第4章:第2話|事故物件──告知義務が万能だと思っていた頃

第4章:第2話|事故物件──告知義務が万能だと思っていた頃

記事
コラム
「事故物件かどうかは、
きちんと告知されるもの」

そう思っている方は、
少なくないかもしれません。

実際、
賃貸契約には
告知義務という考え方があります。

一定の条件に当てはまる場合、
貸主や仲介業者は、
事前に説明をしなければならない。

ここまでは、
多くの方が知っている話です。


ところが、
実際の運用は、
このイメージとは少し違います。

事故物件であるかどうかは、
「事実」だけで決まるものではありません。

いつ起きたのか。
どのような内容だったのか。
どこまでが対象になるのか。

告知義務には、
いくつもの判断要素が重なっています。


たとえば、
過去に室内で人が亡くなっていた場合。

それが自然死だったのか、
事件性があったのか。

さらに、
それが何年前の出来事なのか。

こうした条件によって、
告知の要否が変わることがあります。

つまり、
「起きたかどうか」だけでは
判断されません。


また、
すべての出来事が
永続的に告知されるわけでもありません。

一定期間が経過すると、
告知の対象外と判断されるケースもあります。

この点を知って、
違和感を覚える方もいるかもしれません。

しかし、
これは珍しい話ではありません。


問題になるのは、
ここからです。

住み始めてから、
近隣の人の話や、
後から知った情報によって、

「ここ、そういう部屋だったらしい」

と分かることがあります。

そのとき、
契約書を見返しても、
特に記載はありません。

「告知されていない=問題ない」
とは、
必ずしも言い切れない状況です。


ここで多くの人が感じるのは、
「騙されたのではないか」
という感覚です。

ですが、
法的に見ると、
告知義務は守られている。

そう判断されることも、
少なくありません。

このズレが、
大きなストレスになります。


事故物件の問題は、
法律の話であると同時に、
感覚の問題でもあります。

住んでみて、
理由は分からないけれど
落ち着かない。

体調を崩しやすくなった。
眠りが浅くなった。

そうした変化があったとしても、
それを証明することはできません。

このとき重要なのは、
正しさを争うことではありません。

「住み続けられるかどうか」
という判断です。

告知義務が守られていたとしても、
自分の感覚まで
無視する必要はありません。


事故物件の話は、
白か黒かで整理しにくい問題です。

契約では説明できても、
生活までは説明できない。

第4章で扱っているのは、
まさにこの部分です。

次は、
さらに契約では扱いにくい話に進みます。
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