1. 先に結論
ココナラで何を出せば稼げるのか。検索すると「稼げるジャンル◯選」が並びますが、なぜそれが選ばれたのかの数字がどこにもありません。だから自分で数えました。
主要10カテゴリ、表示件数の合計609,799件の棚をめくって、12,228件の出品を調べました。1出品あたりの累計流通額(値段×累計販売数)で並べると、こうなります。
・1位 デザイン制作 116,257円
・2位 Web制作・HP作成・EC構築 73,401円
・3位 占い 70,349円
ところが、売れた件数で並べると順位が変わります。
・1位 占い 31.3件
・2位 デザイン制作 8.1件
・8位 Web制作・HP作成・EC構築 3.3件
Web制作は販売数では8位なのに、金額では2位です。占いは販売数1位ですが、金額では3位に下がります。
「稼げるジャンル」は、何を数えるかで答えが変わります。この記事では両方出します。
2. 「稼げるジャンル」の記事に、売れた数字が無かった
「ココナラ 稼げるジャンル」で検索して、1ページ目に出てきた9枠を全部見ました。
タイトルは「12選」「13選」「11のコツ」「5選」のように数を並べる形が6枠。残りの3枠も「まとめ」「ランキング」「おすすめ」で、形は同じです。ちなみに1位はココナラブログの記事でした。
上位4本については、本文を最後まで取ってきて中身を確かめました。結果はこうです。
・そのジャンルを選んだ根拠として、売れた件数を出している記事は0本
・金額を出している記事も0本
・1本は「ジャンルごとの出品数を調べましょう」と方法まで書いていました
・1本は市場全体が伸びているという外部の調査を引いていましたが、ジャンル別ではありません
3つめが惜しいところです。出品数は調べられます。ただし出品数は並んでいる数、つまり供給の数であって、売れた数ではありません。「イラストは3万件以上あります」と言われても、そのうち何件売れたのかが分からなければ、選ぶ根拠になりません。
だから数えました。この記事は「◯選」を出しません。10カテゴリを2つの物差しで並べて、順位がどう入れ替わるかを見ます。
3. どうやって数えたか
ログインせずに、カテゴリの一覧ページを取得しました。1ページ60件です。
1カテゴリあたり18〜20ページを、先頭から末尾まで散らして取りました。前半は1、3、5、10、25、50、100ページ目。そのあとは最終ページまで等間隔に取ります。占いなら1,652ページ目まで、Web制作なら862ページ目までです。合計196ページ、12,228件になりました。
一覧のカードには、値段と、カッコ付きの数字が出ています。このカッコの中身が、その出品の累計販売実績です。カッコが無い出品は、商品ページを開くと「販売実績0件」と書いてあります。
流通額は、1件ずつ「値段×販売数」を計算しました。ページごとに平均を出し、そのページが代表する件数で重みを付けています。
ここで、外せない注意が1つあります。値段の単位が2種類あります。
・「円」は総額です。11,215件ありました
・「円/分」は分単価です。1,013件ありました
「円/分」は電話相談などで使われていて、その出品が総額でいくら売ったかは一覧から分かりません。だから金額の計算からは外しました。分単価があるのは占い(323件)と悩み相談(690件)の2つだけです。この2つの金額は、下振れしている可能性が高いです。
なお、ここで出す金額はココナラの販売手数料を引く前のものです。出品者の手取りではありません。
4. 売れた件数で並べたランキング
1出品あたりの累計販売数です。
・占い 31.3件
・デザイン制作 8.1件
・イラスト作成・漫画制作 6.0件
・ライティング・翻訳 5.6件
・悩み相談・カウンセリング 4.6件
・ビジネス代行・事務代行 4.0件
・学習指導・資格・キャリア相談 3.7件
・Web制作・HP作成・EC構築 3.3件
・IT相談・システム開発 2.9件
・生成AI活用・開発・制作 0.8件
占いが突き抜けています。1位と10位で39.5倍です。
「稼げるジャンル」のまとめ記事が占いを上位に置くのは、この形を見ているからだと思います。実際、件数ではいちばん多い。
5. 金額で並べ直すと、順位が入れ替わる
同じ12,228件を、1出品あたりの累計流通額で並べ直します。
・デザイン制作 116,257円
・Web制作・HP作成・EC構築 73,401円
・占い 70,349円
・イラスト作成・漫画制作 45,438円
・ビジネス代行・事務代行 34,846円
・IT相談・システム開発 34,022円
・ライティング・翻訳 30,336円
・学習指導・資格・キャリア相談 23,241円
・悩み相談・カウンセリング 6,652円
・生成AI活用・開発・制作 5,884円
順位の動きだけ抜き出します。左が売れた件数の順位、右が金額の順位です。
・Web制作・HP作成・EC構築 8位 → 2位
・IT相談・システム開発 9位 → 6位
・デザイン制作 2位 → 1位
・ビジネス代行・事務代行 6位 → 5位
・イラスト作成・漫画制作 3位 → 4位
・学習指導・資格・キャリア相談 7位 → 8位
・占い 1位 → 3位
・ライティング・翻訳 4位 → 7位
・悩み相談・カウンセリング 5位 → 9位
・生成AI活用・開発・制作 10位 → 10位
10カテゴリのうち9つで順位が動きました。いちばん大きく動くのがWeb制作で、6つ上がります。
6. なぜ入れ替わるのか
値段が違うからです。総額出品の値段の中央値を並べます。
・Web制作・HP作成・EC構築 13,000円
・IT相談・システム開発 5,000円
・デザイン制作 5,000円
・イラスト作成・漫画制作 4,500円
・ビジネス代行・事務代行 4,000円
・生成AI活用・開発・制作 4,000円
・ライティング・翻訳 3,000円
・学習指導・資格・キャリア相談 3,000円
・占い 2,000円
・悩み相談・カウンセリング 1,000円
Web制作の真ん中の値段は13,000円で、占いの2,000円の6.5倍です。売れた件数は占いの10分の1ですが、単価が6.5倍あるので、掛け算では上に来ます。
悩み相談はその逆です。売れた件数は4.6件で5位なのに、真ん中の値段が1,000円しかないので、金額では9位まで下がります。ただし悩み相談は分単価の出品を690件も金額の計算から外しているので、この順位は割り引いて読んでください。
7. 「稼げる」には3つの意味がある
ここまでの数字を分けると、「稼げる」は3つに分解できます。
1つめ、売れる確率です。販売実績が1件以上ある出品の割合(ページ加重)を出しました。
・占い 44.9%
・デザイン制作 31.8%
・イラスト作成・漫画制作 25.5%
・学習指導・資格・キャリア相談 24.7%
・ライティング・翻訳 23.3%
・Web制作・HP作成・EC構築 20.9%
・ビジネス代行・事務代行 20.3%
・悩み相談・カウンセリング 17.6%
・IT相談・システム開発 16.8%
・生成AI活用・開発・制作 11.7%
2つめ、売れたときの件数です。4章のランキングがそれです。
3つめ、単価です。6章の値段の中央値がそれです。
この3つは同じ順番になりません。占いは1つめと2つめで1位ですが、3つめは9位です。Web制作は3つめで1位ですが、1つめは6位、2つめは8位です。
自分がどれを取りに行くのかを先に決めないと、「稼げるジャンル」の記事はどれを読んでも噛み合いません。
8. 棚全体でいくら動いているか
1出品あたりの金額に、その棚で実際にめくれる件数を掛けると、棚全体の累計流通額のおおよそが出ます。
・占い 約69.7億円
・デザイン制作 約64.8億円
・イラスト作成・漫画制作 約44.9億円
・Web制作・HP作成・EC構築 約37.9億円
・ライティング・翻訳 約10.8億円
・ビジネス代行・事務代行 約9.6億円
・学習指導・資格・キャリア相談 約9.2億円
・IT相談・システム開発 約8.2億円
・悩み相談・カウンセリング 約8.0億円
・生成AI活用・開発・制作 約3,915万円
合計で約263億円です。サービス開始からの累計であって、1年の数字ではありません。
ここで占いが1位に戻ります。1出品あたりではデザイン制作のほうが上ですが、占いは棚に99,107件並んでいて、デザイン制作の55,724件より多いからです。
出品者から見て大事なのは、1出品あたりのほうです。棚が大きいことは、自分の取り分が大きいことを意味しません。
9. 安くすれば売れる、にはなっていません
同じ12,228件を、今度は値段の帯で切り直しました。総額出品11,215件が対象です。帯ごとに、販売実績が1件以上ある割合を出します。
・500円まで 43.7%(460件)
・501〜1,000円 30.3%(908件)
・1,001〜3,000円 33.7%(3,885件)
・3,001〜5,000円 40.8%(2,047件)
・5,001〜10,000円 51.0%(1,557件)
・10,001〜30,000円 52.0%(1,354件)
・30,001〜100,000円 51.0%(779件)
・100,001円以上 51.1%(225件)
いちばん低いのが501〜1,000円の30.3%です。そこから値段が上がるほど率も上がって、5,000円を超えたところで51〜52%の頭打ちになります。
500円までの帯だけが43.7%と例外的に高いのですが、この帯は販売実績のある出品の中央販売数が117件と突出しています。ほかの帯は5〜24件です。少数の大量に売れている出品が入っていると読むのが自然で、「500円にすれば売れる」という意味ではありません。
大事な注意を1つ。この表は10カテゴリを混ぜています。5,001〜10,000円の帯にはデザインやイラストが多く入るので、値段の効果と棚の効果を分けられていません。だから「高くすれば売れる」とも読まないでください。
10. 競合が少ない棚は、買い手も少ない
生成AI活用・開発・制作は、10カテゴリでいちばん出品が少ない棚です。6,654件しかありません。ほかは24,005件から171,027件です。
そして、いちばん売れていません。
・販売実績0件の割合 88.3%(10カテゴリで最悪)
・1出品あたりの累計販売数 0.8件
・棚全体の累計流通額 約3,915万円(占いの約178分の1)
「競合が少ないジャンルを狙え」という助言をよく見ます。この棚は、その通りにするとどうなるかを示しています。競合が少ないことと、買い手がいることは別です。
私自身もAI関連の出品を持っているので、他人事として書いていません。
11. 限界
正直に書いておきます。
・販売実績はその出品の累計であって、期間の数字ではありません。昨日出品した人も0件に入ります
・12,228件です。609,799件を全部数えたわけではありません
・ページ加重は推定です。同じ計算のまま、1カテゴリ10ページで測ったときと20ページで測ったときを比べると、占いの販売0件率は80.1%と55.1%になりました。25.0ポイント違います。深いところをどれだけ細かく測るかで、これだけ動きます。この記事の数字にもそのくらいの幅があると思ってください
・金額は「円」表記の11,215件だけで計算しています。分単価の1,013件(占い323件、悩み相談690件)は入っていません。この2つの金額は下振れしている可能性が高いです
・値段の帯の表は10カテゴリを混ぜているので、値段の効果と棚の効果を分けられていません
・一覧は2,000ページ、120,000件でめくれなくなります。悩み相談は171,027件のうち51,027件、29.8%が一覧からは見えません
・数えたのは上位の大分類です。その中の細かい棚では違う形になります
12. この数字をどう使うか
3つだけ書きます。
ひとつ。「稼げる」を自分で定義してから棚を選んでください。件数が欲しいのか、金額が欲しいのかで答えが変わります。
ふたつ。単価の高い棚は、少ない件数で同じ金額に届きます。Web制作は1出品あたり3.3件で73,401円、占いは31.3件で70,349円です。ほぼ同じ金額に、10分の1の件数で届いています。ただし売れる確率はWeb制作が20.9%、占いが44.9%で、占いのほうが2倍以上あります。楽なほうを選ぶ話ではありません。
みっつ。競合の少なさを理由に棚を選ばないでください。生成AI活用がその実例です。
同じ12,228件から、販売実績0件が何割いるかを数えた記事も書いています。
私は自分の商品でも同じことをしています。45,674件を数えた市場レポートと、出品文を書き直すためのAIプロンプト集を出しています。数字の出どころは全部この方法です。