開業の準備をしていると、宿泊者名簿のことは後回しになりがちです。
物件、消防、保健所、内装、写真。やることが多すぎて、名簿は「あとで様式を探せばいい」になる。
私もそうでした。実際に困ったのは、開業してしばらく経ってからです。
旅館業と民泊で、項目が違う
まずここでつまずきました。ネットで出てくる様式をそのまま使おうとすると、自分の宿に合っていないことがあります。
旅館業(旅館・ホテル営業、簡易宿所営業)
氏名/住所/連絡先
住宅宿泊事業(いわゆる民泊)
氏名/住所/職業/宿泊日
「職業」は民泊の方にあって、旅館業にはありません。
逆に旅館業は、2023年の法改正で「職業」が「連絡先」に変わりました。
つまり、古い様式をそのまま印刷して使っていると、今の要件とズレたまま何年も運用していることになります。開業前に気づけるかどうかで、あとの手間がかなり変わります。
外国のお客様で迷うのは「国籍」ではない
もうひとつ、現場で迷いやすいのがここです。
パスポートの確認が必要になる分かれ道は、国籍ではありません。
日本国内に住所があるかどうかです。
日本に住んでいる外国籍のお客様は、国内のお客様と同じ扱いで構いません。
一方、日本国内に住所がない方には、国籍と旅券番号の記載に加えて、旅券の提示をお願いし、その写しを名簿とともに保存することになっています。
これを国籍で判断してしまうと、必要のない確認をお願いすることになりますし、逆に必要な確認が抜けることもあります。
スタッフに任せる場合は、ここだけは紙に書いて渡しておいた方がいいと思います。「国籍ではなく住所を見る」の一行で足ります。
3年保存は、3年後に誰も覚えていない
名簿は作成した日から3年間の保存が必要です。
問題は3年後です。
いつ作ったどの名簿が、いつ捨てていいのか。紙の束を前にして分からなくなります。
うちは、記入日を入れると廃棄予定日が自動で出るようにしました。
人が覚えておく前提の仕組みは、だいたい続きません。
自治体で運用が違います
ここまで書いたのは国の要件です。
細かい様式や運用は自治体で異なりますし、独自の様式を指定している場合もあります。
最終的には、管轄の保健所(民泊は届出先の自治体)に確認してください。
私が開業準備のときに一番ほしかったのは、「まず何を確認すればいいか」が分かる状態でした。
この記事がその代わりになれば幸いです。
いざ開業準備となると、宿泊者名簿、外国人宿泊者への案内文、スタッフ向けの確認手順をゼロから調べて作るのは時間がかかります。
その手間を減らしたい方向けに、旅館業・民泊それぞれの実務で使えるExcel一式をまとめています。
自治体ごとの運用確認は必要ですが、ゼロから作る時間を減らして、現場で使える形から始められます。