せっかく作った仕組みが、数ヶ月後には誰も使っていない。
自動化の話で一番もったいないのがこれです。
お金も時間もかかっているのに、元の手作業に戻っている。
作る側として、これを防ぐことが仕事の半分だと思っています。
今日は、使われなくなる典型的な3つのパターンと、
その防ぎ方を書きます。
■ 理由1:入力が続かない
自動化といっても、たいていは人が何かを入力するところから始まります。
その入力が続かないと、仕組み全体が止まります。
前回の記事で書いた居酒屋の件が、まさにこれでした。
私が最初に作った管理表は、計算としては正しく動いていました。
でも、閉店後の深夜に、片手で、スマートフォンの縦画面で入力する、
という状況にまったく合っていませんでした。
結果、数日で使われなくなりました。
【防ぎ方】
「誰が、いつ、どんな状況で入力するか」を先に決めます。
朝の忙しい時間なのか、夜の落ち着いた時間なのか。
座っているのか、立ったままなのか。
パソコンの前なのか、現場なのか。
ここが決まると、入力欄の数も、画面の作りも自然に決まります。
逆に、ここを決めずに「必要な項目を全部入れた画面」を作ると、
たいてい使われません。
■ 理由2:壊れたときに、誰も直せない
自動化した仕組みは、いつか必ず止まります。
取り込むファイルの形式が変わった。
連携先のサービスの仕様が変わった。
担当者が変わって、そもそも何が動いているか分からなくなった。
止まったときに直せる人がいないと、
「とりあえず手作業に戻そう」となり、そのまま元に戻ります。
【防ぎ方】
3つあります。
ひとつ目は、エラーが起きたときに気づける形にしておくこと。
黙って止まるのが一番危ない。何が起きたかを、原因つきで知らせます。
ふたつ目は、手順書を残すこと。
作った人しか分からない状態にしないこと。
専門用語を使わず、画面つきで書きます。
三つ目は、「ここまでは自分で直せる」範囲を作ること。
たとえば、対象のファイル名や、条件の数値。
そういうものは、コードを触らなくても画面から変えられるようにしておきます。
■ 理由3:前提が変わったのに、仕組みだけが残る
これが一番やっかいです。
半年前に「毎月この3つの表を集計したい」と言われて作った。
でも今は、その表は2つになっていて、別の項目が増えている。
仕組みは正しく動いています。
でも、今の仕事とは合っていない。
こうなると、動いているのに誰も見なくなります。
【防ぎ方】
最初から、変わる部分と変わらない部分を分けて作ります。
「集計する」という処理は、たぶん何年も変わりません。
でも「何を」「どの条件で」集計するかは、半年で変わります。
変わる部分を設定として外に出しておけば、
仕事が変わったときに、設定を直すだけで済みます。
ここを一体で作ってしまうと、
少し変わっただけで作り直しになります。
■ 3つに共通していること
並べてみると、どれも技術の話ではありません。
・誰が使うか
・止まったとき誰が気づくか
・半年後に何が変わりそうか
全部、作り始める前に決めることです。
自動化の仕事で一番時間をかけるべきなのは、実はここだと思っています。
プログラムを書くこと自体は、その後に来る作業です。
■ 最後に
もし過去に、作ったけれど使われなくなった仕組みがあるなら、
それは無駄ではありません。
なぜ使われなかったかが分かっていれば、
次に作るものは確実に良くなります。
その理由こそが、一番価値のある情報です。
「前に作ってもらったけど、結局使っていない」
そういうお話も歓迎です。
なぜそうなったかを一緒に見るところから始められます。