先日、広島で有名なグルメ・観光アカウント「うめグルメ」他、多くのSNSを運営する、AIBINさんのSNSセミナーに行ってきました。
テーマは、「動画をバズらせるには?」
ただ、話を聞いていくと、単に再生数を増やすためのテクニックの話ではありませんでした。
今回のセミナーで扱われていたのは、SNSで認知を広げて、新しいお客さんとの接点をつくる場合の考え方。
その話を聞いて、私がこれまでSNSに感じていた疑問が整理できました。
マーケは「ターゲットを明確に!」と言われる一方で、
SNSでは、多くの人に見てもらうことも大事。
ターゲットを絞るの?
それとも、多くの人に見てもらうの?
アルゴリズムを意識するほど、誰に向けて何を投稿すればいいのか、よく分からなくなっていました。
その疑問の答えを、セミナー内容も踏まえながらまとめます。
SNSは「知ってもらうきっかけ」づくりが得意
例えば、飲食店を探すとき。
SNSを見る
↓
「え、ここいいじゃん」と興味を持つ
↓
店名を検索する
↓
Googleマップや口コミを見る
↓
来店する
というような流れが増えている。
以前のように、WEBで「広島 ランチ」と検索して、その中からお店を探すだけではなく、SNSで偶然知ってから検索する。
今回のセミナーでは、このSNSの特性を使って、認知を広げ、新しいお客さんとの接点をつくる方法を学びました。
認知を広げるには、まず多くの人に見てもらう必要があります。
ただし、誰でもいいから再生数を増やせばいいわけではありません。
では、来店につながる可能性のある人に、どうやって広く見てもらうのか。
ここが、私がずっと疑問に感じていたところでした。
1つの投稿に「見る理由」をいくつもつくる
ターゲットを1人に絞って考えるのではなく、1つの投稿に、いろいろな人が見る理由をつくる。
セミナーでは、広島のラーメン店を紹介するSNS投稿を例に、
複数のターゲットに見てもらう企画設計が紹介されました。
例えば、
冒頭に女の子(インフルエンサー)が登場して、広島の街を歩きながらラーメン店へ向かい、店内でラーメンを食べるVlogのような動画。
1つの投稿に、5つのターゲットに刺さる要素が盛り込まれています。
①ラーメン屋を紹介する
→ ラーメンが好きな人
②女の子が冒頭に登場して、広島のグルメを紹介する
→ 新しいエンタメとして見たい人
③Vlogのような動画にする
→ 女の子の日常を見たい人
④広島のお店を紹介する(歩きながら広島だとわかる背景を画角に入れる)
→ 広島の街が好きな人
⑤インフルエンサーを起用する
→ そのインフルエンサーが好きな人
1つの投稿で、こんなにたくさんのターゲットを盛り込めることに驚きました。
同じ動画でも、見る理由は人によって違います。
全員が「ラーメンを食べたい」と思って見る必要はないんです。
それぞれ違う入口から、同じ投稿を見る。
そして、多くの人が最後まで見たり、反応したりすることで、投稿がより広がっていく。
私はこれまで、「ターゲットに向けた発信」と「多くの人に見てもらうこと」は両立しないように感じていました。
でも、ターゲットごとに「見る理由」をつくり、接点を広げる。
そう考えると、かなり理解しやすくなりました。
1店舗のSNS運用なら、どうやって「見る理由」をつくる?
商品を紹介するだけでなく、「今は買うつもりがない人」も見てしまう設計
ここからは、セミナーの内容をもとに、架空の花屋さんのSNS運用で考えてみます。
例えば花屋さんなら、
「今週入荷した季節のお花です」
「3,000円の花束です」
「送別用の花束、ご予約受付中」
といった投稿になりそうです。
もちろん、今まさに花を探している人には役立ちます。
でも、それ以外の人がわざわざ動画を見る理由は、ほぼありません。
そこで、
「〇〇な人に、3,000円で花束を作ってください」
というシリーズ配信を企画してみます。
例えば、
「退職する30代女性の先輩に、3,000円で花を作ってください」
「甘いものが苦手な母に、母の日のプレゼントを3,000円で」
「男性から男性へ。送別会で渡す花を3,000円で」
「結婚10周年。妻に5,000円でお願いします」
誰に、どんな場面で贈るのか。
それを聞いた花屋さんが考え、花を選び、最後に花束が完成する。
これなら、
花が好きだから見る人
プレゼント選びの参考にしたい人
どんな花束になるのか気になる人
完成する花束を見たい人
贈る相手とのストーリーが気になる人
「今、花を買いたい人」以外にも、見る理由が生まれます。
見られても、「選ぶ理由」がなければ成果につながらない
見る理由をいくつ作って認知を広げても、「なぜこの店を選ぶのか」が伝わらなければ、集客にはつながりにくい。
先ほどの「〇〇な人に、3,000円で花を作ってください」という企画。
たくさんの人に見てもらえても、
「きれいな花束だった」
「面白い動画だった」
で終わってしまえば、次に花が必要になったとき、この店を選ぶ理由にはなりません。
そこで必要になるのが、「この店だからお願いしたい」と思える強みです。
先ほどのシリーズも、企画そのものが
「予算・贈る相手・シーンを伝えると、その人に合った花を提案してくれる」
というお店の強み、「選ばれる理由」を伝える場になります。
例えば動画の中で、
「送別会で持ち帰りやすいように、少しコンパクトにします」
「明るい雰囲気の方と聞いたので、この色を入れました」
「男性への贈り物なので、今回はこんな雰囲気にします」
と、花を選ぶ理由や提案する様子を自然に見せる。
すると、見てる人には、企画を楽しみながら、
「この花屋さんなら、相手に合う花を一緒に考えてくれる」
という、この店を選ぶ理由も伝わります。
地域名も分かるようにしておけば、
「今度、花を贈るときはここに相談してみよう」
と、選択肢に入るかもしれません。
見る理由を増やすのは、知ってもらうため。
選ぶ理由を伝えるのは、知った先で自社を選んでもらうため。
認知を広げて集客につなげるSNSなら、この両方が必要なのだと思います。
投稿を考える前に、事業を整理する
「何を投稿すれば伸びるか」を考える前に、「なぜ自社が選ばれるのか」を考える。
今回のセミナーでも、企画を考える前に、
・自社の強みに、需要があるのか
・今の事業の課題は何なのか
・SNSで何を実現したいのか
を整理することが大切だという話がありました。
自社の強み、それも競合との違いが整理されていなければ、投稿が多くの人に見られても、自社が選ばれる理由にはなりません。
事業の課題が分からなければ、そもそも「認知を広げること」が今やるべきことなのかも分かりません。
SNSの目的が決まっていなければ、再生数が増えたとしても、それが事業にとって成果なのか判断できません。
だから、投稿のテクニックを考える前に、
自社の強みは何なのか。
今の事業には、どんな課題があるのか。
SNSで何を実現したいのか。
まずはここを整理する。
そのうえで、誰に見てもらいたいのか、その人たちが見る理由は何なのかを考えて、企画に落とし込んでいく。
今回のセミナーの入口は、「動画をバズらせるには?」でした。
でも、私が持ち帰ったのは、バズらせるテクニックだけではありません。
認知を広げたいなら、いろいろな人が見る理由をつくる。
なおかつ、集客につなげたいなら、自社を選ぶ理由も一緒に伝える。
多くの人に見てもらいながら、必要な人にも届ける。
そんな戦略も、お店の強みも活かして考えていきます。