デザインを知ると、毎日が少しだけ豊かになるーー第3回 会社にも「性格」がある

デザインを知ると、毎日が少しだけ豊かになるーー第3回 会社にも「性格」がある

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第3回 会社にも「性格」がある

私たちは初めて会った人に対して、「誠実そう」「親しみやすそう」「何となく信頼できそう」といった印象を抱きます。実は、企業やブランドに対しても同じような見方をしています。

「あの会社は挑戦する企業だ。」「このブランドは上品なイメージがある。」「安心して買える会社だ。」

こうした印象は、商品の性能だけで決まるものではありません。企業の考え方や姿勢、そしてそれを伝えるデザインによって、少しずつ形づくられていくものです。

ブランドにも人柄がある

ブランドづくりには、「ブランドパーソナリティ」という考え方があります。少し難しい言葉ですが、簡単にいえば「ブランドの人柄」のことです。

もし企業が一人の人間だったら、どんな性格でしょうか。誠実なのか、親しみやすいのか、それとも革新的なのか。こうしたイメージが明確になると、広告やホームページ、商品、店舗、接客まで、一貫した雰囲気をつくることができます。

反対に、その人柄が曖昧だと、見るたびに印象が変わってしまい、お客様の記憶にも残りにくくなります。

人は商品だけを選んでいるわけではない

昔は、品質や価格が商品の大きな差別化要因でした。しかし今は、多くの商品が高い品質を持っています。そのため、人は品質だけではなく、「どんな会社がつくっているのか」という部分にも目を向けるようになりました。

環境への取り組みに共感して商品を選ぶ人もいます。職人の技術や長い歴史に魅力を感じる人もいます。つまり私たちは、商品を買っているようで、その背景にある価値観や世界観にも共感しているのです。

物語がブランドを育てる

企業には、それぞれ歩んできた歴史があります。なぜ会社をつくったのか。どのような想いで商品を開発しているのか。そして、どのような未来を目指しているのか。

こうした物語を「ブランドストーリー」と呼びます。

商品の性能だけでは伝えられないことも、物語があることで人の心に届きます。企業の理念や歴史を知ることで、その商品への親しみや信頼が深まることも少なくありません。

会社全体で「らしさ」をつくる

ブランドは、デザイナーだけがつくるものではありません。経営者も、営業も、販売スタッフも、開発担当も、それぞれが同じ考え方を共有することで、お客様に一貫した印象を届けることができます。

この考え方を組織全体で実践する仕組みが、「CI(コーポレート・アイデンティティ)」です。CIとは、企業の理念や価値観を社内で共有し、それを社会へ一貫して伝えていくための考え方です。

ロゴマークを新しくしただけでは、企業の印象は変わりません。まず企業の考え方があり、その考え方を行動で示し、それをデザインによって伝える。この積み重ねが「その会社らしさ」になるのです。

デザインは企業の想いを形にする

デザインは、見た目を美しく整えるためだけにあるのではありません。企業が大切にしている価値観や想いを、色や形、文字、写真などを通して分かりやすく伝える役割があります。

そのため、一つのブランドには、デザイナーだけではなく、クリエイティブディレクターやコピーライター、フォトグラファー、イラストレーターなど、多くの専門家が関わっています。それぞれが力を合わせることで、私たちが感じる「この会社らしい」という印象がつくられていくのです。

おわりに

企業には、人と同じように「らしさ」があります。その「らしさ」は、ロゴだけで生まれるものではなく、企業の考え方や行動、そしてデザインが積み重なって育まれていきます。

ブランドとは、商品につけられた名前ではありません。人の心の中に生まれる信頼や共感、その積み重ねこそがブランドなのです。

デザインを知ることは、特別な知識を身につけることではありません。今まで見過ごしていた世界に、新しい意味を見つけることです。
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