断りのメールを書くとき、いちばん長くなるのは理由の部分です。相手に納得してもらいたいので、事情を丁寧に説明しようとします。
ところが、理由は読み手にとって「交渉の余地」として届きます。
■ 1. 理由は、条件として読まれる
「今は予定が埋まっておりまして」→ では来月はいかがですか
「ご予算と合わないもので」→ では調整の余地はありますか
「社内で別の方針が出ておりまして」→ 方針が変わればお願いできますか
説明したつもりの一文が、そのまま次の提案の足がかりになります。理由を厚く書くほど、断りは「条件次第の保留」に読み替えられ、やり取りが伸びます。
断りの文の役割は、説得ではなく決定の伝達です。理由は1つだけ、短く置きます。
■ 2. 短くするのは理由だけで、代わりに厚くするものがある
理由を削ると冷たくなる、という感覚は正しいです。削ったぶん、別のものを足します。
足すのは「相手の時間を返す情報」です。
・いつまでに何が決まらないのか(待たせずに済む)
・こちらでは対応できないが、どういう先なら合いそうか
・次に接点があるとしたら、どういう場合か
これらは相手が次の行動を決めるために使えます。理由は相手にとって使い道がありませんが、こちらは使えます。
冷たい断りとは、短い断りのことではなく、相手が次に何をすればいいか分からない断りのことです。
■ 3. 謝罪の量と、誠実さは比例しない
申し訳ありません、恐縮です、心苦しいのですが。謝罪を重ねると丁寧に見えますが、一定を超えると読み手は身構えます。
謝りが長い文は、「言いにくいことが後ろにある」という合図として読まれるためです。実際には断るだけなのに、それ以上のことがあるように受け取られてしまいます。
謝罪は最初に1回で足ります。
■ 書き換えの例
【前】
このたびはお声がけいただき、誠にありがとうございます。大変ありがたいお話なのですが、現在いくつか案件が重なっており、また弊社の体制的にも十分な品質でお応えできるか不安がございまして、ご期待に沿えない可能性が高く、大変心苦しいのですが今回は見送らせていただければと存じます。本当に申し訳ございません。
【後】
お声がけいただきありがとうございます。申し訳ありませんが、今回は見送らせていただきます。
対応できないのは、ご希望の納期の部分です。11月以降であれば体制を取れる見込みです。
お急ぎでしたら、同じ内容を扱っている先として◯◯のような選択肢もあるかと思います。
またの機会がありましたら、ぜひご相談ください。
■ まとめ
・理由は交渉の余地になる。1つだけ、短く
・削るのは理由だけ。相手が次の行動を決められる情報は足す
・謝罪は最初に1回。重ねるほど身構えられる
断りの文で決まるのは、断るかどうかではなく、相手がそのあと動きやすいかどうかです。
こうした「書きにくいメール」の文面を作る出品をしています。断りの返事、催促、条件の交渉など、相手との関係を保ったまま伝えたい場面に対応しています。