会議やインタビュー、講義などの音声を文字にするとき、
「聞こえた言葉を、そのまま入力すれば文字起こし」
と思われることがあります。
もちろん、一字一句そのまま残すことが必要な場面もあります。
でも、実際の会話をそのまま文字にしてみると、
意外と読みにくいものです。
例えば、
「えー、今回なんですけど、まあ、前回も少し話したんですけど、えっと、資料についてですね……」
話しているときにはそれほど気にならなくても、文章になると少し読みづらく感じます。
文字起こしでは、
「音声を文字にすること」と「読める文章にすること」は、少し違います。
今回は、文字起こしした文章を読みやすく整えるときに考えたい3つのポイントについて書いてみます。
そもそも文字起こしにはいくつか方法があります
「文字起こし」と一言でいっても、すべて同じ仕上げ方ではありません。
よく使われるのが、
素起こし
ケバ取り
整文
という方法です。
素起こし
「あのー」「えー」「そのー」なども含めて、基本的に発言をそのまま文字にします。
話し方そのものを確認したい場合などには必要ですが、文章として読むとかなり読みにくくなることがあります。
ケバ取り
「あのー」「えー」といった、意味に大きく影響しない言葉を取り除きます。
発言内容はできるだけ残しながら、読みやすくする方法です。
整文
話し言葉を、意味を変えない範囲で読みやすい文章に整えます。
議事録や資料など、後から「読む」ことを目的にする場合には、この整理が必要になることがあります。
① 「えー」「あのー」を全部残す必要があるか考える
実際の会話では、
「えー」
「あのー」
「まあ」
「そのー」
といった言葉をかなり使っています。
話しているときには自然でも、文字になると目立ちます。
例えば、
修正前
「えー、今回の会議なんですけど、まあ、前回の内容を踏まえて、あのー、今後の予定について話したいと思います」
これを少し整理すると、
修正後
「今回の会議では、前回の内容を踏まえて今後の予定について話したいと思います」
かなり読みやすくなります。
ただし、
何でも消せばよいわけではありません。
インタビュー研究などでは、間の取り方や言いよどみ自体が意味を持つ場合もあります。
何のための文字起こしなのかによって、残す情報は変わります。
② 重複や言い直しを整理する
人は会話するとき、文章のようにきれいには話しません。
例えば、
「来月から始める予定で、いや、正確には来月の中旬から始める予定です」
というように、途中で言い直すことがあります。
これをそのまま残す必要がなければ、
「来月中旬から始める予定です」
と整理できます。
また、
「これは重要だと思います。すごく大事だと思っていて、やっぱり重要だと思います」
のように、同じ内容を繰り返すこともあります。
話している本人にとっては強調の意味がありますが、議事録などでは整理した方が読みやすい場合があります。
ただし、
重複を消したことで発言者の意図まで弱くならないか
には注意が必要です。
③ 「きれいな文章」にしすぎない
ここは意外と大切だと思います。
文字起こしを整えるとき、
読みやすくしようとして文章を大きく書き換えてしまうことがあります。
でも、それでは、
文字起こしではなく、文章の作り直し
になってしまう可能性があります。
例えば、
「この方法は、現場ではちょっと難しいと思います」
という発言を、
「本手法を臨床現場へ導入することは困難であると考えられる」
まで変えてしまう。
意味は近いかもしれませんが、話した人の表現とはかなり違います。
文字起こしでは、
読みやすくすることと、発言者の意味を変えないこと
のバランスが重要です。
「何に使う文章なのか」で整え方は変わります
同じ音声でも、
何に使うかによって文字起こしの方法は変わります。
例えば、
インタビュー研究
発言そのものがデータになるので、できるだけ元の表現を残したい場合があります。
会議の議事録
すべての発言を残すより、
「何が決まったのか」
「誰が何を担当するのか」
「次回までに何をするのか」
を整理した方が役立つ場合があります。
講義・研修
話した内容をそのまま残すより、
見出しをつけたり、内容ごとに整理したりした方が復習しやすくなることがあります。
つまり、
文字起こしの正解は一つではありません。
AIで文字起こしできる時代だからこそ、その後が大切
最近はAIを使って、かなり簡単に音声を文字にできるようになりました。
これは本当に便利です。
以前なら何時間もかかっていた作業を、大幅に短縮できることもあります。
ただ、
AIが文字にしてくれたから完成、
とは限りません。
例えば、
人名を間違えている。
専門用語を別の言葉として認識している。
話者が入れ替わっている。
文章の区切りがおかしい。
意味が通らない部分がある。
といったこともあります。
そのため、
文字起こし後の確認・校正
はまだ重要です。
文字起こしと議事録作成も少し違います
文字起こしは、
「何を話したのか」
を文章にする作業です。
一方、議事録では、
「会議で何が重要だったのか」
を整理する必要があります。
例えば1時間の会議をすべて文字にすると、かなりの文章量になります。
でも、実際に後から知りたいのは、
決定事項
検討事項
保留事項
担当者
期限
次回までの課題
だったりします。
つまり、
文字起こし → 整理 → 要約 → 議事録
と、作業の段階が少しずつ違います。
「全部残す」が一番親切とは限りません
文字起こしをすると、
「せっかく話したのだから全部残した方がいい」
と思うことがあります。
もちろん、記録としてすべて残す必要がある場合もあります。
でも、
後から読む人にとって、
1時間分の会話がそのまま何十ページも並んでいる状態が、本当に使いやすいでしょうか。
場合によっては、
元の文字起こしを残しながら、
別に要約版を作る。
議事録として決定事項だけ整理する。
重要部分を抜き出す。
という方法もあります。
残すことと、使いやすくすることは別です。
私が文字起こしを整えるときに意識すること
私が意識したいと思っているのは、
「元の意味を変えずに、読む人の負担を減らせているか」
です。
きれいな文章を作ることが目的ではありません。
元の発言を尊重しながら、
不要な言葉を整理する。
重複を整理する。
必要なら文章を整える。
そして用途によっては要約する。
この順番で考えると、
どこまで手を加えるべきか判断しやすくなります。
まとめ
文字起こしは、
単純に音声を文字へ変換するだけではありません。
特に後から読むための文章にする場合には、
①不要な言葉を整理する
②重複や言い直しを整理する
③意味を変えない範囲で読みやすくする
という作業が必要になることがあります。
そして重要なのは、
何のために文字起こしをするのか
です。
研究データとして使うのか。
会議記録として残すのか。
議事録を作るのか。
講義内容を整理するのか。
用途によって、
「どこまでそのまま残すか」
は変わります。
AIで音声を文字にすることが簡単になった今だからこそ、
その次の、
「どう整えて、どう使える形にするか」
が大切になってきているのかもしれません。
音声データはあるけれど、
「文字起こしする時間がない」
「AIで文字にしたけれど、誤字や文章の乱れが多い」
「文字起こしだけでなく議事録まで作ってほしい」
「長い内容を読みやすく整理・要約してほしい」
といった場合には、音声から文字起こし、校正、整理、要約・議事録作成までサポートしています。
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