先日、久しぶりに夜の繁華街を歩いた。
仕事帰り、ふと足を止めて周囲を見渡すと、そこには無数の光が溢れていた。
赤、青、緑、黄色。点滅する看板、流れるLED、店先のライトアップ。
一見するとカオスに見えるその光景が、なぜか心地よく感じられたのだ。
映像制作に30年以上携わってきた私にとって、色彩設計は
常に悩ましいテーマだ。テレビCMでも企業広告でも、「どの色を使うか」は
作品の印象を大きく左右する。色選びひとつで、
見る人の感情が変わってしまう。
夜のネオン街を眺めながら、ふと気づいた。
色は単体では語れない。周囲の色との関係性で成り立っている。
赤いネオンが目立つのは、周りに青や緑があるから。
暖色と寒色が混在するから、それぞれが引き立つ。
もしすべてが赤一色だったら、逆に何も伝わらないだろう。
これは映像でも同じだ。
SNS動画でもドローン映像でも、色のコントラストを意識することで、
伝えたいメッセージが際立つ。鮮やかな色を使うときは、
あえて無彩色を配置する。逆に、モノトーンで統一した映像に、
一点だけ鮮やかな色を置くことで視線を誘導することもできる。
夜の街は、誰が設計したわけでもないのに、
不思議なバランスで成り立っている。
それは偶然ではなく、人々が「目立ちたい」と思いながらも、
無意識に周囲との調和を図っているからかもしれない。
映像制作も同じ。クライアントの要望を形にしながら、
全体のバランスを見失わない。
その繊細な調整が、プロの仕事だと改めて感じた。
次回の撮影では、夜の街で感じた「色彩の関係性」を意識してみようと思う。映像制作のヒントは、いつも日常の中に転がっている。