パソコンを持っていない店主に、売上管理の仕組みを作った話

パソコンを持っていない店主に、売上管理の仕組みを作った話

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IT・テクノロジー
知人が居酒屋をやっています。
売上と経費の管理を何とかしたい、という相談を受けました。

最初に聞いて驚いたのが「パソコンを持っていない」ということでした。
スマートフォンだけで、店の数字を管理したいと。

今日は、そのときに作ったものと、
作る前に一度失敗した話を書きます。


■ 最初に渡したものは、使われませんでした

まず、表計算ソフトで管理表を作りました。

1年分の集計シートと、月ごとのシートが12枚。
日付ごとに、売上、食材費、酒代、雑費、電気代、ガス代、家賃を入力すると、
その日の利益と月の合計が自動で出る。

我ながら、よくできていたと思います。

数日後、「うまく使えなかった」と連絡が来ました。


■ 現場で何が起きていたか

話を聞いて、理由が3つ見えてきました。

ひとつ目は、横スクロールです。

パソコンの画面なら全部の列が見えます。
でもスマートフォンの縦画面では、項目の3つ目くらいから画面の外に消えます。
入力するたびに、指で左右に動かさないといけない。

閉店後の疲れた状態で、これは無理です。

ふたつ目は、セルを探す作業です。

「今日の日付の行はどこか」を毎回スクロールして探す。
1回なら何でもないことが、毎日となると続きません。

三つ目は、項目が多すぎたことです。

家賃や電気代は月に1回しか払いません。
でも毎日の表に列があると、毎日「今日は空欄でいいんだっけ」と考えることになる。

つまり、表として正しくても、
「閉店後、レジ締めのついでに、片手で入力する」
という状況には合っていませんでした。


■ 作り直したもの

スマートフォンのホーム画面から開けるアプリの形にしました。

・横スクロールなし。縦画面だけで完結する
・日付は「‹ ›」で送る。探さなくていい
・毎日入力するのは3〜4項目だけ
・家賃や電気代は「月ぎめ」として別の画面に分けた
・電波がなくても使える(店の奥は電波が入りにくいそうです)

アプリストアを通していないので、年間の費用もかかりません。


■ 細かいところで、いくつか作り直しました

作ってから気づいて直した点をいくつか。

【深夜0時をまたぐ問題】

居酒屋の閉店は深夜です。
0時を過ぎてから入力すると、その日の売上が「翌日」として記録されてしまいます。

深夜0時から5時の間に開いた場合は、前日として扱うようにしました。

【キーボードに「+」がない】

レジを2台使う日があり、2つの数字を足したいことがあります。
ところが、スマートフォンの数字キーボードには「+」がありません。

画面の中に「+」ボタンを置きました。

【保存ボタンを大きくした】

入力した瞬間に自動保存される作りにしていました。
技術的にはそれで十分です。

でも、機械に不慣れな人にとって、
「押していないのに保存されている」状態は不安なのだそうです。

大きな「保存する」ボタンを画面の下に置きました。
押しても押さなくても結果は同じですが、
押せば「保存しました」と出ます。これで安心して使えるようになりました。


■ 一番大事だったこと

技術的に難しいところは、正直あまりありませんでした。

難しかったのは、
「使う人が、どんな状況で、どんな体勢で、何時に使うか」
を想像することでした。

閉店後の深夜。
片手にスマートフォン、もう片手はレジ締めの途中。
明日も朝から仕込みがある。

その状況で使えないものは、どれだけ正しく動いても使われません。
最初に作った表計算のシートが、まさにそれでした。


■ 最後に

「うちのやり方は特殊だから、システム化は無理だと思う」

そう言われることがあります。
でも、特殊なのはたいてい「作業の中身」ではなく「使う状況」の方です。

パソコンがない。時間がない。機械が苦手。
そういう条件は、避けるものではなく、最初から設計に入れるものだと思っています。

お困りの作業があれば、状況ごとお聞かせください。
「こんな環境でも使えるものになりますか」というご相談も歓迎です。
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