―普段の日常、いつも通り帰宅したら、あの「彼」がいた

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小説
―社会人生活もだいぶ慣れて、今日は会社の飲み会。普段喋らない上司とも何となくだけど、普段の鬱憤を愚痴れて心が晴れた帰り道。
何だか少し飲み足りないなと、コンビニで缶チューハイとキャンディみたいなチーズを買った。

「やー、今日はよく喋ったなぁ、ほんとこんなに喋ったのって、...いつだっけ?」
社会人生活に悪い意味で慣れてしまい、寝室と職場を行き来するだけのような毎日。よくよく思い出せば、大学の当時付き合っていた彼ではあるが、ソイツと朝まで飲み明かした以来だったかもしれない。

「あのバカ、...ッハ、今でも情けなく、困ったら泣いてんだろうな...」
そう、私はもうそのバカを知らない。卒業以来、連絡が取れなくなってしまってたのだ。あれほど、朝まで飲み明かすほど、語り合ってお喋りもしたというのに。。。あのバカは何も言わず一人で去っていってしまったのだった。

私はそのバカの事は、...正直に言うと気にはしている。はっきりとは言えないが、私には無かったセンスや、...居心地の良さ。酔っている勢いで言うと!今でも好きでは、あった。。。でも連絡が取れないならどうしようもない。

「やだやだ」妙な事を思い出したかのように、その想いを振り払い帰宅する。その家までの間の、電柱の光に晒された、ひとつの人影があった。とはいえどもここは都心。そんなに珍しい事では無い。

しかし、何だろうこの妙な胸騒ぎ。―心を閉ざしたはずの、その気持ちが、水門が開かれたようにごっそり流れ始めた。


―、そう、その人物は「彼」であった。予想通り涙ぐんでやがる。
私はコイツになんて言ってやろうか、私はコイツに...自分がどれほどの想いを注いでいたのかという事を、思い出させてやろうか。

燃え上がる怒りを、大人になった心で押さえながら、「彼」に近づく。


「あの...、おかえり、なさいかな?」彼は小声で、震えながら言う。
酒の大波のような勢いにまかせて言葉が口から出てくる。
「おかえりなさいなんてーのはなぁ....!こっちの、...ぐすっ、こっちのセリフなんだよ...」

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