同じ市内でもこれだけ違う|東大阪市の2地点を公的データで比べてみた

同じ市内でもこれだけ違う|東大阪市の2地点を公的データで比べてみた

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東大阪市は、ものづくりを支える中小の製造業が集まる街です。取引先から事業継続計画(BCP)や、国の認定制度である「事業継続力強化計画」の話題が出る機会も増えています。
いざ申請書を書き始めると、最初に手が止まりやすいのが「自然災害等の想定」欄です。ここは拠点ごとの災害リスクを、数値と出典を添えて書く必要があります。そこで今回は、同じ東大阪市内の2地点を公的データで実際に調べ、結果を並べてみました。

市役所と町工場の街、2地点を並べるとこうなる

行政の中心地である東大阪市役所(荒本北一丁目)と、町工場が集まる高井田本通四丁目。この2地点を、地震は防災科学技術研究所のJ-SHIS、浸水と土砂は重ねるハザードマップ、液状化は大阪府の公表資料で調べた結果です(2026年7月時点の取得値)。
【地震】30年以内に震度6弱以上が起きる確率 市役所 約64.8%/高井田 約66.6%(出典:J-SHIS)
【洪水】想定最大規模の浸水深 市役所 想定区域外/高井田 0.5〜3.0m(1階が浸水する程度)
【液状化】危険度 市役所 着色外(約300m以内に危険度の高い地盤)/高井田 極めて高い
【津波・高潮・土砂災害】いずれも両地点とも想定なし・非該当
(出典:浸水・土砂は重ねるハザードマップ、液状化は大阪府公表資料。2026年7月時点の取得値)
地震の確率はほぼ変わりません。しかし洪水と液状化は、はっきり判定が分かれました。

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この差は、工場にとって何を意味するか

数値の違いは、そのまま打つべき手の違いになります。
「1階が浸水する程度」という想定は、床に据えた工作機械、1階の材料在庫、受変電設備がまとめて水に浸かる想定です。止水板や土のうといった水を入れない対策に加えて、重要な設備や在庫を高い位置へ移す判断が必要になります。
液状化の危険度が高い地盤では、揺れが収まったあとに問題が出ます。地盤が沈んで機械の水平が狂う、地中の配管が損傷する、敷地に段差ができて搬出入ができなくなる。精密な加工をしている工場ほど、機械の据え直しに時間がかかります。
一方、市役所周辺のように浸水想定の区域外であれば、水害対策より地震の揺れ対策に資源を寄せる判断が成り立ちます。同じ市内で、優先順位そのものが変わるわけです。

数百メートルで結果が変わる理由

川筋や地盤の条件は、数百メートル進むだけで変わります。標高がわずかに低い、昔の河道にあたる、埋め立ての履歴がある——こうした違いが、浸水想定や液状化の判定に直接効いてきます。
つまり「市役所の周辺が大丈夫だから自社も同じだろう」という推測は成り立ちません。

「工業地だから危険」という単純な話でもない

ここで注意したいのは、逆方向の思い込みです。今回は高井田の方が厳しい数値でしたが、工業地なら必ず市役所より悪い、というわけではありません。
実際に東京都大田区で同じ比較をすると、区役所(蒲田)の方が洪水・高潮の数値が厳しく、臨海の工業団地である京浜島の方が穏やかという逆の結果が出ました。
高い方に振れることも、低い方に振れることもある。だからこそ、先入観ではなく自社の住所で確認する必要があります。

「想定」欄に書くときの注意

申請書に書くときの原則は2つです。
・自社の所在地で調べた値を使う(市や県の代表値では代用できません)
・数値には必ず出典を添える——「浸水の恐れあり」では根拠不足と判断されます
書き方の例:「今後30年以内に震度6弱以上の地震が発生する確率は約66.6%(出典:J-SHIS)。洪水は想定最大規模で0.5〜3.0mの浸水が想定される(出典:重ねるハザードマップ)」

まとめ

災害の想定は、自社の正確な住所で調べなければ意味がありません。同じ市内でも判定は変わります。まずは自社の拠点住所で、公的データを確認するところから始めてみてください。
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