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ビジネス・マーケティング
肉の仕入れ価格が上がると、なぜ現場の仕事まで増えるのか
記事
ビジネス・マーケティング
業務解決士★KURU
2026/08/31 15:00
最近、
肉の価格が上がった、
という話をよく聞きます。
農林水産省が公表している
「食品価格動向調査(食肉・鶏卵)」を見ると、
2026年8月の調査では、
鶏もも肉が100gあたり156円。
豚ロース肉が290円。
いずれも高い水準になっています。
もちろん、
これは全国の量販店を対象にした小売価格の調査なので、
飲食店の仕入価格そのものではありません。
ただ、
食材価格を取り巻く環境が厳しくなっていることは、
現場でも感じている人が多いのではないでしょうか。
肉が上がった。
野菜も上がった。
米も高い。
だから、
「原価が上がって大変だ」
という話になります。
それはもちろん、その通りです。
でも、
仕入れの現場を見ていると、
価格が上がることで増えているのは、
原価だけではありません。
実は、
価格が変わるたびに発生する
「仕事」も増えています。
【価格が変わると、やることが増える】
例えば、
今まで1kg 1,000円だった商品が、
1,050円になったとします。
数字だけを見ると、
50円の値上げです。
でも実際の現場では、
数字を書き換えるだけでは終わりません。
新しい価格を確認する。
商品マスタを修正する。
Excelを使っていれば、Excelも直す。
取引先に価格改定を伝える。
必要なら見積書を出し直す。
注文時の価格が合っているか確認する。
納品書の金額を確認する。
請求時にも、もう一度確認する。
一つの価格が変わっただけなのに、
その数字に関係する場所が多ければ、
それだけ仕事も増えていきます。
【飲食店側にも「確認」が増える】
価格改定の影響を受けるのは、
卸業者だけではありません。
飲食店側でも、
「これ、前はいくらだった?」
という確認が増えます。
納品書を見る。
先月の請求書を探す。
Excelを見る。
仕入先から届いたLINEを遡る。
分からなければ担当者に聞く。
一つひとつは、
数分で終わる仕事かもしれません。
でも、
扱っている商品が100種類、200種類とあれば、
話は変わります。
しかも、
すべての商品が同じ日に変わるわけではありません。
今週は鶏肉。
来週は油。
その次は野菜。
少しずつ価格が変わるたびに、
確認する仕事も少しずつ増えていきます。
【本当に困るのは「今いくらなのか」が分からないこと】
仕入価格が上がること自体も、
もちろん大きな問題です。
でも、
現場ではもう一つ困ることがあります。
それは、
「今の価格がどれなのか分からない」
という状態です。
古いExcelには、
以前の価格が残っている。
LINEでは、
新しい価格が送られている。
納品書を見ると、
また少し違う。
担当者に聞けば分かるけれど、
その人がいないと確認できない。
こうなると、
問題は価格そのものではなくなります。
最新の情報がどこにあるのかを、
人が判断しなければならない。
以前の記事でも書きましたが、
情報が散らばると、
入力する仕事よりも、
確認する仕事の方が増えていきます。
価格改定も、
まさにその一つだと思います。
【卸業者側にも同じことが起きている】
卸業者から見ると、
価格改定はさらに複雑です。
同じ商品でも、
取引条件によって価格が違うことがあります。
A店はこの価格。
B店はこの価格。
C店は別の条件。
そして、
価格を変更したら、
それぞれの取引先に伝えなければなりません。
ある店にはLINE。
ある店にはFAX。
ある店には電話。
さらに、
「どうして上がったの?」
「前の価格では難しい?」
「いつから変わるの?」
という問い合わせも入ります。
価格が変わること自体は、
市場環境によるものかもしれません。
でも、
その変化を伝える仕事は、
結局、人が一件ずつやっている。
ここでも、
価格とは別のところで、
人の時間が使われています。
【古い価格が残ると、さらに仕事が増える】
価格変更で厄介なのは、
間違えた時です。
商品マスタは新しい価格。
Excelは古い価格。
見積書も古い価格。
そのまま注文を受けて、
納品書では新しい価格になっている。
すると、
「聞いていた価格と違う」
という確認が発生します。
卸業者が確認する。
飲食店も確認する。
過去のやり取りを探す。
誰がいつ伝えたのか確認する。
必要なら請求書を修正する。
本来なら、
一つの数字を変更するだけだったはずなのに、
情報がずれることで、
何倍もの仕事になります。
【価格高騰そのものは、簡単には止められない】
肉の価格。
野菜の価格。
米の価格。
油の価格。
これらがどう動くかを、
一つの飲食店や卸業者がコントロールすることはできません。
だから、
価格が上がらないようにする、
というのは難しい。
でも、
価格が変わるたびに、
何人もの人が同じ数字を修正する。
何度も同じ価格を確認する。
LINEやFAXを探す。
誰かに聞かないと最新価格が分からない。
こうした仕事まで、
仕方がないものとして受け入れる必要はないと思います。
【価格ではなく「価格変更の流れ」を見る】
仕入価格が上がった時、
どうしても
「いくら上がったのか」
に目が行きます。
もちろん、
それは経営上とても重要です。
ただ、
業務という視点で見るなら、
もう一つ確認してみてもいいと思います。
価格が変わった時、
誰がその情報を受け取っているのか。
どこを書き換えているのか。
誰に伝えているのか。
その後、
何回同じ数字を確認しているのか。
ここを書き出してみると、
意外と多くの人が、
一つの価格変更に関わっていることがあります。
【原価が上がる時代だからこそ、余計な仕事を減らす】
仕入価格が安定している時なら、
多少面倒なやり方でも、
問題にならなかったかもしれません。
でも、
価格変更の頻度が増えるほど、
そのやり方の負担も大きくなります。
原価が上がる。
それに対応する仕事まで増える。
忙しくなる。
確認が遅れる。
さらにミスが出る。
そして、
また確認する仕事が増える。
こうした状態になると、
価格高騰とは別のところでも、
現場の余裕が削られていきます。
価格そのものを下げることは、
簡単ではありません。
でも、
価格が変わるたびに発生している
「探す」
「直す」
「伝える」
「確認する」
という仕事なら、
減らせるものがあるかもしれません。
仕入価格が上がった時こそ、
数字だけを見るのではなく、
その数字が現場の中を
どう流れているのか。
一度そこまで見てみると、
今まで見えていなかった
改善できる仕事が見つかるのではないかと思います。
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