デザインを知ると、毎日が少しだけ豊かになるーー第4回 ウィリアム・モリスが変えた「デザイン」という考え方

デザインを知ると、毎日が少しだけ豊かになるーー第4回 ウィリアム・モリスが変えた「デザイン」という考え方

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第4回 ウィリアム・モリスが変えた「デザイン」という考え方

現代のデザインを語るうえで、決して外すことのできない人物がいます。それが、イギリスの芸術家、ウィリアム・モリスです。

モリスは1834年にイギリスで生まれ、オックスフォード大学で学びました。1861年には「モリス商会」を設立し、美しい家具や壁紙、ステンドグラス、テキスタイルなどを制作します。さらに1888年には「アーツ・アンド・クラフツ展協会」の設立にも関わり、後のデザイン史に大きな足跡を残しました。

機械化が進む社会への疑問

モリスが生きた19世紀のイギリスは、産業革命によって社会が大きく変化していました。工場では大量生産が進み、それまで職人が一つひとつ手作業で作っていた製品も、機械によって効率よく生産されるようになります。

大量生産によって、多くの人が製品を手に入れられるようになった一方で、モリスはその変化に強い疑問を抱きました。自然環境の破壊、単純作業を繰り返す労働者の苦しみ、そして装飾だけを真似た品質の低い製品が市場にあふれていることを、社会の大きな問題だと考えたのです。

美しさと暮らしを取り戻したい

モリスが目を向けたのは、中世のものづくりでした。当時の職人たちは、自分たちの技術に誇りを持ち、美しさと実用性を兼ね備えた製品を生み出していました。

モリスは、芸術は美術館だけにあるものではなく、毎日の暮らしの中にあるべきだと考えます。家具や壁紙、カーテン、食器など、日常生活で使うものこそ、美しくあるべきだという考え方は、それまでの芸術観とは大きく異なるものでした。

アーツ・アンド・クラフツ運動の始まり

1888年に設立された「アーツ・アンド・クラフツ展協会」をきっかけに、この考え方は「アーツ・アンド・クラフツ運動」としてヨーロッパ各地へ広がっていきます。

手仕事の価値を見直すこと。自然から学ぶこと。そして、美しさと実用性を両立させること。こうした思想は、多くの芸術家やデザイナーに受け継がれ、その後に登場するアール・ヌーヴォーやドイツ工作連盟、さらにはバウハウスにも大きな影響を与えました。

現代にも受け継がれるモリスの思想

「美しいものは、特別な人のためだけではなく、すべての人の暮らしの中にあるべき。」

モリスのこの考え方は、160年以上が過ぎた今でも色あせていません。

北欧デザインや無印良品のように、飾りすぎず、使いやすく、美しいものを目指す考え方にも、どこかモリスの思想が息づいているように感じます。

私たちが普段何気なく使っている家具や食器、文房具にも、「使いやすさ」と「美しさ」の両方が求められるようになった背景には、ウィリアム・モリスが残した大きな功績があるのです。

おわりに

デザインの歴史を振り返ると、新しい表現は、いつも時代への疑問から生まれています。

ウィリアム・モリスもまた、「本当にこのままでよいのだろうか」という問いを持ち続けた一人でした。そして、その問いが、現代のデザインへとつながる新しい考え方を生み出したのです。

【参考資料】
ウィリアム・モリスの図案や作品画像を含む、より詳しい参考資料については、私が別途まとめている記事でもご紹介しています。
ココナラの仕様上、この場で具体的なURLは記載できませんが、検索エンジンで「増田恵一ウィリアム・モリス」などと検索すると、関連する記事が見つかりやすくなります。


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