父親は、すぐにキレる人でした。
気に入らないことがあると、これでもかというほど怒鳴り散らす。
物を投げ、大声で徹底的になじる。
どんな問題も、すべてこちらが悪い。
そう決めつけて、責め立ててくる人でした。
そんな父親が、ずっと嫌いでした。
もう5年以上、連絡も取っていません。
群馬の実家を出て、東京で暮らして5年以上。
会ってもいないし、話もしていないのに、
時々、ふと父の記憶が蘇ります。
小学5年生のとき。
父が作った生姜焼きの形がおかしかったから笑ったら、
「もう食べなくていい!!」と怒鳴られた。
小学6年生のとき。
何の脈絡もなく「末っ子のくせに、あんな広い部屋使いやがって!」と怒鳴られた。
母の料理に文句を言う父が嫌で、
「嫌な家庭」と反抗のつもりでつぶやいたら、
「ああん!!」とすごまれた。
思い出すたびに、当時の感情が蘇ります。
恐怖、屈辱、悔しさ。
言い返せなかった自分を責めるような気持ち。
今でも、あのときの怒りが蘇る瞬間があります。
「父が憎い」「仕返ししたい」
そんな思いに支配されることもあります。
でも、そんなことをしても無駄だ、意味がないと
自分に言い聞かせて、落ち着けていました。
そんな中、母から一本の連絡が入りました。
「父さんが、大腸がんの検査で、陽性で引っかかった」
という言葉を聞きました。
――続きます。