Kindle出版のご相談をいただくとき、ほとんど話題に上らないのに、実際の手取りを左右している項目があります。配信コストです。
70%を選ぶと、売れるたびにファイル分が引かれる
Kindleの印税には35%と70%の2種類があります。このうち70%を選んだ場合だけ、1冊売れるごとに「配信コスト」が差し引かれます。
「70% のロイヤリティ オプションを選択した場合は、対象となる本が 70% のロイヤリティ適用地域の読者に販売されるごとに、VAT 抜きの希望小売価格から配信コストを差し引いた額の 70% がロイヤリティとなります」(Amazon KDP 公式ヘルプ「電子書籍のロイヤリティ」より)
そして配信コストは、ファイルサイズに応じて決まります。
日本円での単価はヘルプに明記されていないため、実際に出版済みの本のKDP管理画面で実額を確認しました。
・5.12MB の本 → 配信コスト 5円
・6.03MB の本 → 配信コスト 6円
1MBあたり1円(小数点以下は切り捨て)でした。
この本の場合、希望小売価格498円(税抜453円)に対して、(453 − 6) × 70% = 313円 が実際のロイヤリティです。管理画面の表示と一致します。
つまり、ファイルが重い本ほど、売れるたびに取り分が削られていくという構造です。仮に同じ価格でファイルが50MBあれば、(453 − 50) × 70% = 282円。1冊あたり31円の差が、売れ続けるかぎり効きます。
なお、確認した3冊のうち1冊だけ、12.95MBでも配信コストが0円と表示されるものがありました。条件によって扱いが異なる可能性があるため、ご自身の本の実額は必ず管理画面で確認してください(確認方法は後述します)。
図解や写真の多い本ほど効いてくる
文字だけの本なら、ファイルサイズは数MBに収まります。問題は、図解・写真・マンガを入れた本です。
画像を何も考えずに入れると、数十MBは簡単に超えます。手元の例では、既刊のファイルが205MBありました。これが1冊売れるたびに効いてきます。
「画像を小さくする」のは、たいてい間違い
ここで多くの方が「では画像を縮小しよう」と考えます。実はこれが一番もったいない選択です。
縮小すると、Kindleの高解像度端末で見たときに粗くなります。せっかくの図解が読めなくなっては本末転倒です。
正しいのは、縦横のサイズは1ピクセルも変えず、形式だけをJPEGに変えることです。
実際に、マンガ1ページ(PNG・4,649KB)で3つの方法を比べたときの結果です。
・PNGのまま最適化 → 4,550KB(ほぼ減らない)
・長辺1024pxへ縮小 → 1,047KB(画質が粗くなる)
・JPEG(品質88)で原寸のまま → 644KB(見た目の劣化なし)
縮小は、解像度を捨てるわりに効きが悪いのです。JPEG化なら1ピクセルも落とさずに約1/7になります。等倍でセリフを並べても劣化は見えません。
この方針で1冊まるごと処理した結果が、205MB → 35MB(約1/6)でした。
使い分けは単純です。
・写真・イラスト・マンガ → JPEG(品質85〜88程度)
・図解・スクリーンショット・線画 → PNGのまま(色数を落とす)
自分の本の配信コストを確認する方法
KDPの管理画面で、実額を確認できます。
1. KDPにログインし、本棚を開く
2. 対象の本の「…」メニューから「電子書籍の価格の編集」を選ぶ
3. 価格表の上に「変換後のファイルサイズは ○○ MB」と表示されます
4. その下の表に、マーケットプレイスごとの配信コストが金額で表示されます
なお、配信コストが差し引かれるのは70%を選んだ場合だけです。35%のままなら、ファイルサイズは手取りに影響しません(日本で70%を選べる価格帯は250円〜1,650円です)。
ここで「思ったより引かれている」と感じたら、ファイルを差し替える価値があります。すでに出版済みの本でも、ファイルを差し替えれば以降の配信コストは下がります。
こうした細かい部分は、本の中身とは関係がないのに、長く効き続けます。「原稿は書けたけれど、こういう技術的なところで止まってしまう」という方のために、企画から出版設定まで一貫してお引き受けしています。
ご相談とお見積りは無料です。「こんな内容でも本になりますか」だけでもお気軽にどうぞ。