民泊(住宅宿泊事業)・旅館業・特区民泊では、宿泊者名簿の作成と保存が法律で義務付けられています。ただし、何を書けば足りるかは営業形態と自治体によって違います。さらに2023年以降、項目の改正が続いています。
「紙の名簿のままでいいのか」「Googleフォームで作ったけれど項目は足りているのか」と迷っている方向けに、公的資料をもとに整理しました。
■1. 営業形態ごとの必須項目(国のルール)
【住宅宿泊事業(いわゆる民泊新法)】
全員:氏名・住所・職業・宿泊日
日本に住所のない外国人:+国籍・旅券番号
【旅館業(簡易宿所・ホテル・旅館)】
全員:氏名・住所・連絡先
日本に住所のない外国人:+国籍・旅券番号
【特区民泊】
全員:氏名・住所・連絡先・滞在期間
日本に住所のない外国人:+国籍・旅券番号
・旅館業と特区民泊は、2023年12月13日の改正で「職業」が削除され、「連絡先」が追加されました。住宅宿泊事業は「職業」が残っています。古いテンプレートを使い回すと、旅館業なのに連絡先欄がない、という漏れが起きます。
・日本に住所のない外国人は、旅券(パスポート)の写しを名簿と一緒に保存します。写しがあれば、氏名・国籍・旅券番号の記載に代えられます。
・保存期間は作成日から3年間です。
■2. 自治体が上乗せしている項目(例)
国の項目に加えて、自治体が独自に記載を求めている項目があります。
・東京都江東区(旅館業):氏名・住所・連絡先に加えて、年齢・前泊地・行先地・到着日時・出発日時・室名(2026年10月時点の区ページ記載)。
・東京都港区(旅館業):2026年5月1日施行の細則改正で、区長が必要と認める事項が「年齢、前泊地、行先地、到着日時、出発日時及び室名」から「年齢、到着年月日、出発年月日及び室名」に変わりました(前泊地・行先地が削除)。
・江東区は2026年7月1日施行の条例改正で、宿泊者へ遵守事項と施設の使い方を書面で事前に説明することも求めています。
隣接する区でも、項目が足されたり削られたりしています。「ネットで拾ったテンプレート=自分の自治体でOK」とは限りません。必ず所管の保健所の最新資料と照らし合わせてください。
■3. 起きがちな「記載漏れ」
大阪府などの自治体は、事業者向けに名簿の正確な記載の徹底を繰り返し呼びかけています。起きがちな漏れは次のとおりです。
・代表者しか書いておらず、同行者全員分がない
・外国人ゲストの旅券番号はあるが、写しを保存していない
・紙やチャットで集めた情報が散らばり、3年分をすぐに出せない
■4. オンラインフォームにするときのチェックポイント
チェックイン前にゲストのスマホで入力してもらうオンライン名簿は便利です。ただし次の点は確認してください。
1) 宿泊者全員分を入力できるか(人数に応じて入力欄が増えるか)
2) 日本人と外国人で必要な項目を出し分けられるか(日本人に旅券番号を求めない)
3) パスポート画像をアップロードできるか
4) 3年間保存できる容量があるか(無料プランは上限に注意)
5) CSVで出力でき、立入検査や定期報告ですぐに出せるか
6) 中国本土のゲストが開けるか。Googleのサービスは中国本土から原則として利用できません。Googleフォームで作った名簿は、中国からのゲストが入力できないことがあります。
■5. 自分で作るのが大変な方へ
上の条件をすべて満たすフォームを、Zoho Forms(無料から使えるフォームサービス)で作るサービスをココナラで出品しています。
・住宅宿泊事業法・旅館業法の両方に対応。自治体ごとの上乗せ項目もカスタマイズできます
・10名までの宿泊者に対応。日本人の場合は入力不要な項目を自動で非表示にします
・パスポート画像の添付、送信前の確認画面、PDF控えの保存に対応
・CSV出力に対応。Googleドライブへの自動保存オプションもあります(3年保存向け)
「うちの自治体だと何が必要?」というご相談だけでも、メッセージからお気軽にどうぞ。
※本記事は2026年10月時点の公開資料をもとにしています。最終的な判断は、所管の保健所・自治体の指示に従ってください。
参考資料
・大阪府「宿泊者名簿の記載徹底について」
・江東区「旅館業の営業者の遵守事項」
・江東区「旅館業法施行条例等の改正(令和8年7月1日施行)」
・港区「港区旅館業法施行細則の一部改正について(令和8年5月1日施行)」
・大田区「住宅宿泊事業の実施に関する基準」