模試でD判定やE判定を見ると、「このままでは間に合わない」「もっと長時間勉強しなければ」と焦るかもしれません。
しかし、判定だけを見ても、明日から数学を増やすべきか、物理・化学を優先すべきかは分かりません。同じD判定でも、数学の時間不足が原因の人と、化学の知識問題を大量に落としている人では、取るべき対策が違うからです。
判定は現在地をまとめた指標として役立ちます。一方で、次の行動を決めるには情報が粗すぎます。
この記事では、難関大理系志望者が模試の成績表と答案から確認したい3つの数字と、それを30日間の計画へ変える方法を説明します。
判定が悪いときほど、勉強時間をすぐ増やさない
模試の結果が悪かった直後は、新しい問題集を買う、数学の勉強を毎日1時間増やす、休日の予定をすべて演習で埋める、といった変更をしたくなります。
ですが、原因を特定せずに量だけ増やすと、効果の低い勉強を30日間続ける可能性があります。
例えば、数学で大問2題が白紙だったとしても、原因には次の違いがあります。
- 典型解法を知らず、方針を立てられなかった
- 方針は正しかったが、計算ミスで完答できなかった
- 前半の問題に時間を使い、問題文を読む時間が残らなかった
- 単元自体が未習または未定着だった
必要なのは「判定を一段上げる」という曖昧な目標ではありません。「どの失点を、どの勉強で、何点回収するか」まで分解することです。
数字1:合格目標点との差
最初に見るのは偏差値ではなく、志望校で必要になる得点と現在の得点との差です。
ここで注意したいのは、模試の総合点だけを比べないことです。数学・物理・化学など、実際に計画を変更できる単位へ分けます。
例として、ある模試で次の結果だったとします。
- 数学:92点/200点
- 物理:48点/100点
- 化学:61点/100点
仮に当面の目標を数学120点、物理65点、化学70点と置くなら、差はそれぞれ28点、17点、9点です。
ただし、「差が最大だから数学を最優先」とは限りません。数学の28点を埋めるのに3か月かかり、化学の9点を知識整理で2週間以内に回収できるなら、最初の30日では化学を先に処理する判断もあります。
目標との差は、必要な改善量を知る数字です。優先順位を決めるには、次の「回収可能点」と組み合わせます。
数字2:失点原因別の回収可能点
答案を見ながら、失点を次の4種類に分けます。
1. 知識:公式、定義、反応、典型事項を知らなかった
2. 方針:知識はあったが、使う解法や立式を選べなかった
3. 処理:計算、符号、単位、転記などで誤った
4. 時間:解ける可能性があったが、着手できなかった
そして、各問題について「30日以内に対策すれば回収できそうな点」を控えめに見積もります。
例えば化学61点の答案で、知識不足による失点が12点、計算ミスが6点、未習範囲が15点あったとします。このうち30日以内に回収を狙う点を、知識8点、計算3点、未習範囲2点と置けば、回収可能点は13点です。
一方、数学の失点108点の大部分が難問の方針不足だった場合、30日で安定して回収できるのは10〜15点かもしれません。
失点の総量ではなく、期限内に回収できる失点を見ることで、「苦手だが今は後回しにする部分」と「すぐ得点へ変えられる部分」を分けられます。
見積もりを楽観的にしすぎないことも重要です。一度解説を読めば取れる点ではなく、時間制限のある初見問題でも再現できそうな点だけを数えてください。
数字3:1点を回収するために必要な時間
最後に、回収可能点を得るための学習時間を見積もります。
計算式は単純です。
「必要な学習時間 ÷ 回収を狙う点数」
例えば、次のように見積もったとします。
- 数学:20時間で10点 → 1点あたり2時間
- 物理:12時間で8点 → 1点あたり1.5時間
- 化学:10時間で10点 → 1点あたり1時間
この場合、最初の30日では化学の優先度が高く、次に物理、数学となります。
もちろん、実際の入試では1点の価値が完全に同じとは限りません。科目ごとの配点、足切り、得意科目を得点源にする方針もあります。そのため、この数字だけで機械的に決めるのではなく、次の3点を補正材料にします。
- 志望校での配点と科目の重要度
- 他単元にも効果が広がるか
- 本番までに繰り返し復習できるか
それでも「不安だから数学を増やす」より、必要時間と回収点を一度数字にする方が、科目配分の根拠は明確になります。
15分で作る、30日間の優先順位表
直近の模試と答案を用意し、紙や表計算ソフトに次の5列を作ります。
【記入例】
・数学・微積:目標差12点/方針・時間/回収可能6点/12時間
・物理・力学:目標差10点/立式/回収可能7点/10時間
・化学・無機:目標差8点/知識/回収可能7点/5時間
これは計算方法を示すための例です。実際には、自分の答案を1問ずつ見て記入します。
表ができたら、次の順番で優先順位をつけます。
1. 回収可能点が大きく、必要時間が短いもの
2. 今後の単元へ波及する基礎事項
3. 志望校で頻出または配点の大きいもの
4. その後に、時間のかかる発展課題
そして、30日分を最初から細かく埋めるのではなく、まず1週間分だけ教材名・範囲・復習日まで決めます。
「物理を頑張る」ではなく、「力学の標準問題を月・水・金に各3題解き、翌日に立式だけ白紙再現する」という単位にします。1週間後に正答率や再現率を確認し、残り3週間の配分を修正します。
判定別ではなく、原因別に行動を決める
E判定だから基礎だけ、B判定だから過去問だけ、という決め方は危険です。
判定が同じでも、基礎知識が抜けている人、標準問題は解けるが時間配分で崩れる人、特定科目だけ大きく遅れている人がいます。逆に判定が良くても、得意単元に偏っていて本番形式では不安定な場合があります。
模試後に変えるべきなのは、気合いや総勉強時間よりも、次の3点です。
- どの失点を30日で回収するか
- そのために何時間を配分するか
- 1週間後に何を測って計画を修正するか
この3点が決まれば、判定は不安を増やす数字ではなく、計画を更新するための材料になります。
まとめ
模試の判定を見たら、その良し悪しだけで勉強内容を変えず、次の3つを確認してください。
1. 志望校の目標点と現在得点の差
2. 30日以内に対策できる失点の合計
3. 1点を回収するために必要な学習時間
まずは直近の答案から、科目・単元ごとの優先順位表を1枚作ってみてください。新しい参考書を増やすかどうかは、その後で十分です。
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※学習計画は本人の状況に応じて調整するもので、合格や成績向上を保証するものではありません。