母国の家族に「そっちは幸せでしょ」と言われたとき

母国の家族に「そっちは幸せでしょ」と言われたとき

記事
ライフスタイル
母国の家族に「そっちは幸せでしょ」と言われたとき


【電話を切ったあと、なぜか疲れている】

月に一度か二度、実家に電話をします。
特に用事はありません。元気にしているよ、と伝えるだけの電話です。

「仕事はどう?」
「うん、順調だよ」
「よかった。そっちは日本でしょ、いい暮らししてるんだから」

そこで、会話が止まります。
正確には終わってはいないのですが、それ以上、何も言えなくなります。

電話を切ったあと、少し疲れている自分に気づきます。
悪いことは、何ひとつ起きていないのに。


【「幸せでしょ」は、たぶん愛情の言葉です】

先に書いておきたいのですが、そう言う家族に悪気はないと思います。

海外に出た子どもが元気にやっている。
それは親にとって、いちばん聞きたい報告です。
「そっちは幸せでしょ」は、確認というより、
願いに近い言葉なのかもしれません。

だからこそ、こちらは崩せなくなります。

本当は今週、職場でうまくいかないことがあった。
本当は、こちらに来てから一度も心から笑っていない気がする。

でもそれを言えば、心配をかけてしまう。
そして何より、
「じゃあ帰ってくれば?」と言われるのが、いちばん怖い。

帰りたいわけではないのです。
ただ、しんどいだけなのです。

その二つは同時に成り立つのに、
うまく説明できる自信がありません。


【こちらでも、説明から始めなければならない】

では、日本の友人に話せばいいのか。
それもまた、簡単ではありませんでした。

家族との距離の取り方。
親戚づきあいの重さ。
「帰る」という言葉が持つ意味。

前提を全部説明しないと、話が始まりません。
そして説明しているうちに、
話したかった気持ちのほうが、先に冷えていきます。

母国の家族には心配をかけたくない。
こちらの友人には、前提から伝わらない。

そうやって黙っているうちに、
「弱音の吐き方」そのものを、少しずつ忘れていきます。


【うまくいっている人ほど、言い出せない】

不思議なもので、生活が安定しているほど言いづらくなります。

仕事がある。住む場所がある。特に困っていることもない。
周りからは「うまくやってるね」と言われる。

条件だけ並べれば、確かに何も問題はありません。
だから「しんどい」と言う資格がないような気がしてしまう。

でも、しんどさに資格はいらないのだと思います。


【言葉にできないまま、抱えている方へ】

私は台湾から日本に移り住んで、10年になります。

心理やカウンセリングの専門家ではありません。
何かを解決してさしあげられるわけでもありません。

ただ、電話を切ったあとのあの感覚は、
おそらく私も知っています。

もし今、誰にも言えないまま何かを抱えているなら。

まとまっていなくて構いません。
途中で話が飛んでしまっても構いません。
思いつくままに書いてみてください。

言葉になった時点で、少しだけ形が変わることがあります。


※本記事は個人の経験に基づくものです。
心身の不調が続く場合は、医療機関やお住まいの自治体の
相談窓口へのご相談もあわせてご検討ください。
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す