さて、この親子二人はいったいどこへ向かおうというのだろうか?
当てなど、あるのだろうか?
夜の国道沿いにあるドライブイン。
そこで、見知らぬおっちゃんと合流した。
(どうやら母親の知り合いらしい)
話を聞くと、なんとそのおっちゃんのお兄さんの家にお世話に
なるらしいのだ。
はてさて……一体どこへ連れていかれるのやら……。
高速道路に入ると、見えてきたのは東名から名神への標識。関西方面だ。
当時は道路の名称なんて興味もなかったけれど、
車は西へ西へと走っていく。
そうして到着したのが、大阪府東大阪市であった。
まさか人生初の大阪が、こんな逃避行になろうとは……。
テレビで吉本新喜劇はよく観ていたけれど、現実はそんな「まいど〜!」みたいな陽気なノリであるはずもなく。
「お邪魔します。よろしくお願いします」
深々と挨拶を済ませた……その直後のことである。
母親とおっちゃんは、私を残してどこかへ消えてしまったのだった。
…………それっきり。
本当に、その時は母親がどこへ行ったのか全く知らされていなかった。
いつ、どんな形でその行き先を知ることになるのかは……
後のお楽しみということで。
(……え、知りたいですか?)
そのおっちゃんのお兄さん(以下、おじ兄)は電気工事士のようで、
静少年はなんとそのまま住み込みで働くことになった。
働かざる者食うべからず……ということなのだろう。
「……あれ、学校じゃないんだ……?」
そうして工事現場へ連れて行かれ、現場監督や左官屋さん、
内装屋さんに可愛がられる日々が始まった。
だが、待っていたのは過酷な現場作業である。
重たいハンマードリル(どんな工具か気になる方は調べてみてください)に体ごと振り回され、コンセント設置の際には、
「電気通っとるから、失敗したら感電するで〜」
と軽く言われる始末。
……バカなんですか??
小学校の工作でラジオを作ったことがある程度で、
金槌で釘くらいしか打ったことがないド素人……というか、
ただのアホな子どもにコンセント工事やハンマードリルを使わせるなんて
正気の沙汰ではない。
とはいうものの、そこは卒なくこなし、大してできることもないくせに(せいぜい資材の搬入や片付けくらいだが)、ちゃんとお給料までいただいた。
いくら貰っていたかは覚えていないけれど、聖徳太子が
何人かはいたような気がする。
しかし、「せめて高校くらいは出ておきたい」という思いは消えなかった。
受験シーズンに間に合うよう、おじ兄に自分の意思を伝えた。
東大阪に身を寄せてから約半年。
ついに母親とあのおっちゃん(おじ弟)が迎えにやってきた。
姿を見るのも声を聞くのも、実に半年ぶりである。
「あ、久しぶり」程度の、相変わらずあっさりした挨拶。
実の母親との再会よりも、半年間世話になり温かく接してくれた
おじ兄家族との別れに涙が溢れた。
おじ兄たちに別れを告げ、道頓堀でたこ焼きを食べてから、いざ出発。
……で、どこへ?
というか、今まであんたらはどこで何をしてた?
てか、そもそも二人はどういう関係??
よくよく見たら、おじ弟よ……何本か指先がありませんけれど……?
事故ですか? それとも「詰めた」んですか……?
謎は深まるばかりだが、車は名神から東名へと、
行きとは逆のルートをたどっていく。
当時はそんな道路名など意識する余地もなく、
ただただ流れに身をまかせるしかなかった。
そして辿り着いた先は、テレビでお馴染み、富士山の麓(ふもと)であった。
……てか、このへんの地名はそろそろ伏せたほうがいいのかな?
僕的には全然構わないのですが……ま、詳しく知りたい方がいらっしゃれば、
言ってください(笑)。
今回は長すぎたなぁ。