大久野地区モデルは、どうやって「具体的な連携」に落としていくのか
前回までで、「地域資源を結んでいくモデル」として大久野地区モデルの全体像をご紹介しました。
今回はもう一歩踏み込み、それをどうやって現実の連携に落とし込んでいくのか、その設計プロセスについて書いてみます。
① まずは「拠点に必要なもの」を分解する
大久野地区モデルでは、食堂を基幹拠点として想定しています。
では、食堂を運営するために何が必要か。
ここを、感覚ではなく要素分解から始めます。
例えば──
食事メニュー・献立
食器・カトラリー
食材(魚・肉・野菜・米 など)
調理・配膳・清掃などの人手
衛生管理・栄養管理
「食堂をつくる」ではなく、
食堂を成立させている部品を一つずつ洗い出すイメージです。
② 地域に既にある“答えの種”を探しにいく
次に考えるのは、「それをゼロから用意するのか?」ではなく、
地域の中に既にあるものと結びつけられないかという視点です。
例えば魚。
大久野地区には管理釣り場があり、ニジマス釣りやつかみ取り体験、塩焼きが名物になっています。
それなら、
ニジマスを仕入れて、食堂メニューに塩焼きを組み込めないか。
という連携案が自然に浮かびます。
野菜であれば、農産物直売所が活発。
一方で農家の高齢化という現実もあります。
それなら、就労支援の作業として栽培補助や収穫補助を組み込めないか。
という形で、
調達と就労支援が同時に成立する設計に転換していきます。
「資源を探す」というより、
すでにある営みの延長線上に、別の役割を重ねていく感覚です。
③ 協力機関は、どうやって見つけていくのか
協力先は、名簿から探すよりも、
日常の移動の中で拾い上げていくことの方が多くなります。
歩いているとき
自転車で通ったとき
送迎や外回りの途中
「ここ、何をしている場所だろう?」
「この活動、別の文脈とつなげられないか?」
そうした引っかかりを起点に、役割の再編集を考えるのが基本姿勢です。
もう一つは、テーマ先行型の探し方です。
例えば、
食べられる花を使ったデザートができたら面白いのでは。
と思ったら、
生花店、農園、製乳会社など、必要な要素を逆算して探していきます。
連携先探しというより、
設計に必要な機能を満たす場所探しに近い感覚です。
④ 役割分担は「できないことを誰に預けるか」から決める
もう一つ重要なのが、資格や責任の所在です。
例えば食堂運営。
自分自身には調理師資格も食品衛生の実務経験もありません。
ならば、
すでに持っている事業者に、基幹部分を担ってもらう
という設計を取ります。
地域の仕出し弁当店などに協力機関として参画してもらい、
衛生管理
栄養管理
レシピ開発
といった部分を担ってもらう。
その上で、
仕込み補助
配膳
清掃
一部加工工程
を就労支援の作業として組み込んでいく。
「全部を自分たちでやろうとしない」
「責任の重い部分ほど、既存の専門性に預ける」
この切り分けが、継続性を左右します。
同様に、
食堂の装飾品
箸袋やランチョンマット
などは、地域の福祉施設に製作を依頼し、
納品という形で参加してもらう設計も可能です。
⑤ 連携とは「お願い」ではなく「役割設計」
※この考え方は、地域づくりや福祉連携に限らず、事業開発や新規プロジェクト設計全般にも応用できます。拠点機能を分解し、既存資源に当て込み、責任と作業を切り分けて再接続するという手順は、分野を問わず再現可能な設計フレームです。
ここまで見てきたように、
このモデルで行っているのは、
支援先を探すこと
協力をお願いすること
というよりも、
地域の営み同士を、別の形で再接続していく設計
に近い作業です。
誰かの善意に依存する構造ではなく、
それぞれの事業や活動にとっても意味のある役割として組み込む。
そうすることで、
就労支援
高齢者支援
地域経済
観光・交流
が同時に動く状態をつくっていくことができます。