経験記述の工程管理、遅延要因から評価まで書く手順

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経験記述の5つの管理項目のうち、工程管理は準備が後回しになりやすいテーマです。1級土木では令和3年度から令和7年度までのあいだ工程管理そのものは指定されておらず、そのぶん手つかずのまま本番を迎える人が多くなります。ただし令和6年度からは5つの管理項目のうち2つが指定される形式に変わったため、来ない前提で捨てておける項目ではなくなりました。2級土木では令和6年度・令和7年度と2年続けて工程管理が指定されています。ところが工程管理の答案は「工程管理に留意した」「工程会議を密に行った」で終わりやすく、何が工程を圧迫していたのかが読み手に伝わらないまま提出されがちです。今回はそこを避ける組み立て方を扱います。
なお、解答欄の区切り方は級で異なります。1級(令和6年度以降)は「①現場状況・技術的課題と検討した項目/②検討項目の対応処置とその評価」で、検討した項目は①側に入ります。2級は「①現場状況・技術的課題/②検討した項目とその対応処置」です。本記事は書く順序(現場条件 → 課題 → 検討項目 → 対応処置 → 評価)を軸に説明しますので、配分はご自身の受験級の欄に合わせてください。1級で検討項目を②側に寄せると、1区画あたり約200字に収まらなくなります。

設問1は「現場条件」「遅延要因」「課題」の3点で書く

品質管理では現場条件と原因と課題、安全管理では現場条件と危険と課題という3点構成で書きました。工程管理も3点構成は同じで、真ん中は「何が工程を圧迫したか」という遅延要因に変わります。工程を圧迫する要因はいくつかの種類に分けられます。他工種との干渉(同じ施工ヤードで別工種が競合し、どちらかの着手を待たざるを得ない)、天候による作業不能日数の発生、資材や重機の手配待ち(部材の納入待ち、関係機関との協議に時間がかかり着手が遅れる等)、設計変更や地盤条件の相違による手戻りです。たとえば地下埋設物が計画より大きく支障となることが判明し、関係機関との協議に時間を要したために当初の掘削着手が遅れたという現場条件があり、そこから工程表とのズレが生じる遅延要因が具体的に生じていた、という書き方です。そのうえで、そのズレを解消することが技術的課題だと結びます。「工程管理に留意した」と抽象的に始めてしまうと、何と何がせめぎ合っていたのかが読み手に伝わりません。

検討項目は「作業手順の組み替え」「投入資源」「並行作業と制約」の3観点から挙げる

次に書くのは、検討した項目と検討理由、検討内容です。工程管理は打ち手が多岐にわたるため、観点をあらかじめ3つに決めておくと整理できます。1つ目は作業手順の組み替えで、施工順序の入れ替えや工法そのものの変更です。土工事と杭工事が同時期に競合する場合に施工順序を見直す、現場打ちからプレキャスト部材や推進工法に切り替えて手順自体を短くする、といった対策がこれにあたります。2つ目は投入資源で、施工班の増班や重機の増強、資機材の前倒し調達によって単位期間あたりの出来高を引き上げる対策です。3つ目は並行作業と制約で、どの作業なら同時に進められ、どの作業は同時にできないかを切り分けたうえで、交通規制の時間帯や河川の出水期、後工程への引き渡し期限といった制約の中でどこまで並行させられるかを検討します。この3観点から2つか3つを選び、それぞれに検討理由と検討内容をセットで書きます。「増員した」「工法を変更した」だけで終わると、他工種との干渉や制約とどう関係する対策なのかが伝わりません。

対応処置は数値、評価は「遅延要因が解消した根拠」で締める

現場で実際に行ったことが対応処置です。品質管理や安全管理と同じく、ここは数値が入ると具体性が出ます。工程管理であれば、短縮できた日数や当初計画からの遅延日数、1日あたりの施工量や班あたりの出来高といった歩掛、増強した重機の台数や増やした施工班の数を入れます。評価で差がつくのはこの次です。工程管理の評価は「工期内に工事を完了できた」で終わってしまいがちですが、それだけでは遅延要因が本当に解消したのかが分かりません。設問1で特定した遅延要因が実際にどう解消したか、たとえば他工種との干渉が解消されて後工程への引き渡しが計画どおりに行えたこと、天候による不稼働日数を見込み直した工程に対して実績の進捗が追いついたことなど、要因と結果を結びつけて2〜3行で締めます。発注者側で工事書類を審査してきた経験からも、この結びが具体的な答案は印象が違います。

工程管理でありがちな減点パターン

工程管理の記述で目立つ失敗は3つあります。1つ目は、遅延要因を具体的に書かずに「工程管理に留意した」で始めてしまい、何が工程を圧迫していたのかが読み手に伝わらないパターンです。2つ目は、検討項目が増員や機械の増強といった投入資源の話に偏り、作業手順の組み替えや他工種との並行可否といった検討が抜け落ちるパターンです。3つ目は、評価が「工期内に完了した」で止まり、設問1で挙げた遅延要因が実際にどう解消したのかという根拠が書かれていないパターンです。いずれも、設問1で遅延要因を工事に固有の形で特定できていれば起きにくくなります。

まとめ

工程管理の答案は3つの手順で組み立てます。1つ目は、設問1を現場条件と遅延要因と課題の3点に切り分け、何が工程を圧迫したかを工事に固有の形で書くこと。2つ目は、検討項目を作業手順の組み替えと投入資源と並行作業と制約の3観点から2つか3つ選び、それぞれに検討理由と検討内容をセットで書くこと。3つ目は、対応処置に短縮日数や歩掛、投入台数といった数値を添え、評価では遅延要因が実際に解消した根拠まで書くことです。
この3点の骨格は、品質管理・安全管理の答案とほとんど同じ形をしています。真ん中に置く要素と検討の観点が管理項目ごとに変わるだけで、書き方の型は1つ覚えれば使い回せるということです。品質管理・安全管理・工程管理を含む5つの管理項目それぞれについて完成した答案を手元に置き、自分の工事に置き換えながら練習したい場合は、1級土木の第2次検定向けにテーマ別と年度別の模範答案をまとめたセットを用意しています。
ご購入後はトークルームでPDFを一括してお送りします。テーマ別の完成答案には工程管理も含まれているので、指定されそうな管理項目から引くことも、受験する年度の出題傾向から引くこともできます。
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