皆様、こんにちは。スマート危機管理コンサルティングの久保です。
「地域の役に立つのだから、福祉避難所の協定は結んでおこう。」
そう思っていませんか?
私は消防職員として約40年間、さらに行政の危機管理部門でも勤務し、**協定を結ぶ側(行政)**として施設と向き合ってきました。
その経験から申し上げます。**曖昧なまま結んだ協定ほど、災害時に施設を追い詰めるものはありません**。
今回は、協定を結ぶ前に必ず詰めておきたい5つの条件をご紹介します。
## 前提:福祉避難所は「誰でも受け入れる場所」ではありません
福祉避難所は、一般の避難所での生活が困難な高齢者・障害者などのための避難所です。
近年は、受け入れる対象者をあらかじめ特定し、**その方が直接その施設へ避難できる**仕組みへの移行が進められています。指定福祉避難所として公示されることで、対象を明確にしたまま受け入れられるようになる、という考え方です。
裏を返せば、この整理をしないまま協定だけを結ぶと、**想定外の方が押し寄せる**ことになります。
## 条件① 受入対象と、人数の上限
- 受け入れる対象者の範囲(要介護度、障害の種別、既存利用者の家族は含むか)
- **受入可能人数の上限**を数字で明記する
- 上限を超えた場合、どこへ引き継ぐか
「可能な範囲で受け入れる」という一文は、災害時には「断れない」と同義になります。
## 条件② 開設のタイミングと、要請の主体
- 誰が(市町村のどの部署が)、どういう手順で開設を要請するのか
- **要請前に自主的に受け入れた場合**の扱いはどうなるか
- 夜間・休日の要請ルートは確保されているか
ここが曖昧だと、目の前に避難者が来たとき、施設が独断で判断せざるを得なくなります。
## 条件③ 費用の負担
これが最も揉める項目です。
- 食料・水・消耗品の費用
- 光熱水費
- **職員の時間外手当**
- 破損した設備の修繕費
「後日協議」ではなく、**精算の方法と、申請の窓口・様式**まで書き込んでおいてください。災害後の混乱の中で、領収書のない支出を証明するのは至難の業です。
## 条件④ 職員の確保と、本来業務との両立
福祉避難所を開設しても、施設の入所者の介護はなくなりません。人員は自動的に二重負担になります。
- 受入対応に何人必要か、その人員はどこから出すのか
- 行政や社会福祉協議会からの**応援職員の派遣**は約束されているか
- 対応が難しくなった場合の**中止・縮小の申し出**ができる条項があるか
「一度引き受けたら最後までやり抜く」という前提の協定は、現実的ではありません。撤退のルールがある協定こそ、実効性のある協定です。
## 条件⑤ 資機材・物資の供給責任
- ベッド、簡易トイレ、パーティション、発電機などを、どちらが用意するか
- 備蓄が尽きた場合、**誰がいつまでに補給するか**
- 施設の備蓄を提供した場合の補填はどうなるか
施設の備蓄は、まず自施設の利用者を守るためのものです。ここを混同しないよう、線を引いておいてください。
## 協定は「結ぶこと」がゴールではありません
本当の目的は、
職員が迷わず行動できること。
そして、
利用者・患者様の命を守ること。
そのためには、条件を数字と手順で詰めておくことが欠かせません。
## 最後に
私は、
消防職員として約40年
行政の危機管理部門で約5年
の経験を活かし、医療・介護施設を中心に、
消防計画
BCP
避難確保計画
の見直しや統合、実効性向上のお手伝いをしています。
「行政から協定を打診されたが、この内容で大丈夫だろうか」
そんな不安がありましたら、お気軽にご相談ください。
"提出するための計画"ではなく、"現場で使える計画" を一緒に作り上げましょう。
現在、スマート危機管理コンサルティングでは、【毎月限定5枠】で「既存計画の無料健康診断」を実施しております。
プロの目線で、貴施設の計画の以下のポイントを診断いたします。初動の実効性: 夜間の少ない職員(出勤率3%程度を想定)でも、本当にそのマニュアル通りに動けるか? 属人化リスク: 作成担当者が辞めても、他の職員が理解して引き継げる内容(個人名ではなく役職名での記載など)になっているか?
監査対策: 感染症と自然災害の違いを明確に切り分け、行政の厳しい監査をクリアできる整合性が取れているか? 診断後、「どこをどう修正すべきか」の具体的なフィードバックをお渡しします。
もちろん、診断を受けたからといって、無理に有料サービスをおすすめすることはありません。「作ったまま放置されている計画」を、現場の命を守れる「生きた計画」 にするための第一歩として、ぜひこの無料健康診断をご活用ください。
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