営業資料5枚に収めるための削る順番

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ビジネス・マーケティング
営業資料が20枚を超えると、相手は最後まで読みません。
これは自分が発注する側で何度も体感したことで、枚数を減らす作業は「情報を捨てる」ではなく「相手の判断負荷を減らす」ことだと気付きました。

代行業務で営業資料を受け取る側に回る機会が多く、20枚超えの資料は冒頭の数枚で読み手の集中が切れていく様子を何度も見てきました。本記事では、20枚を5枚まで削るときの順番と、最後まで残すべき要素、判断に迷ったときの問い方を整理します。自作派の方が一人で削る作業に詰まったときの叩き台としてもお使いいただけます。

■ なぜ「削る順番」を先に決めるのか

削る作業で多くの方が「重要そうなものから残す」アプローチを取ります。残す基準は人によって揺れるため、結局すべてのスライドを少しずつ薄くするだけで終わりがちです。

捨てる順番を先に決めておくと、判断のブレが消えます。読み手の頭の中で一度に保持できる情報量には目安があり、枚数が多いほど後半は「目で追っているだけ」になります。削るとは中身を諦めることではなく、相手の脳のリソースを空けてあげる作業です。

■ 削る順番(上から手をつける)

【第1層:書き手の安心材料】
会社沿革・受賞歴・拠点一覧・代表挨拶。書き手が安心するために置きがちな情報で、初見の意思決定材料にはなりません。会社情報は最終ページの数行に圧縮するか、別添会社案内に逃がします。ここで2〜3枚は減ります。

【第2層:機能・サービスの網羅説明】
「できること全部リスト」は削る筆頭です。読み手は全機能を比較したいわけではなく、自分の課題に効く機能だけを見て判断します。本編には課題に直結する2〜3機能だけを残し、残りはFAQや別添に逃がします。

【第3層:競合比較表】
比較表は読み手を助けるつもりで作って、逆に判断を止めることがあります。比較軸が10個並ぶと「全部見ないと決められない」と感じて先延ばしされやすい。本編からは外し、必要な決裁フェーズでは別添として渡す運用に切り替えます。

【第4層:装飾的な図解・中扉】
「資料が寂しいから」という理由で入れた図解、章扉、まとめ前の「以上です」。文字情報を補強しない図は、読み手に「これは何を意味するのか」を考えさせる負荷になります。残していい図は「文字で説明すると3行以上かかるが、図にすれば一目で分かる」もののみです。

■ 「捨てる」ではなく「移す」と考える

削る作業で詰まるのは、書き手が「捨てる」と考えるからです。書いた本人にとってはどのスライドにも思い入れがあり、手が止まります。

代わりに「本編から別添に移す」と考えると、情報自体は残るので心理的な抵抗が下がります。5枚は玄関、別添は応接室。玄関に家具を全部置く家はありません。

■ 「うちの業界は枚数が必要」と感じたとき

技術系・金融系などで「情報量が必要」というケースは確かにあります。ただし、必要なのは情報量であって、本編の枚数ではありません。

興味喚起フェーズの読み手(現場担当者)と、決裁フェーズの読み手(管理職・決裁者)は別人として設計します。本編5枚で現場担当者に「次のアクション」を決めてもらい、別添資料で決裁時の根拠を渡す。この2層分離をしないまま全部を本編に詰めると、読み手は冒頭で疲れて離脱します。

■ 5枚に残す要素

削った結果、最終5枚に残すべき構成は次の通りです。

1枚目:課題の言語化(相手の状況を相手の言葉で1文に)
2枚目:解決の方向性(何をどう変えるかの輪郭)
3枚目:具体内容(提供物の中核・深掘り2〜3点)
4枚目:導入イメージ(進め方・体制・期待される変化)
5枚目:条件と次の一歩(価格・期間・次のアクション)

最後の5枚目は「ご検討よろしくお願いします」で終わらせず、「いつまでに返事が欲しいか」「返事の連絡先」「返事の選択肢(依頼する/質問する/見送る)」を書き込みます。これだけで結びページは意思決定ページに変わります。

■ 判断に迷ったときの3つの問い

削るか残すか迷うスライドが出てきたら、次の問いを順にかけます。

・このスライドがなかったら、読み手は判断できないか
・同じ内容を、隣のスライドの1行に書き足せないか
・これは「相手が知りたいこと」か「自分が説明したいこと」か

3つ目の問いで止まるスライドが、削るべきスライドです。

■ よくある失敗パターン

・フォントを小さくして枚数だけ減らす(情報密度が上がるだけで負荷は減らない)
・図解を増やして文章を減らす(中身が薄いまま図にしても伝わらない)
・「補足」「付録」を本編に挟む(本編に挟んだ瞬間それは本編。別添は物理的に別ファイルに分ける)

■ 自作派の方への実用ヒント

書き終わったあと、5枚を印刷して机に並べてみてください。1枚ずつ「これがなかったら相手は次に進めないか」と自問し、「なくても進める」と答えられたページは別添に移します。

入れ物の側から設計する習慣がつくと、削る作業自体が短くなります。手元の資料を開いて、上から順に試してみてください。

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