「もう少し短くしてほしい」と言われて、どこから削ればいいか迷うことがあります。
削る順番を間違えると、伝えたいことまで一緒に消えます。逆に順番を守れば、意味を変えずに2割から3割は減ります。実際にやっている順番を書きます。
■ 先に決めること:何のために短くするのか
同じ「短く」でも、目的で削る場所が変わります。
読み飛ばされないために短くしたいのか。文字数の上限に入れたいのか。声に出して読む時間を縮めたいのか。
上限に入れたいだけなら、読みやすさを多少犠牲にしても機械的に削れます。読まれるために短くしたいなら、削るより並べ替えのほうが効くこともあります。ここを決めずに削り始めると、途中で判断がぶれます。
■ 順番1:同じことを二度言っている箇所
いちばん最初に探すのはここです。減らしても失うものがありません。
多いのは、段落の最後で「つまり」と言い直しているパターンです。前の文で伝わっているなら、言い直しは要りません。
見出しと本文の冒頭が同じことを言っている、というのもよくあります。見出しで「3つの理由」と書いてあるのに、本文の1行目でも「理由は3つあります」と始まる。片方で足ります。
■ 順番2:前置き
「本題に入る前に」で始まる部分は、たいてい削れます。
読み手は、その文章に何が書いてあるかを知りたくて読み始めています。準備運動は書き手のために必要だっただけ、ということが多いです。
自己紹介、経緯の説明、「なぜこれを書こうと思ったか」。これらは本当に必要かどうか、一度消してから読み直すと分かります。消して意味が通るなら、要らなかったということです。
■ 順番3:修飾の重ね掛け
たとえば「非常に大きな影響を与える可能性が高いと考えられます」。
この一文には、弱める言葉が3つ入っています。断言を避けようとして重ねると、逆に何を言っているのか分からなくなります。
「大きな影響が出ます」で足りることが多いです。それでも言い切れないなら、条件を1つ足すほうが、ぼかす言葉を重ねるより短く正確になります。
■ 順番4:例
ここから先は慎重にやります。例は、消せば必ず短くなりますが、消すと分かりにくくなることがあります。
判断の基準は「その例がないと読み手が誤解するか」です。誤解しないなら消せます。誤解するなら残します。
例が3つ並んでいるなら、たいてい1つで足ります。3つ並べたくなるのは書き手の不安で、読み手は1つ読めば分かっていることが多いです。
■ 順番5:それでも足りないとき
ここまでで足りなければ、削るのをやめて構成を変えます。
長い理由が「1つの文章に2つのことが書いてある」ことなら、削っても解決しません。分けたほうが両方短くなります。
■ やってはいけない削り方
主語を消す。条件を消す。数字を丸める。
この3つは短くなりますが、意味が変わります。特に「〜の場合は」を消すと、条件付きの話が断定に化けます。短くする作業でいちばん事故が起きるのはここです。
■ 実際にやると
順番1と2だけで、1割から2割減ることが多いです。ここは失うものがないので、まず試す価値があります。
3以降は、元の文章の性格によります。硬い文章ほど修飾の重ね掛けが多く、削り代が大きい傾向があります。
■ お引き受けもしています
自分の文章は、どこが重複していてどこが前置きなのか、書いた本人には見えにくいものです。
「長い文章を意味を保ったまま短くします」というサービスを出しています。元の文章と、何のために短くしたいかを教えていただければ、削った版と、どこを何の理由で削ったかの説明をお渡しします。削りすぎだと感じた箇所は戻せるように、対応表をつけています。