恋の揺れを見守る占い師が綴る、相談の舞台裏

恋の揺れを見守る占い師が綴る、相談の舞台裏

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占い
朝、目が覚めた瞬間に「あ、今日は“恋愛の波”が高い日だな」と胸がざわっとした。
私の胸は、天気予報より当たる。
気圧じゃなくて“人の気配”で動くから。

コーヒーを淹れていたら、スマホが震えた。
相談の通知だ。
だいたい朝の相談は、恋の火急案件。

「先生、昨日の彼の“またね”って、いつの“またね”ですか」
ああ、出た。
恋愛界の“またね”は、未来のどこに着地するかわからない彗星みたいなもの。

私はつい、いつもの口癖が心の中で出る。
「落ち着いて大丈夫ですよ。気持ちの温度を一緒に見ましょうね」  
これ、私の鑑定の骨みたいな言葉だ。

返信しようとしたら、次の相談が届く。
「先生、彼のLINEの語尾が今日は“ね”じゃなくて“よ”なんです。気持ち変わりました?」
語尾の変化で愛情を読むの、恋の国の高度占術すぎる。
でも、私は嫌いじゃない。
人が誰かを好きになると、世界の細部が全部“暗号”に見えるから。

電車の中で、私はそっとタロットを切る。
カードは『節制』。
また出た。
このカード、私にしょっちゅう「深呼吸しなさい」って言ってくる。
保健室の先生かな。

私は心の中で、いつもの鑑定スタイルで読み解く。
「感情の波が揺れてるけど、根っこは変わってない。焦らなくて大丈夫」  
これも私の口癖だ。
焦りは恋の火事を起こすから。

会社に着くと、同僚が「なんか今日、目が優しいね」と言ってくれた。
たぶん、朝から恋の相談を三件も受け取ったせいで、
私の瞳が“恋愛運の交通整理”みたいになっている。

昼休み、また通知。
「先生、彼から“ごめん寝てた”って来ました。これは脈ですか」
寝てただけで脈を感じられる恋って、ほんとうに尊い。
恋の芽は、だいたい“寝てた”の中に潜んでいる。

私はそっと返信する。
「脈はあります。ただし、あなたが思う形とは少し違うかもしれません。でも、ちゃんと温度はありますよ」  
これ、私の鑑定の“温度計スタイル”。
言葉より温度で読むほうが正確なときがある。

恋の悩みは尽きないし、明日もまた誰かの“既読スルー”が世界の終わりみたいに届くんだろう。
でも、私は思う。

恋に悩む人って、ほんとうに愛おしい。
だって、心がちゃんと動いている証拠だから。

そして私は、その揺れをそっと受け止める役目を、
今日も、明日も、少し誇りに思っている。


※本文の相談内容は、実際のご相談とは異なる形にアレンジしています。
安心して読んでいただけるよう、個人が特定されないように配慮しています。


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