事業継続力強化計画(ジギョケイ)「事前対策」「初動対応」欄の書き方|審査で指摘される5つのポイント

事業継続力強化計画(ジギョケイ)「事前対策」「初動対応」欄の書き方|審査で指摘される5つのポイント

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ビジネス・マーケティング
事業継続力強化計画(ジギョケイ)の申請では、「どんな災害が起きるか」を書く想定欄を通過したあと、「では何をするか」を書く欄が続きます。発災直後の「初動対応」と、平時から進める「事前対策」です。
この2つの欄は、書こうと思えば書けてしまう分、審査で修正を求められやすい場所でもあります。しかも指摘されるポイントは、文章力とは関係のない「決まりごと」であることがほとんどです。裏を返せば、事前に知ってさえいれば避けられます。この記事では、その頻出ポイントを具体的に整理します。
(以下の記載ルールは、中小企業庁が公表している策定の手引きおよび「よくある修正依頼」に基づいて整理したものです)

初動対応で最も多い抜け漏れ:「把握」と「共有」は両方書く

災害発生直後の対応を定める「初動対応」欄で、多くの申請者が無意識のうちに落としてしまうポイントがあります。「被害状況の把握」と「被害状況の共有」は、両方を書く必要がある、という点です。
現場で何が起きているかを確認する手順(把握)だけを書いていても、その情報を誰にどう伝えるか(共有)が抜けていると指摘を受けます。逆に、連絡網や報告手段(共有)を詳しく書いても、どのように被害を調べるか(把握)がなければ同じことです。
具体的には、「誰が・どのように従業員の安否や設備の損傷状況を確認するのか」と、「確認した情報を誰が集約し、どのように社内や取引先へ伝達するのか」の両方を、一連の手順として書き切ってください。片方だけでも文章としては成立してしまうため、見直しの際に意識して確認する価値のある箇所です。

事前対策の鉄則:地震と水害で同じ対策を使い回さない

「事前対策」欄で多く見られる不備が、異なる災害に対して同じ対策を一律に書いてしまうことです。
審査では、想定した災害の種別と、それに対して講じる対策の整合性が確認されます。災害ごとに起きる現象が違う以上、効く対策も違うためです。たとえば「止水板の設置」は浸水を防ぐ水害対策としては有効ですが、建物の揺れや設備の転倒を防ぐ地震対策としては機能しません。水害の対策として止水板を挙げるのは適切でも、それをそのまま地震の対策欄にも書くと、「想定した災害と対策が一致していない」という指摘につながります。
想定した災害を一覧にして、それぞれの災害に対して実際に効果を発揮する対策が個別に書かれているか、という形で見直すと漏れに気づきやすくなります。

「ヒト・モノ・カネ・情報」の4分類で漏れをなくす

事前対策を整理するときは、「ヒト・モノ・カネ・情報」の4つの経営資源に分けて書く方法が有効です。申請様式自体がこの4分類の構造になっているため、この分け方に沿えば記載漏れを防げます。製造業を例にすると、次のような整理になります。
・ヒト:主要工程の多能工化(各機械に操作可能者を最低2名)/従業員が3日間留まれる備蓄
・モノ:工作機械をアンカーボルトで床固定/重要な金型を床上1m以上へ移動/止水板と土のう
・カネ:火災保険・地震保険に水害特約と休業損害の補償が付いているか毎年点検
・情報:図面・受発注データを毎日クラウドへ自動バックアップ/連絡先リストを紙とデータの両方で
「カネ」の欄には、もう一つ間違えやすい点があります。保険について書くときは、支払う「保険料」ではなく、受け取れる「保険金額」や補償内容を書くという点です。ここを保険料で書いてしまうと指摘の対象になります。

見落としがちな2つの欄:「目的」と「平時の推進体制」

事前対策と初動対応に気を取られていると手薄になりやすいのが、この2つの欄です。どちらも一般的な作文で済ませてしまいがちですが、決まりごとがあります。
「事業継続力強化に取り組む目的」欄では、「自社の防災力を高めるため」といった抽象的な理由だけでは不十分とされます。サプライチェーン上の役割か、地域経済での役割か、どちらかへの言及が必要です。自社が止まったとき取引先や地域に何が起きるかを踏まえて、自社の役割を書いてください。
「平時の推進体制」欄には、必須の要素が3点あります。経営層の関与、年1回以上の訓練・教育、年1回以上の計画の見直しです。このうち1つでも欠けていると修正の対象になります。計画を作って終わりにしない体制がある、と示すための欄だと考えると書きやすくなります。

まとめ:指摘されるポイントは決まっている

ここまで挙げた5点は、いずれも文章の巧拙ではなく「知っているかどうか」で決まる項目です。提出前に、この5点だけでも見直すと差し戻しはかなり減らせます。
一方で、「自然災害等の想定」欄だけは、拠点の住所ごとにハザードマップやJ-SHISを読み解いて数値と出典を書く必要があり、文例では埋められません。この欄の書き方は前回の記事で解説しています。
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