単品の在庫日数だけを見て発注すると、在庫は膨らみます。見るべきは、その商品が属するカテゴリ全体の在庫日数です。
■ 同じ数字から、逆の判断が出る
あるアパレルECの1ヶ月分のデータです。テーパードパンツ、在庫12点、日販1.0点、在庫日数12日。2週間を切っています。売れ筋で、このままだと欠品します。追加発注すべきに見えます。
ところが、同じ商品が属する「パンツ」カテゴリ全体を見ると、こうでした。パンツカテゴリ、在庫212点、日販1.1点、在庫日数193日。半年以上動かない量です。内訳を見ると、もう1品番に200点の在庫があり、それがほとんど売れていませんでした。
ここでテーパードパンツを追加すると、パンツカテゴリの在庫はさらに増えます。193日が210日になり、220日になる。売れていない在庫の上に、売れる在庫を積むことになります。
■ なぜ単品だけを見てしまうのか
単品の在庫日数は簡単に出せて、カテゴリの在庫日数は出しにくいからです。受注データと在庫データを商品コードで結合し、カテゴリで集計し、それぞれの日販を出して割る。手作業だと数十分かかります。毎日はできません。
結果として、日々の発注判断は「アラートが出た商品を見る」形になります。アラートは単品単位で出ます。カテゴリ全体は視界に入りません。個々の判断は全部正しいのに、合計すると間違っている、という状態です。
■ 判断の手順
1. カテゴリ全体の在庫日数を先に出す。単品より先です。順番を逆にすると、単品の数字に引っ張られます。
2. カテゴリが45日未満なら、そのカテゴリは品薄。単品で在庫日数が短いものは追加してよい。
3. カテゴリが45日以上なら、単品が何日であっても追加しない。まずカテゴリ内の消化を優先する。
4. それでも欠品させたくない売れ筋がある場合は、同カテゴリ内の滞留品を先に動かす施策とセットで考える。
45日という数字は業態によって変わります。回転の速い消耗品なら30日、シーズン商材なら60から90日が妥当な場合もあります。大事なのは数字そのものではなく、単品とカテゴリの両方を見てから決めるという順序です。
■ まとめ
・単品の在庫日数だけで発注を決めると、在庫は膨らむ ・カテゴリ全体の在庫日数を先に見る ・カテゴリが厚いなら、単品が品薄でも追加しない
数字を出すこと自体は難しくありません。難しいのは、どの数字とどの数字を突き合わせるかを決めることです。
※本記事の数値は、説明のために作成した架空のアパレルEC(月商217万円)のものです。実在の企業のデータではありません。
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