飲食店を経営しています。
仕入れ値が上がってから、原価表を見直す機会が増えました。
そのときに気づいたことを書きます。
原価率だけを見ていると、見落とすものがあります。
【原価率が低い=優等生、とは限らない】
架空の例で説明します。6品だけのお店だと思ってください。
・から揚げ 売価600円/原価240円/原価率40.0%
・ポテトフライ 売価400円/原価150円/原価率37.5%
・枝豆 売価350円/原価160円/原価率45.7%
・刺身盛り合わせ 売価1,200円/原価660円/原価率55.0%
・だし巻き玉子 売価480円/原価120円/原価率25.0%
・牛ステーキ 売価1,800円/原価990円/原価率55.0%
原価率だけで並べると、だし巻き玉子(25.0%)が一番の優等生です。
刺身盛り合わせと牛ステーキ(55.0%)は「原価が高い、見直そう」となります。
ここまでは、たぶん多くのお店が見ている数字だと思います。
【1品の利益 × 月に出た数】
同じ6品に、月に何食出たかを足してみます。
・から揚げ 1品の利益360円 × 320食 = 月115,200円
・ポテトフライ 1品の利益250円 × 300食 = 月75,000円
・枝豆 1品の利益190円 × 260食 = 月49,400円
・刺身盛り合わせ 1品の利益540円 × 150食 = 月81,000円
・だし巻き玉子 1品の利益360円 × 90食 = 月32,400円
・牛ステーキ 1品の利益810円 × 40食 = 月32,400円
順番が変わりました。
だし巻き玉子は、原価率が一番低いのに、月の利益は下から2番目です。
月に90食しか出ていないからです。
刺身盛り合わせは原価率55.0%ですが、月に81,000円を稼いでいます。
「原価が高いから減らそう」と決めてしまうと、この81,000円がなくなります。
原価率は「1品あたりの効率」です。
お店に残るお金は「効率 × 回数」で決まります。
【出数と利益で、4つに分ける】
この6品を、2つのものさしで分けてみます。
ものさし1:月の出数が、平均より多いか少ないか(この例では平均193食)
ものさし2:月の利益が、平均より多いか少ないか(この例では平均64,233円)
組み合わせると4つになります。
■ 稼ぎ頭(よく出て、よく稼ぐ)
から揚げ、ポテトフライ
■ 人気だけど儲け薄(よく出るのに、利益が平均以下)
枝豆
■ 隠れた稼ぎ役(出数は少ないのに、利益は平均以上)
刺身盛り合わせ
■ 見直し候補(出数も利益も平均以下)
だし巻き玉子、牛ステーキ
枝豆は月に260食も出ている人気者ですが、利益では平均以下でした。
刺身は「原価が高い」と言われがちですが、隠れた稼ぎ役でした。
この2つは、原価率だけを見ていると逆に見えます。
【4つそれぞれで、次に考えること】
■ 稼ぎ頭
品切れと味のブレを何より避ける。ここが止まると一番痛い。
値段は動かさないほうが安全だと思っています。
■ 人気だけど儲け薄
よく出るので、少し直すだけで効き目が大きい。
盛り付け量、付け合わせ、仕入れ先、10〜50円の調整。
■ 隠れた稼ぎ役
もっと出したい。メニュー表の位置、写真、スタッフの一言。
出数が増えれば、そのまま利益が増える。
■ 見直し候補
すぐ消すのではなく、まず理由を考える。
「看板メニューの引き立て役」「常連さんの定番」なら残す理由があります。
理由が見つからないなら、枠を空ける候補になります。
【値上げは、出数の多いものほど効く】
さっきの6品を全部50円ずつ上げると、月の出数の合計が1,160食なので、
計算上は月58,000円ぶん変わります。
ただ、全品を上げるのは勇気がいります。
1品ずつ見ると、こうなります。
・から揚げ +50円 × 320食 = 16,000円
・ポテトフライ +50円 × 300食 = 15,000円
・枝豆 +50円 × 260食 = 13,000円
・刺身盛り合わせ +50円 × 150食 = 7,500円
・だし巻き玉子 +50円 × 90食 = 4,500円
・牛ステーキ +50円 × 40食 = 2,000円
牛ステーキを50円上げても2,000円です。
一番高いメニューだから効きそうに見えますが、40食しか出ていないからです。
値上げが効くのは、単価の高いものではなく、出数の多いものでした。
もちろん、値段を上げればお客様の反応も変わります。
ここで出るのは「上げたらいくら変わるか」の目安で、上げるべきかどうかの答えではありません。
判断するのはお店です。
【毎月やること】
一度この形を作ってしまえば、毎月やることは1つだけです。
出数の列を、今月の数字に入れ替える。
仕入れ値が変わったときは、材料の行を1か所直します。
その材料を使っているメニューの原価が、まとめて変わります。
私は月末の締めのあとに、15分ほど見る時間を取っています。
先月と仕分けが変わったメニューだけ、理由を考えます。
【最後に】
原価率は大事な数字ですが、それだけだと「1品の効率」までしか見えません。
出数と掛け合わせると、お店に残るお金の話になります。
紙と電卓でもできます。
ただ、メニューが30品を超えると手では追いきれないので、私はExcelでやっています。
同じ形のExcelを、お店のメニューに合わせて作るサービスも出品しています。
興味があれば、プロフィールから見てみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
※この記事の数字はすべて架空の例です。実在するお店の数字ではありません。