「この物件は売りにくそうですね」
中古住宅を見ていると、そんな物件に出会うことがあります。
草が生い茂っている。
古いフェンスが邪魔をしている。
駐車場が取れそうに見えない。
建物も古い。
室内も傷んでいる。
第一印象だけを見ると、
「これは難しい」
と候補から外したくなる物件です。
実際、他社が一度検討して、
「商品化しにくい」
「再販が難しい」
と判断していることもあります。
しかし、
他社が買わなかった=価値がない物件
とは限りません。
先日のメンタリングmtgでは、実際の過去事例をもとに、
「物件を見た瞬間の印象ではなく、図面と数字で判断する」
という話をしました。
フェンスを撤去したらどうなるか。
敷地の使い方を変えれば、駐車スペースを確保できないか。
耐震補強によって、購入者の不安を減らせないか。
周辺の道路整備や街の変化まで考えると、将来的な評価はどうなるか。
こうして一つずつ分解すると、
最初に見えていた物件とは、
まったく違う姿が見えてくることがあります。
買取再販で探すべきなのは、
最初から誰が見てもきれいな物件だけではありません。
まだ市場に正しく評価されていない価値を見つけられるか。
ここに、仕入れの差が出ます。
■1. 「売れない物件」と「売れる状態になっていない物件」は違う
中古住宅を仕入れるとき、
まず分けて考えたいのが、
「売れない理由は変えられるのか」
ということです。
例えば、
「フェンスが邪魔で車を入れにくい」
という物件。
フェンスが構造上撤去できないのであれば、大きな制約になるかもしれません。
しかし、
撤去可能で、
撤去費用も事業計画に収まるのであれば、
それは永久に残る欠点ではありません。
同じように、
庭が荒れている。
残置物が多い。
室内が暗い。
設備が古い。
こうした問題も、
商品化の過程で変えられる可能性があります。
一方、
接道条件。
用途地域。
建ぺい率・容積率。
土地形状。
法的な建築制限。
越境。
擁壁。
こうした条件は簡単には変えられません。
だから重要なのは、
欠点があるかどうかではなく、
「その欠点は、コストをかければ解決できるのか。それとも物件に残り続けるのか」
を切り分けることです。
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■2. 第一印象ではなく「変えられる条件」を探す
例えば、現地へ行ったとします。
雑草が伸びている。
古いフェンスがある。
外壁も汚れている。
一見すると、
かなり印象の悪い物件です。
しかし、
買取再販会社が見るべきなのは、
現在の完成度ではありません。
再販するときに、どんな状態まで持っていけるか。
です。
例えば、
雑草を撤去する。
フェンスを取り外す。
外構を整理する。
駐車スペースをつくる。
外壁を補修する。
そうすると、
同じ物件でも見え方は大きく変わります。
ここで必要なのは、
「きれいになりそう」
という感覚ではありません。
撤去費はいくらか。
外構工事はいくらか。
何台駐車できるようになるのか。
そのエリアの購入者は駐車場をどの程度重視するのか。
工事後の商品価格はいくらを想定できるのか。
ここまで落とし込んで初めて、
仕入れ判断になります。
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■3. 駐車場ひとつで商品価値が変わることもある
特に郊外の戸建では、
駐車スペースは商品設計上、重要なポイントになります。
例えば、
現在は庭とフェンスがあるため、
「駐車1台」に見える物件。
しかし図面を確認すると、
フェンスを撤去して外構を組み直せば、
2台分を確保できる可能性がある。
そうなれば、
購入者から見た物件の評価が変わる可能性があります。
重要なのは、
単純に、
「駐車場を増やせば売れる」
と考えないことです。
道路から安全に出入りできるか。
間口は十分か。
電柱などの障害物はないか。
高低差はないか。
必要な有効寸法を確保できるか。
外構工事費はいくらかかるか。
こうした点まで確認します。
物件の欠点を見つけるのではなく、改善余地を探す。
これが買取再販の商品企画です。
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■4. 築古物件は「築年数」だけで判断しない
築年数も同じです。
「築40年以上だから難しい」
と数字だけで判断してしまうと、
仕入れの選択肢は狭くなります。
もちろん築古住宅には、
耐震性。
雨漏り。
シロアリ。
基礎。
屋根。
外壁。
配管。
断熱性能。
設備の劣化。
など、確認すべき項目があります。
だからこそ、
築年数だけを見るのではなく、
「何を直せば、どの水準の商品になるのか」
を考えます。
例えば旧耐震基準の住宅でも、耐震診断を行い、必要な補強によって現行の耐震基準を満たせるケースがあります。
2026年度の税制でも、旧耐震基準の住宅を現行基準に適合させる耐震リフォームについて、一定の要件を満たせば所得税や固定資産税の軽減措置があります。リフォーム促進税制自体も2026年度改正で延長されています。
さらに2026年以降は、省エネ性能の高い既存住宅について住宅ローン減税が拡充され、一定の住宅では控除期間が13年間となっています。
つまり今後の商品設計では、
「古いものをきれいにする」
だけではなく、
耐震性や省エネ性能を含めて、購入者が安心して選べる住宅にできるか
という視点もより重要になります。
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■5. 将来の街の変化まで調べる
物件を見るときには、
「今」だけで判断しないことも大切です。
例えば、
道路整備。
駅周辺の再開発。
商業施設。
公共施設。
区画整理。
都市計画道路。
こうした変化によって、
数年後の利便性が変わる可能性があります。
もちろん、
「将来道路ができるらしい」
という噂だけで仕入れてはいけません。
都市計画決定されているのか。
事業化されているのか。
整備時期はいつなのか。
物件自体が計画道路にかかっていないか。
自治体の資料など一次情報まで確認する必要があります。
つまり、
将来性を見るというのは、
未来を予想することではありません。
公表されている情報から、将来起こり得る変化を仕入れ判断に織り込むことです。
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■6. 難あり物件ほど「図面と数字」で判断する
ここが今回のMTGで特に重要だった部分です。
難しい物件ほど、
感覚で判断してはいけません。
「古いから無理そう」
「駐車場がなさそう」
「外観が悪いから売れなさそう」
ではなく、
図面を見る。
現地を見る。
法規を調べる。
工事費を出す。
再販価格を調べる。
そして数字にします。
例えば、
仕入価格 1,500万円
+リフォーム・外構 600万円
+諸経費等 200万円
=総事業費 2,300万円
仮に再販価格を2,800万円と見込むのであれば、
500万円が粗い意味での差額になります。
ただし、実際にはここから販売関連費用、金融費用、保有コスト、税・登記関連費用、想定外工事なども考えなければならないため、「500万円残る=500万円利益」ではありません。
さらに、
本当に2,800万円で売れるのか。
工事費600万円で収まるのか。
販売期間が延びても成立するのか。
追加工事が100万円出たらどうなるのか。
ここまで確認します。
「直せば売れそう」ではなく、「直したら事業として成立するのか」。
これが買取再販会社の判断です。
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■7. 2026年の市況で“見落とされた物件”を見る意味
現在の中古住宅市場を見ると、
「条件の良い中古住宅だけを安く買う」
ことは簡単ではありません。
東日本レインズによると、2026年1〜3月の首都圏中古戸建の成約件数は5,575件。2026年1月だけを見ても、東京都区部、多摩、横浜・川崎、埼玉、千葉などすべての地域で成約件数が前年同月を上回っています。
また国土交通省の2026年第1四半期「地価LOOKレポート」では、主要都市の住宅地について16期連続ですべての調査地区が上昇となっています。
もちろん地域差はありますが、
誰が見ても立地が良い。
築浅。
状態も良い。
価格も安い。
そんな分かりやすい物件には、
当然、他社も注目します。
だからこそ買取再販では、
「今の状態では評価されにくいが、自分たちなら商品化できる物件」
を見つけられるかが重要になります。
競争を避けるというより、
他社と違う判断ができる領域を持つ。
これも仕入れ力の一つです。
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■まとめ
他社が、
「売りにくい」
「商品化が難しい」
と判断したからといって、
その物件に価値がないとは限りません。
草が生えているなら、
整備したらどうなるか。
フェンスが邪魔なら、
撤去できないか。
駐車場が取れないなら、
敷地の使い方を変えられないか。
築年数が古いなら、
耐震・断熱・設備をどこまで改善できるか。
そして、
その工事費をかけても、
再販事業として成立するのか。
一つずつ、
図面と現地と数字で確認していきます。
買取再販で必要なのは、
最初からきれいな物件を見つける力だけではありません。
今は評価されていない物件の中から、
「何を変えれば価値が生まれるのか」
を見つける力です。
他社が見ているのが“現在の姿”なら、
買取再販会社が見るべきなのは“商品化した後の姿”。
そこまで想像し、
それを数字で裏付けられたとき、
一見すると難しい物件が、
仕入れのチャンスに変わることがあります。
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■最後に
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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