飲食店の原価率が合わないとき、メニューを疑う前に見る数字

飲食店の原価率が合わないとき、メニューを疑う前に見る数字

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ビジネス・マーケティング
飲食店を経営しています。

レシピは決まっている。原価表もある。
それなのに、月末に出てくる原価率が、思っていた数字と合わない。

この「合わない」の正体を、数字にしてみた話です。

原価には、2つの数え方がある


「今月の原価」と言うとき、実は2通りの数え方があります。

ひとつは、実際に減った食材の金額です。

 期首在庫 + 当月の仕入 − 期末在庫

月初にあった在庫に、今月買った分を足して、月末に残った分を引く。
残らなかった分が、使った分です。これを実際原価と呼びます。

もうひとつは、レシピから積み上げた金額です。

 レシピ1食分の原価 × その月に出た数 を、全メニューぶん足す

こちらは理論原価と呼ばれます。
「レシピの通りに作っていれば、これだけ使ったはず」という金額です。

この2つは、ふつう一致しません。

架空の例で、差を出してみる


架空の1か月です。食材にひもづく売上が300万円のお店だとします。

・期首在庫 280,000円
・当月仕入 950,000円
・期末在庫 310,000円

実際原価は 280,000 + 950,000 − 310,000 = 920,000円。
売上300万円に対して、実際原価率は30.7%です。

一方、レシピ原価 × 出数を全メニューぶん足したら、840,000円だったとします。
理論原価率は28.0%です。

 実際 920,000円(30.7%)
 理論 840,000円(28.0%)
 差   80,000円(2.7ポイント)

8万円です。
1日あたりにすると、約2,667円。
同じことが12か月続けば、96万円になります。

「原価率が2.7ポイント高い」と言われてもピンときませんが、
「毎日2,667円ぶん、どこかに消えている」と言われると、探す気になります。

差は、だいたい5つのどれかに入る


レシピ通りに作っているつもりでも、実際に減る食材の方が多くなります。
理由はだいたい、この5つのどれかです。

■ 歩留まり(使えない部分)
 仕入れた重さと、料理に使える重さは違います。
 掃除して落とす分、皮、骨、野菜のへた。
 ここがレシピの原価に入っていないことがあります。

■ 仕込みと調理のロス
 こぼす、焦がす、作り直す。
 どの店にもある分で、ゼロにはなりません。

■ まかないとサービス
 まかない、試食、お詫びの一品、常連さんへのサービス。
 売上にはならず、食材だけ減ります。

■ 盛り付けの量
 レシピは120gでも、忙しい日は目分量で140gになります。
 1品では気づきませんが、月に数百食ぶん積み上がります。

■ 在庫の数え間違い
 期末在庫を少なく数えると、そのぶん実際原価が増えます。
 冷凍庫の奥、開封済みの袋、仕込み途中のもの。

歩留まりだけ、数字にしてみる


5つのうち、いちばん計算しやすいのが歩留まりです。

架空の例です。
から揚げに使う鶏ももを、1kg 1,000円で仕入れているとします。
レシピには「120g」と書いてあります。

掃除したあとに使えるのが85%だとすると、
120gを皿に乗せるために必要な仕入れ量は、

 120g ÷ 0.85 = 約141g

レシピ上の鶏ももの原価は120円。
実際にかかっているのは141円。
差は21円です。

この料理が月に320食出ていれば、

 21円 × 320食 = 6,720円

1品で、月6,720円。
これが何品ぶんも重なって、さっきの8万円になっていきます。

歩留まりは「悪いこと」ではなく、どの店にも出るものです。
問題なのは、それがレシピの原価に入っていないことの方です。

どこから手をつけるか


5つ全部を一度に調べるのは無理だと思います。
私は順番を決めています。

1. まず、在庫の数え方を確かめる
  ここが間違っていると、ほかを直しても数字が動きません。
  お金も時間もかからない確認なので、先にやります。

2. 次に、出数の多い上位5品だけ、歩留まりを測る
  出数が多いものほど、1gの差が積み上がります。
  牛ステーキより、から揚げの方を先に測ります。

3. まかないとサービスは、記録だけ始める
  減らす話は後でいいと思っています。まず何食ぶんかを知る。

4. 盛り付けの量は、最後にする
  一番言いにくいところなので、
  数字が出てからの方が、話がしやすいです。

毎月やること


一度この形を作ってしまえば、毎月やるのは3つです。

 ・期首と期末の在庫金額を入れる
 ・当月の仕入金額を入れる
 ・出数の列を、今月の数字に入れ替える

そうすると、実際原価率と理論原価率が並んで出ます。
見るのは、その差が先月より広がったか、狭まったかだけです。

広がっていたら、何かが変わっています。
新しいスタッフが入った、メニューを変えた、仕入れ先を変えた。
心当たりを1つずつ確かめます。

差がいくつなら正常か、という基準は置いていません。
お店の業態でも、扱う食材でも変わるからです。
見ているのは、自分の店の先月との差です。

最後に


原価率が合わないとき、最初に疑われるのはメニューです。
「この料理は原価が高いから外そう」という話になりがちです。

でも、理論原価が28.0%なら、レシピ自体は悪くありません。
合っていないのは、レシピと現場のあいだにある2.7ポイントの方です。

メニューを削っても、この2.7ポイントは残ります。

2つの数え方を並べるだけで、どちらの問題なのかが分かれます。

紙と電卓でもできます。
ただ、在庫と仕入と出数を毎月入れ替えることになるので、私はExcelでやっています。

お店のメニューに合わせてExcelを作るサービスも出品しています。
興味があれば、プロフィールから見てみてください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

※この記事の数字はすべて架空の例です。実在するお店の数字ではありません。
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