「アットホームな職場です」という言葉自体は、良いか悪いかで判断すべきものではありません。問題は検証できないことです。雰囲気の説明は参考程度にとどめ、平均残業時間・3年以内の離職率・労働基準関係法令違反の公表事案といった、事実ベースで数字が出るものを軸に見極めることが、後悔しない企業選びの近道です。
「アットホームな職場」はなぜ警戒されるのか?
この表現には、同調圧力やコンプライアンス面のリスクが潜んでいる場合があります。家族のような職場という言い方は、裏を返すと公私の線引きが緩いという意味にもなりうるからです。
問題は、その言葉自体が良いか悪いかではなく、検証できないことにあります。人間関係が良好かどうかは配属先によっても変わり、入ってみないと分かりません。だからこそ、雰囲気の説明は参考程度にとどめ、確かめられる情報のほうに重心を置くのが安全です。
何を見れば判断できるのか?
判断の軸にするなら、事実ベースで数字が出るものを選びましょう。平均残業時間、3年以内の離職率、労働基準関係法令違反の公表事案(主に重大・悪質なケース)の三つは定量的に確かめられます。ブラック企業の基準は人によって違いますが、こうした指標なら自分の許容範囲と照らし合わせて判断できます。
確認先としては、すべての企業が載っているわけではありませんが、有価証券報告書や統合報告書、「就職四季報」、マイナビ等の就活サイト、企業ホームページなどが挙げられます。労働基準関係法令違反の公表事案は、労働基準監督署の是正指導事例や厚労省サイトで確認できます。OpenWorkや転職会議などの口コミサイトの集計値も参考になりますが、あくまで「参考情報」として公的データと併せて見ましょう。
口コミは単独で鵜呑みにせず、書き手の在籍時期や職種、立場も確認しながら、複数の情報源で同じ傾向が出ているかを見てください。
面接官の印象から会社の雰囲気は分かるのか?
一概には言えませんが、誰が面接官かによって読み取れるものは変わります。人事の方の印象は現場の空気と違うことが多く、現場の長が出てきた場合はその方の雰囲気が配属先に近い可能性があります。
ただしこれはあくまで傾向の話です。個人の性格と組織の文化が必ずしも一致するとは限らないため、過度に決めつけず判断材料の一つに留めておきましょう。
家族経営の会社は何に注意すればいいのか?
家族経営そのものが悪いわけではありませんが、構造上、注意しておきたい点はあります。能力に関わらず親族が後継者になりやすく経営判断に影響が出るリスクがある点、身内とそれ以外で評価や処遇の基準が変わりやすい点です。意思決定が早いという長所と、この特徴は表裏一体といえます。
上記についてはすべての企業に当てはまるわけではありませんが、気になる場合は「中長期の経営方針はどう社内で共有されているか」「重要ポストの選び方に基準はあるか」といった質問を面接や逆質問の場で投げかけてみると、実態がつかみやすくなります。
パワハラかどうかの線引きはどこにあるのか?
厚生労働省は職場のパワーハラスメントを、優越的な関係を背景とした言動であること、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものであること、労働者の就業環境が害されるものであること、この三つをすべて満たすものと定めています。業務上必要で相当な範囲の指示や指導はこれに当たりません。
類型としては、身体的な攻撃、精神的な攻撃、人間関係からの切り離し、過大な要求、過小な要求、個の侵害の六つが整理されています。なお、面接で家族構成や家庭の事情を尋ねる質問は、本人の能力とは関係のない事柄として厚労省も望ましくないとしています。
入ってから合わないと分かった時はどうするのか?
合わない相手が一人いるだけなら、仕事観や教育観が違うだけと割り切る方法もあります。ただし、同僚の前で継続的に叱責されているなら、内容が正しくてもその指導方法自体に問題があります。
まずは社内で話しやすい人を探し、難しければ労働局の総合労働相談コーナーや厚労省の「あかるい職場応援団」といった公的窓口に相談する道もあります。無理を重ねて体調を崩す人を何人も見てきました。異動や転職も、逃げではなく選択の一つです。
入社前に確認しておくことはあるのか?
内定が出たら、労働条件通知書を交付してもらいましょう。給与・勤務地・労働時間・休日を書面で受け取ることで、説明会で聞いた印象と実際の条件がどれだけ一致しているかを確かめられます。
雰囲気への違和感は言葉にしにくく、一人で抱えると判断が鈍ります。悶々と抱え込まず、次に紹介するような窓口を頼ってみてください。
まとめ
「アットホームな職場」という言葉そのものを恐れる必要はありません。大切なのは、社風の説明は確かめられないが、数字と書面と、自分が何を許容できるかという基準は確かめられる、と知っておくことです。
平均残業時間・3年以内の離職率・労働基準関係法令違反の公表事案を確認し、面接官の印象や家族経営の構造にも目を配りつつ、内定後は労働条件通知書で最終確認する。この一連の流れを押さえておけば、入社後の「こんなはずでは」を大きく減らすことができます。違和感を一人で抱え込まず、社内外の相談先を頼ることも忘れないでください。
この会社で大丈夫だろうかという迷いを整理したい時は、こちらから相談していただけます。
公的相談窓口
● 総合労働相談コーナー(各都道府県の労働局・労働基準監督署内)
● あかるい職場応援団(厚生労働省のハラスメント関連情報・相談窓口案内サイト)