ココナラの電話相談を閲覧していたとき、こんな趣旨のサービスを見つけました。
「もう占い依存から脱皮しましょう。私がそんなあなたをボコボコにします。勇気をもってサービスを購入してください」
私は、思わず、
「えー?」
と考えてしまいました。
もちろん、そのサービスを批判したいわけではありません。
ただ、この言葉を見ているうちに、私は以前のある出来事を思い出しました。
少し回り道になりますが、聞いてください。
1.私自身の「イビキ」という癖
私は今からおおよそ15年前、癌を告知され、その最初の治療のために長期入院しました。
実は私、超・周囲に迷惑をかけるほど、睡眠中にイビキをかきます。
ですから、入院するときは、私自身も毎回かなり気を遣います。
そのときの入院でも、確か4人か6人部屋だったと思います。
私の隣のベッドには男性がいました。
ところが、その男性が私のイビキを我慢しきれなくなり、私に対して執拗に嫌がらせをするようになりました。
「俺は絶対に癌には負けない!」
そんなことまで私に言ってきました。
もちろん、その男性が癌になった原因は私ではありません。
おそらく彼の中にあった病気に対する不安や恐怖、苛立ちなどが、
「隣にいる男」
つまり、私に向かってしまったのだと思います。
2.「厳しく言えば、相手は変わるのか?」
私に潤沢なお金があれば、
「それなら私が個室に移ればいい」
という話だったのでしょう。
でも、当時の私には、その費用を負担する余裕はありませんでした。
きっとその男性は、私に不満をぶつけると同時に、病院にも何度も苦情を伝えていたのでしょう。
結局、その男性が退院するまで、病院側が私を追加料金なしで個室に移してくれました。
ここで、ようやく最初の話に戻ります。
私にとって、
「イビキ」は自分では簡単に制御できない癖です。
どんなに強く、
「イビキをかくな!」
「周囲に迷惑をかけるな!」
と厳しく言われたとしても、それだけでイビキをかかなくなるわけではありません。
もちろん、改善するための方法を考えることはできます。
でも、
「厳しく責めること」と「問題を改善すること」は、同じではないのです。
3.人間にも「心の癖」がある
ここで、これまで私がお話ししてきた、
「心の癖」
そして、
「心のOS(基本プログラム)」
の話につながります。
人間には、自分ではなかなか気づけない心の癖があります。
そして、その心の癖は、長い年月をかけて自分の中に組み込まれ、まるでパソコンのOSのように、物事の受け止め方や行動に影響していることがあります。
本人には、
「なぜ自分は、いつもこうしてしまうのだろう?」
としか分からないことでも、その背景には、自分でも気づいていない心の癖があるのかもしれません。
4.「なぜか同じことを繰り返してしまう」理由
例えば、以前お話ししたケースです。
二代目経営者の男性がいました。
本人は会社を良くしようと、一生懸命に経営努力をしています。
ところが、なぜか経営が思うように改善されません。
その背景をたどっていくと、
「会社経営がうまくいくほど、自分や家族をないがしろにした父親(先代社長)への無意識の恨み」
が存在していました。
頭では、
「会社を成功させたい」
と思っている。
ところが、心の奥では、
「父親のようにはなりたくない」
という思いが働いている。
こうしたものも、本人が自覚していなければ、
「心の癖」
として、自分の行動に影響している可能性があります。
もう一つ、こんなケースもあります。
幼いころから母親に人間性を否定され続けてきた女性。
ところが大人になってからも、自分を大切にしてくれない男性、いわゆる「ダメンズ」に尽くし続けてしまう。
自分が苦しくなっているのに、
「私が頑張れば、この人は変わる」
と考えてしまう。
これも、
「自分を大切にしない相手に尽くすることで、自分の存在価値を確かめようとする」
という心の癖が関係している可能性があります。
5.「強く言えば、人は変わる」という考え方
もし、
「本人の欠点を強く指摘すれば、こんなに嫌な思いをするのだから、考え方や行動を改めるだろう」
と考える人がいるとしたら、私は少し立ち止まって考えてみたいと思います。
もしかすると、それでは、
「自分より強いものに依存する」
という心の癖を、別の形で繰り返しているだけではないでしょうか。
今まで「自分を否定してくる親」だったものが、
「自分を強く叱る人」
に変わっただけ。
今まで「自分を認めてくれない相手」に迎合していたものが、
「強いことを言う相手」に迎合することに変わっただけ。
そんな可能性もあるのではないでしょうか。
もちろん、
「何でもかんでも相手に迎合すればいい」
と言っているわけではありません。
問題があるなら、問題として伝える必要があります。
ただし、
冷静に、思いやりを持って、事実に即して、問題や課題の解決について話す。
私は、そのことが大切なのだと思います。
6.「心の癖」は、スポーツと似ている
では、心の癖を変えるには、どうすればいいのでしょうか。
私は、スポーツと少し似ているのではないかと思っています。
スポーツの理論を頭に叩き込んだからといって、それだけで上達するわけではありません。
実際に身体を動かし、何度も練習し、失敗し、修正する。
そして、それを繰り返す。
つまり、
「知識」だけではなく、「繰り返しの訓練」が必要なのです。
心の癖も、それと似ています。
「私は、こういう心の癖があるんだ」
と気づくことは、とても大切です。
でも、
気づいただけですぐに変わるとは限りません。
「また同じことを考えている」
「また自分を責めている」
「また相手に合わせようとしている」
そんな自分に気づいたら、
「なぜ私は、こう考えてしまうのだろう?」
と、一度立ち止まってみる。
そして、少しずつ別の考え方や行動を試していく。
その積み重ねが、やがて自分の「心のOS」を変えていくのではないでしょうか。
7.これは、私自身にも向けた話です
ここまで「心の癖」や「心のOS」について書いてきましたが、これは決して、誰かに向かって、
「あなたには、こんな心の癖がありますよ」
と言いたいだけの話ではありません。
実は、私自身にも向けた話です。
人の心のことを考えたり、誰かの相談を受けたりしていると、つい、
「こうしたほうがいいのではないか」
「なぜ、そうしてしまうのだろう」
と、人のことを分析したくなることがあります。
でも、そこで一度立ち止まって、
「では、自分自身はどうなのだろう?」
と考える必要があります。
自分では人の心の癖が見えているつもりでも、自分自身の心の癖は、案外見えていないものです。
だからこそ、「心の癖」や「心のOS」という話は、誰かを変えるための道具ではなく、まず自分自身を振り返るためのものでありたいと思っています。
私自身も、これからも自分の心の癖に気づき、必要なら少しずつ修正していく。
この文章を書きながら、そんなことを自分自身にも言い聞かせています。
8.自分の「心のOS」を知ることから
私は、
「自分を変えなければいけない」
と、いきなり自分を責める必要はないと思っています。
まずは、
「自分には、どんな心の癖があるのだろう?」
と知ること。
そして、
「なぜ私は、いつも同じところで苦しくなるのだろう?」
と考えてみること。
それが、自分の「心のOS」を知る第一歩なのかもしれません。
人は、自分でも気づかない心の癖によって、同じところで何度もつまずくことがあります。
だからこそ、
自分を責める前に、自分を知る。
私は、そこから「生き方を整える」ことが始まるのではないかと思っています。
そして、それは一度に全部を変えることではありません。
小さな気づきと、小さな練習を積み重ねながら、
「自分の人生を、自分で少しずつ立て直していく」
そんな作業なのだと思います。
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最後に
「心の癖」は、誰かに指摘されて、
「はい、今日から直します」
と簡単に変えられるものではないのかもしれません。
だからこそ私は、
責めることより、気づくこと。
否定することより、理解すること。
そして、
一度に変えようとするのではなく、少しずつ練習すること。
それが大切なのではないかと思っています。
これは、相談を受ける側の私自身にも向けた言葉です。
私もまた、自分の「心のOS」を見つめながら、生き方を整えていきたいと思っています。
もし、この記事を読んで
「自分にも思い当たるところがある」
「頭では分かっているのに、なかなか気持ちを切り替えられない」
そんなふうに感じた方へ。
一人で考え続けるより、誰かに言葉にして話すことで、気持ちが整理されることがあります。
紀真の電話相談では、今抱えているお気持ちをお聞きしながら、これからどうしていくかを一緒に考えていきます。
「ちょっと話してみたい」くらいでも大丈夫です。
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