【渡部遼・システムエンジニア】朝霞の信号が僕にだけ話しかけてくる理由

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朝霞市でシステムエンジニアをしていると、ふとした瞬間に街の声が聞こえてくるような錯覚を覚えることがある。もちろん本当に聞こえているわけではないけれど、日々コードに向き合っていると、世界のあらゆるものが何かしらのデータを僕に送ってくるように見えてくるのだ。特に朝霞台駅のロータリーにある信号機は妙に気になる存在で、赤から青へ、そしてまた赤へ戻るそのリズムがまるで無言のメッセージのように僕の脳を刺激してくる。ある日その信号を眺めていると、ふと思った。この動きって、もしや都市全体の気分を可視化してるんじゃないか。人の流れや気温、近くの公園にいる子どもの声の大きさまで、全部センサーのように拾って信号のタイミングに染み込んでいるんじゃないか。もしそれが本当なら、僕たちが毎日何気なく渡っている横断歩道は、街と僕たちの共同作業で成り立つ巨大インターフェースになる。

そう思い始めてから、朝霞市は突然インタラクティブな巨大アプリのように見えてきた。カフェで誰かがコーヒーをこぼすと、なぜか駅前の信号の青が数秒遅れるような気がする。スーパーのレジ前で行列ができると、近くの交差点ではなぜか車の流れがスムーズになる。もちろんそれらは全部偶然なのだけれど、エンジニアという生き物は偶然の中に法則を探し始める習性がある。だからこそ、朝霞という街の微妙な空気の揺らぎを拾い上げて、そこに僕なりのロジックを付け加えて遊んでいる。

最近は、その街の癖をコードに落とし込んで、勝手に朝霞市の擬似モデルをつくる実験をしている。駅前の人混みの密度から仮想的な交通パターンを導き出したり、公園の音量から雲の動きを予測するミニアプリを作ったり、完全に意味はないけれどなぜか止まらない。意味がないのに面白いという体験は、エンジニアにとって最高の贅沢だ。お金になるかどうかは一旦脇に置いて、街の癖を解析して遊ぶという行為そのものが、僕にとってのクリエイティブな喜びになっている。

この街の信号や道や人の流れが、僕だけにこっそりヒントをくれているような気がして、そのヒントを形にしてみたくてたまらない。朝霞は小さな街だけれど、小さな街だからこそデータの気配が濃くて、ストーリーが見えやすい。今日もまた信号は赤から青へと変わる。そのほんの数秒の変化に、僕は街の意図を読み取ろうとしてしまう。こういう遊び心がある限り、エンジニアという仕事はまだまだ面白いと思える。
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