利益は出ている。
なのに、月末の支払いが足りない。
創業して1年目、2年目の方から、いちばん多く聞く話です。
おかしなことが起きているわけではありません。
利益と現金は、別々に動くようにできています。
■ 利益は「売れた時点」で立ちます
会計は、代金を受け取ったときではなく、
売った時点で売上を立てます。
つまり請求書を出した瞬間に、その分は利益になります。
入金はまだ先でも、帳簿のうえでは黒字です。
ここが出発点です。
■ 入金と支払の、ずれ
たとえばこういう取引があるとします。
売上 月末締め、翌々月末入金
仕入 月末締め、翌月末支払
4月に売った分の入金は6月末。
4月に仕入れた分の支払いは5月末。
1か月ぶん、自分のお金で立て替えています。
売上が月200万円なら、常に200万円前後が
手元から出たまま戻ってきていない状態になります。
■ 売上が伸びると、もっと苦しくなります
これが分かりにくいところです。
売上が増えれば、仕入も増えます。
先に出ていく金額が増えて、入ってくるのは2か月後。
伸びている月ほど、現金は減ります。
必要な運転資金は、だいたいこう計算します。
売掛金 + 在庫 − 買掛金
売上が倍になれば、この金額も倍になります。
黒字のまま資金が尽きるのは、たいていこれです。
■ 利益から引かれないのに、出ていくお金
もうひとつの理由がこちらです。
借入の元本返済は、費用になりません。
利息は費用ですが、元本は違います。
利益が出たあとの、税金を払ったあとのお金から返します。
毎月10万円返しているなら、
年間120万円は利益とは別に必要です。
逆に、減価償却費は費用なのに現金が出ていきません。
だから金融機関は、返せるかどうかを見るときに
この2つを足し直します。
返済原資 = 税引後の利益 + 減価償却費
利益の額そのものではなく、こちらを見ています。
■ 税金と社会保険は、待ってくれません
利益が出た翌年に、税金の支払いが来ます。
売上が落ちていても、前の年の分は払います。
消費税も、預かっているだけで自分のお金ではありません。
使ってしまうと、納付の時期に足りなくなります。
納税用の口座を分けておくのが、いちばん確実です。
■ だから、資金繰り表を作ります
損益計算書は「儲かったか」を見る表です。
資金繰り表は「現金が回るか」を見る表です。
作り方は単純で、月ごとにこれを並べるだけです。
月初の残高
+ 入金(売上の入金、借入、補助金など)
− 出金(仕入、人件費、家賃、返済、税金など)
= 月末の残高
これを6か月から12か月ぶん並べます。
どこかの月でマイナスになるなら、そこが対処すべき月です。
そして、気づくのが早いほど打てる手が多くなります。
残高が減る前に相談に行った場合と、
底をついてから行った場合とでは、話がまったく変わります。
■ 銀行も、ここを見ています
融資の相談では、損益の計画とあわせて
資金繰り表を求められることがあります。
「黒字なのに、なぜ借りるのか」という問いに、
数字で答えられる資料がこれだからです。
立て替えが何か月ぶんあって、
そこに何万円必要か。この形で説明できると通りやすくなります。
■ 今日できること
紙を1枚用意して、来月と再来月について、
入ってくる予定の金額と、出ていく予定の金額を書き出してみてください。
支払いのほうには、返済と税金を必ず入れてください。
この2つが抜けた表が、いちばん多いです。
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入金と支払のずれを月次に落とした資金繰り表を、Excelでお作りしています。