「昨日は『着替えよう』で動けたのに、今日は何度伝えても始まらない」
同じ言い方をしていると、何を変えればよいのか分からなくなりますよね。
そんなとき、声かけの正解を探し直す前に、昨日と今日の場面を少しだけ見比べてみませんか。
同じ言葉でも、場面は同じとは限りません
声をかけた時刻、直前にしていたこと、周りの様子。
言葉は同じでも、そのときの状況は違うかもしれません。
例えば、昨日は遊びが一区切りついたところ。今日は、作っている物の途中だった。
昨日は着る服が手元にあったけれど、今日は引き出しから選ぶところから始まっていた。
「動かなかった」という結果だけでは、その違いは見えにくいものです。
すぐに「言い方が悪かった」「やる気がない」と決めなくても大丈夫です。
一場面だけ、3つをメモする
毎日の出来事を細かく記録する必要はありません。気になった場面を一つだけ、書ける範囲で残してみてください。
① 直前に何をしていたか
② 何と声をかけたか
③ そのあと、何をしたか
「嫌がった」「集中できなかった」だけでなく、見えた動きを短く書くのがポイントです。
例えば、「着替えようと伝えると、服を一度見てから、積み木を置き続けた」。
気持ちや理由を決めつけず、見えたことだけでかまいません。
うまくいった場面も、一緒に見る
次は、説明のための架空の例です。実際の相談事例ではありません。
【始められた日】
積み木を片づけたあと。「着替えよう」と伝えると、手元に置いたシャツを持った。
【始めにくかった日】
積み木で橋を作っている途中。「着替えよう」と伝えると、橋を指さして「まだ」と言った。
このメモだけで、動きにくかった理由を断定することはできません。
ただ、「言葉をもっと強くする」以外に、遊びが一区切りつくところで声をかけてみる、という次の試し方が見えてきます。
今回は声をかけるタイミングだけを変えてみる。難しければ、いったん戻して別の工夫を考える。それくらい小さな試し方で十分です。
メモは、親子を採点するためではありません
記録は、お子さんを評価したり、保護者の声かけを反省したりするためのものではありません。
「どんなときなら始めやすかったかな」と、一緒に考える材料です。
書くことが負担になる日は、無理に残さなくて大丈夫。
うまくいった場面を一つ思い出すだけでも、次に確かめたいことを整理できます。
相談するときも、原因を説明しきる必要はありません。「この場面ではこうだった」という短いメモがあれば、具体的な場面から話を始められます。
今日は一場面だけ。できなかったことだけでなく、始められたときの様子も見てみませんか。
※この記事は、家庭での様子を整理する一般的な考え方です。行動の原因を特定したり、診断・治療・効果を保証したりするものではありません。