Kindle本の表紙を作るとき、多くの方がパソコンの大きな画面でデザインを確認します。実はここに落とし穴があります。
読者は、表紙を「原寸」では見ていない
KDPが推奨する表紙のサイズは、高さ2,560ピクセル × 幅1,600ピクセルです(Amazon KDP 公式ヘルプ「表紙の作成」より)。かなり大きな画像です。
ところが、読者がその大きさで表紙を見る場面はほとんどありません。実際に目に入るのは、次のような場所です。
・Kindleストアの検索結果に並ぶ一覧
・「この本を買った人はこんな本も」の横スクロール
・Kindle Unlimitedの読み放題一覧
・自分の端末の本棚
実際にどれくらいの大きさなのか、測ってみました。パソコンでAmazonのKindleストアを検索したときの、一覧に並ぶ表紙の表示幅です。
・最小 136ピクセル
・中央値 153ピクセル
・最大 182ピクセル
推奨サイズ1,600ピクセルの、およそ10分の1です。スマートフォンの画面ではさらに小さくなります。
つまり、購入されるかどうかが決まる瞬間、表紙は原寸の10分の1以下で見られているということです。
だから基準はひとつだけ
「縮小しても読めるか」。これが表紙の唯一の合格基準です。
大画面で美しく見えることは、残念ながら売れ行きにほとんど関係しません。逆に、小さくして潰れる表紙は、どれだけ中身が良くても開いてもらえません。
この基準で見ると、失敗のパターンはだいたい3つに絞られます。
失敗1:文字が多すぎる
タイトル、サブタイトル、著者名、帯のような惹句、実績の数字。全部載せたくなります。
しかし縮小すると、文字数が多いほど全部が潰れます。読めるのはいちばん大きい要素だけです。
判断はシンプルです。極小にしたとき、メインタイトルの1行だけがはっきり読めればいい。サブタイトルは読めなくても構いません。読めなくていいものを、読めるサイズにしようとして全体が小さくなる——これがいちばん多い失敗です。
失敗2:人物の顔に文字を重ねている
人物写真やイラストを大きく使い、その上にタイトルを重ねるデザインです。大画面では格好よく見えます。
縮小すると、顔の凹凸と文字が混ざってどちらも判別できなくなります。顔は情報量が多いので、背景として最も文字を邪魔します。
人物を使うなら、顔と文字の領域を分けてください。上下に帯状のスペースを作り、文字はそこに置く。人物と文字が重ならないだけで、極小での可読性は大きく変わります。
失敗3:細い書体と薄い色
明朝体の細いウェイト、グレーの文字、淡い背景色。上品ですが、縮小に最も弱い組み合わせです。
太いゴシック体、背景との明度差が大きい配色。この2つを守るだけで、小さくしたときの見え方が変わります。白背景に黒文字、濃色背景に白抜き文字が最も確実です。
自分の表紙を判定する方法
道具は要りません。
1. 完成した表紙の画像ファイルを開く
2. 表示倍率を下げ、横幅が親指の爪ほどになるまで縮小する
3. その状態で、メインタイトルが読めるか確認する
スマートフォンに画像を送り、ホーム画面に並ぶアプリのアイコンと同じくらいの大きさにして眺めるのも確実です。
ここで読めなければ、大画面でどれだけ美しくても、店頭では選ばれません。
表紙は、中身の良し悪しとは別の技術です。「原稿は書けたけれど、表紙で止まってしまう」という方のために、企画から表紙デザイン、出版設定まで一貫してお引き受けしています。
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