WebサイトやECの相談では、「この作業を自動化できませんか」という話が出ることがあります。
技術的に実現できるなら、最初から自動化した方が効率的に見えるかもしれません。
ただ、私は「自動化できること」と「今、自動化すべきこと」は分けて考えたいと思っています。
その問題は、もう実際に起きているか
たとえば、まだ顧客がいない新しいサービスで、満枠時のキャンセル待ち機能を先に作るとします。
しかしこの段階では、満枠になるのか、キャンセルが発生するのか、待っている人がいるのかは、まだ確認できていません。
返却期限の通知、複雑な顧客管理、大量注文を前提とした処理も同じです。将来必要になる可能性はありますが、可能性だけを理由にすべて作ると、まだ存在するか分からない問題へ時間と予算を使うことになります。
作れる機能を並べる前に、「その問題は、もう起きているのか」を確認する必要があります。
手作業が観測装置になることもある
スタート直後は、事業者自身も実際の顧客行動をまだ十分に知りません。
どこで迷うのか。どんな問い合わせが来るのか。説明の何が伝わらないのか。どんな例外が起きるのか。本当に負担になる作業は何か。
最初の運用を人が確認することで、こうした情報が見えてきます。
期限を守らない人が多いと思っていたのに、実際には通知より説明文の方に問題があるかもしれません。複雑な管理画面が必要だと思っていたのに、件数が少ない間は簡単な一覧だけで十分かもしれません。
手作業は常に非効率なのではなく、まだ固まっていない事業では顧客と運用を観察する役割を持つことがあります。
最初から任せるものと、観てから任せるものを分ける
もちろん、自動化しない方がよいという話ではありません。
決済、注文通知、在庫との単純な連動など、最初から発生することが明確で、人が繰り返す意味がほとんどない処理は、初期から仕組みに任せる合理性があります。
一方、発生件数、例外、適切な条件がまだ分からない仕事は、まず小さく運用して観察する。そのうえで、同じ条件で繰り返し発生すると分かった部分を自動化する。
判断の順番は、次のようになります。
・最初から発生することが確定しているか
・人が確認することで得られる情報はあるか
・条件や例外は固まっているか
・繰り返し発生しているか
・自動化の費用と維持管理に見合うか
自動化では、何を作るかだけでなく、いつ作るかも設計の一部です。
作れる。でも、今は作らないという設計
Web制作者が示すべきなのは、「できます」か「できません」だけではないと思います。
将来の自動化候補として整理しておき、実際の運用を見て実装時期を判断する。必要になったときに追加できるよう、データや業務の流れだけは確認しておく。
それなら、将来の可能性を捨てず、現在必要なものへ予算と時間を集中できます。
自動化は、先回りして全部作ることではありません。繰り返し発生すると分かった仕事を、適切な時期に仕組みへ変えることです。
私はWeb制作で、何を実装できるかだけではなく、「今、それを作る必要があるのか」まで一緒に整理したいと考えています。
Shopifyで新しい販売を始める際、商品・決済・配送・公開後の運用を確認し、初期段階に必要な範囲から構築したい方は、お気軽にご相談ください。