現場改善をしていた。
不良対策もした。
工程改善もした。
標準化もした。
仕組みも変えた。
なぜか。
すべてはタバコのために。
「本質を見ましょう」
そんな立派な話ではない。
むしろ私は面倒くさがりだ。
同じ問題が何度も起きる。
誰かに注意する。
しばらくすると、また同じ問題が起きる。
また注意する。
私はこれが苦手だった。
言う方もしんどいし、言われる方もしんどい。
だったら最初から起きないようにした方がいい。
だから原因を探した。
だから仕組みを変えた。
だから本質を見ようとした。
私はサボり癖がある。
現場が安定していないと、ゆっくりタバコも吸えない。
トラブルが起きる。
呼び出される。
確認作業が増える。
気がつけば一日が終わる。
これが一番嫌だった。
だから改善した。
会社のためでもない。
上司のためでもない。
私が平和にタバコを吸うためだ。
もちろん半分は冗談である。
でも半分は本気だ。
現場が安定しているということは、私だけが楽になるわけではない。
働く人たちも楽になる。
余計なトラブルが減る。
余計なストレスが減る。
結果として、みんなが楽になる。
タバコは体に悪い。
そんなことは分かっている。
それでも私はタバコの時間が好きだった。
気分転換になるから。
頭を切り替えられるから。
一度席を離れることで、冷静に考えられるから。
行き詰まっていた問題の答えが見つかることもあった。
でも、タバコの良さはそれだけではない。
喫煙所には不思議な空気がある。
役職も部署も関係ない。
顔見知りもいる。
初めて話す人もいる。
たまたま隣になった人と雑談が始まる。
その中で現場の本音を聞くこともあった。
会議では出てこない話。
報告書には書かれない話。
改善のヒントになる話。
そんなものが自然と集まっていた。
知らない人に相談して、ヒントをもらったこともある。
ずっと悩んでいた問題。
どうしても答えが見つからなかったこと。
何気なく話したら、
「それやったらこうしたら?」
と、あっさり答えが返ってくる。
会議では出てこない。
資料にも書かれていない。
でも現場を変えるヒントは、意外とそんな場所に落ちていた。
だから今振り返ると、
私が守りたかったのはタバコそのものではなかったのかもしれない。
気分転換の時間。
人とのつながり。
本音が聞ける場所。
思いがけないヒントが生まれる場所。
そんな時間を守りたかったのだと思う。
私は昔から結果だけで判断することに違和感があった。
なぜそうなったのか。
何が原因だったのか。
そこを見ないと、また同じことが起きるからだ。
本質を見ようとする理由は、意識が高いからではない。
賢いからでもない。
ただ、同じことを何度も繰り返したくないだけだ。
そして、
できるだけ平和な時間を増やしたいだけだ。
すべてはタバコのために。
そう思っていた。
でも本当は、
人が少し肩の力を抜いて話せる時間のためだったのかもしれない。 🚬☕️