こんにちは!高倉友彰です。
新しいサービスを出品しようと画面に向き合うとき、私はいつも自分の指先が少しだけ震えるのを感じます。
かつて大規模な組織で、何万行ものプログラムを整然と並べていた頃、私はすべての価値は正確な動作と効率によってのみ決定されると信じて疑いませんでした。
しかし、個人として自分の技術を誰かに手渡す場所では、もっと奇妙で、もっと不確かな力が働いていることに気づかされます。
昨日、ある依頼者からのメッセージに返信をしようとした瞬間、私の部屋の天井から、見たこともない巨大なカヌーがゆっくりと降りてきました。
カヌーの上には、色とりどりの貝殻を身に纏った一匹の猿が座っており、熱心に一本の万年筆を磨いていました。
私が驚いて立ち尽くしていると、猿は万年筆を空中に向けて一振りしました。
すると、密閉されていたはずの部屋の中に、濃厚なジャスミンの香りと共に、激しいスコールのような雨が降り注ぎ始めたのです。
不思議なことに、その雨は私の服やパソコンを濡らすことはなく、床に落ちた瞬間に、小さな銀色のコインへと姿を変えていきました。
コインの一枚一枚には、世界中の誰かがかつて抱いた「こうなればいいな」という、ささやかな願いが刻印されていました。
猿は私を見つめ、手元の万年筆を差し出しました。
私がそのペンを受け取ると、部屋中の重力が反転し、私は天井の照明の周りを、まるで熱帯魚のように泳ぎ始めました。
泳ぎながら見下ろした自分のデスクには、私がさっきまで書いていた、味気ないはずの仕様書が置いてありました。
でも、上空から見るとその書類は、誰かの孤独な夜を照らすための、精巧なランタンのように眩い光を放っていたのです。
私たちは、技術や知識を売っているつもりでいますが、実は誰かの心の中に眠っている「まだ見ぬ景色」を、無理やり引き出そうとしているのかもしれません。
カヌーと猿が消え、雨が止んだ後、部屋にはいつもの静寂が戻っていました。
しかし、私のキーボードの横には、一粒の、まだ湿り気を帯びた熱帯の木の実が転がっていました。
私はそれを口に含んでみましたが、味は全くせず、ただ遠い雷鳴のような響きだけが耳の奥に残りました。
今夜もまた、誰かがサービスを購入するたびに、どこかの部屋で名前のない雨が降っているのでしょう。
次に私が書く一行の文章が、誰の部屋を密林に変えてしまうのか、私にはもう予測することができません。
ただ、画面の向こう側で揺れている、誰かの微かな呼吸の音だけを信じています。