時代背景・社会構造・登場人物の過去や関係性など、物語の下地となる情報である。
作者は、その物語について多くのことを知っている。しかし、それをすべて本文で説明する必要はない。むしろ、すべての設定を伝えようとすると、物語よりも説明ばかりになってしまうことがある。
そこで私は、設定を説明するのではなく、物語の中で見せることを意識している。
設定を自然に伝える3つの方法
① 会話の中で描く
キャラクターの台詞の中に、設定の一部を含ませる方法である。
例えば「また魔術試験か……今年こそは通りたい」という台詞があれば、
 魔術が存在する
 試験制度がある
 この人物は以前にも受験している
といった情報を、説明文を使わずに伝えることができる。
② 行動で描く
キャラクターの動作や反応から、設定を見せる方法である。
例えば「銃声に反応して、彼はすぐ身を伏せた」という描写があれば、その人物が銃声に慣れていることや、過去に何らかの経験があることを想像できる。
設定を直接説明せず、キャラクターの行動から読者に感じてもらう方法である。
③ 少しずつ描く
設定を一度にすべて出さず、物語の進行に合わせて分けて伝える方法である。
作者が設定を作った順番と、読者が知る必要のある順番は同じとは限らない。その場面を理解するために必要な情報を、その都度出していく。
私は「準備した順」ではなく「必要な順」に設定を出すことを意識している。

地の文・会話・行動をどう使い分けるか

設定を伝える方法は、会話や行動だけではない。地の文で説明した方が、短く正確に伝わる場合もある。
重要なのは、地の文か会話かではなく、その情報を今ここで出す必要があるのかを考えることである。
 正確に伝えたい情報は地の文。
 人物の考え方や関係性と一緒に見せたいなら会話。
 その瞬間の思いを感じさせたいなら行動。
そして、今すぐ必要のない情報なら、後の場面まで出さない。設定の内容や物語のテンポに合わせて、使い分ければよいと考えている。

例文で見る設定描写

本項では、実際に物語設定を描いていきたいと思う。まずは、以下の設定と例文①を見ていただきたい。

◆設定
主人公:田中太郎(高校1年生)
時期:9月
場所:教室
状況:文化祭の話し合い
他キャラクター:鈴木裕子、北村武

例文①:設定を文章にしてみる
田中太郎は高校一年生。只今、10月に開催される文化祭の実行委員をするために、教室でメンバー2人(鈴木裕子、北村武)と話し合いをしている。

上記では物語設定を2文に分けて記載している。これでも、しっかり伝わるがどこか殺風景に感じる人もいるかもしれない。
では、上記を踏まえて『①会話の中で描く』を実践してみよう。

例文②:設定を会話で描いてみる
田中太郎は教室で話し合いをしている。
「10月の文化祭、どんな出し物にする?」
 田中はそう聞くと、鈴木裕子が、
「高1なんだし、展示とかでいいんじゃない」
 と言葉にする。すると北村武が、
「えー、それじゃあつまんないじゃん」
 と言い放つのだった。

例文②は、例文①をキャラクターの会話で描写したものである。すると、各種設定だけではなく、キャラクターの雰囲気や文化祭に対するスタンスも伝わるのではないだろうか。
しかしながら、冒頭の文章が少し端的に見えるかもしれない。そこで、『② 行動で描く』を加えてみよう。

例文③:設定を行動で描いてみる
田中太郎は黒板の前に立ち、正面の二人に話しかける。
「10月の文化祭、どんな出し物にする?」
 田中はそう聞くと、鈴木裕子が、
「高1なんだし、展示とかでいいんじゃない」
 と言葉にする。すると北村武が、
「えー、それじゃあつまんないじゃん」
 と言い放つのだった。

例文③では、例文②における『田中太郎は教室で話し合いをしている』という文章を、田中の行動『黒板の前に立ち、正面の二人に話しかける』に置き換えてみた。
すると、彼らが教室にいることはさることながら、キャラクターの位置関係や、関係性が垣間見えるかもしれない。では、最後に『③ 少しずつ描く』を加えて完成させたい。

例文④:設定を少しずつ描いてみる
田中太郎は黒板の前に立ち、正面の二人に話しかける。
「どんな出し物にする?」
 田中はそう聞くと、鈴木裕子が、
「高1なんだし、展示とかでいいんじゃない」
 と言葉にする。すると北村武が、
「えー、まだ時間があるし、もっと面白いことをやろうよ」
 と言い放つ。すると鈴木が彼に睨みを利かせて言う。
「北村君。文化祭、いつか知ってるの?」
 しかし北村は、
「え?10月でしょ?」
 と、あっけらかんと答えるのだった。

例文④では、田中の冒頭のセリフ「10月の文化祭、どんな出し物にする?」を分解して、会話に含ませていることが分かる。
すると、田中の説明臭いセリフがスッキリして、他のキャラクターもより際立つように映るかもしれない。
このように、設定描写はただ文章で書くだけではなく、会話や行動、そして登場させるタイミングを考えることで、自然と伝えられると期待できるだろう。

まとめ

小説の設定は、作った内容をそのまま説明すればよいわけではない。
私は、設定を本文へ入れる時に、
1. 会話の中で描く
2. 行動で描く
3. 少しずつ描く
という3つを意識している。
大切なのは、作者が知っている設定をすべて伝えることではなく、その場面で読者に必要な情報を、物語の流れを止めずに見せることである。
設定の見せ方は一つではない。地の文、会話、行動を使い分けながら、自分の物語に合った伝え方を探していけばよい。
以上

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