こんにちは。理学療法士として20年、病院で働きながら、現在はリハビリ部門の科長をしています
前回は、患者さん・ご家族に向けて「リハビリへの不安を、うまく言葉にできないとき」についてお話ししました。
今回は、リハビリの現場で働く方に向けて、患者さんへの「説明」をテーマに考えてみたいと思います。
■「説明したつもりなのに」と感じるとき
「説明したけれど、納得してもらえなかった」
「同じことを何度も聞かれて、どう伝えればよいか迷う」
「うなずいてくれていたけれど、認識が違っていた」
患者さんとの関わりの中で、こうした場面に戸惑うことはないでしょうか。
丁寧に説明しようとするほど、情報が増えたり、専門的な話になったりすることもあります。
そんなとき、説明する自分が何を伝えたかに加えて、相手が何を知りたかったのかを振り返ってみると、次の関わり方が見えてくるかもしれません。
■ ① まず「何が気になっているか」を聞いてみる
例えば、患者さんから「歩けるようになりますか?」と聞かれた場面を考えてみます。
私たちは、筋力やバランス、歩行能力について説明しようとするかもしれません。
一方で、患者さんが心配しているのは、「家のトイレまで行けるか」「家族にどのくらい手伝ってもらうのか」という生活のことかもしれません。
説明を始める前に、
「歩くことについて、特に心配な場面はありますか?」
と聞いてみる。
その一言から、患者さんが知りたいことに沿って話を進められる場合があります。
もちろん、回復の見通しには不確かな部分もあります。分かっていることと、まだ判断できないことを分けて伝える姿勢も大切にしたいと思います。
■ ② 専門用語を、生活の言葉に置き換える
私たちにとって日常的な言葉でも、患者さんにはなじみがないことがあります。
例えば、
「立位バランスの練習をします」
↓
「立ったままズボンを上げるときに、ふらつかないように練習していきます」
このように、目指している生活の場面と結びつけると、練習の目的を共有しやすくなります。
ただし、その場面が患者さん自身の希望と合っているかも確認したいところです。
「この練習が必要です」と伝える前に、「ご自宅で、どんなことに困りそうですか」と尋ねることで、一緒に考える説明に近づけるのではないでしょうか。
■ ③「分かりましたか?」だけで終わらせない
説明の最後に「分かりましたか?」と尋ねると、患者さんが気を遣って「はい」と答えることもあるかもしれません。
理解を確かめたいときは、患者さんを試すような聞き方にならないよう、自分の伝え方を確認する姿勢を添えてみます。
「私の説明が分かりにくくなかったか確認したいので、今日の話をどのように受け取られたか、教えていただけますか?」
答えに違いがあれば、伝え直すきっかけになります。
言葉で答えることが難しい方には、実際の動作や写真、図なども使い、その方に合った方法を考えていきたいですね。
■ 伝わりにくさを、自分ひとりで抱えない
説明がうまくいかなかったと感じると、「自分の知識や経験が足りないからだ」と落ち込むこともあると思います。
振り返りは大切ですが、一度のやり取りだけで自分の力を決めつける必要はありません。
疲れている時間帯だったのか、周囲が騒がしかったのか、ほかに大きな心配があったのか。言葉の選び方以外にも、振り返れることはあります。
迷ったときは、先輩や他職種に「どんな伝え方をしていますか」と聞いてみるのもひとつの方法です。
私自身も、科長という立場になってからも、伝え方を考え直す場面があります。経験を重ねても、相手に合わせて工夫し続けることが必要なのだと感じています。
■ 次の説明で、ひとつだけ試してみる
次に患者さんへ説明するときは、最初に、
「今、いちばん気になっていることは何ですか?」
と聞くところから始めてみませんか。
すべてを一度に変える必要はありません。相手の気がかりをひとつ知ることが、説明の入口になると思います。
ココナラでは、リハビリ職の仕事や人間関係、キャリアについて、チャットや電話でお話を伺っています。
患者さんとの関わりに迷っているときや、職場では話しづらい悩みがあるときに、状況や気持ちを一緒に整理できればと思っています。相談の際は、患者さん個人が分かる情報を伏せてお話しください。
相談を考えている方は、プロフィールの出品サービスをご覧ください。
このブログが、次の関わり方を考える小さなきっかけになればうれしいです。