建物の色彩を計画するときは、好きな色を自由に選ぶだけではなく、周辺の街並みや自然環境との調和を考えることが大切です。
今回は、住宅の外観を例に「周辺環境の調査」から「素材・仕上げの決定」まで、色彩設計の基本的なプロセスをまとめます。
はじめに行う「周辺環境の調査」
色彩設計では、最初に周辺環境で使われている色を調査します。
一般的な方法は、小型の色見本帳を使って色を測る方法です。適度な距離から対象物を眺め、色見本帳の色票と見比べながら、近い色を確認します。
建物の壁や屋根などに色票を直接当てて、厳密に測定する必要はありません。少し離れた場所から、実際の街並みの中でどのように見えているかを確認することが大切です。
また、面積が小さくても、その地域らしさを表している素材や自然要素があれば測っておきます。
例えば、次のようなものです。
* 建物の屋根や外壁
* 石垣やレンガ
* 木材や土壁
* 街路樹や草花
* 山や水辺などの自然
* 看板や地域特有の装飾
このような色を調べておくと、街並みの特徴をつかみやすくなり、周辺環境と調和した配色を考えるための手がかりになります。
ステップ1|基本色を検討する
色彩設計では、はじめに住宅の外壁の大部分を占める「基本色」を決めます。
周辺環境の色彩調査をもとに数色の候補を選び、その中から、どのような配色にするかを検討します。
代表的な考え方には、次のようなものがあります。
* 色相調和型配色
色相を近づけたり、共通性を持たせたりする配色
* 色調(トーン)調和型配色
明度や彩度など、色の調子をそろえる配色
周辺の建物や自然の色との関係を考えながら、その場所になじむ色を基本色として選びます。
基本色は建物全体の印象を大きく左右するため、色彩設計の土台となる大切な色です。
ステップ2|建物の形態や部位に応じて色を使い分ける
基本色が決まったら、次に強調色やほかの部分に使用する色を検討します。
建物全体を一色だけで仕上げると、単調に見えたり、大きな壁面が圧迫感を与えたりすることがあります。
そこで、建物の形や部位に合わせて色を使い分けます。
例えば、次のような部分です。
* 屋根
* 外壁
* バルコニー
* 窓枠
* 玄関ドア
* 柱や梁
* 建物の凹凸部分
建物の形態に沿って色を使い分けることで、単調さや圧迫感を軽減できます。
ただし、たくさんの色を使いすぎると、まとまりのない印象になるため注意が必要です。基本色との関係を考えながら強調色を選ぶことで、統一感を保ちつつ、変化のある外観をつくることができます。
ステップ3|質感のある素材で個性的な表情をつくる
配色の方向性が決まったら、最後に素材や仕上げについて検討します。
近年の住宅外装では、塗装だけではなく、色や質感のバリエーションが豊富な新建材も多く使われています。
同じ色であっても、表面の仕上げによって見え方は異なります。
例えば、表面が平滑な素材はすっきりとした印象になりやすく、凹凸のある素材は光と影が生まれるため、立体感や温かみを感じさせます。
また、玄関周りなどに次のような素材を少量取り入れる方法もあります。
* 石材
* 木材
* レンガ
* 質感のあるタイル
自然素材や質感のある素材をアクセントとして使用すると、建物全体の調和を保ちながら、個性的で印象に残る表情をつくることができます。
まとめ
建物の色彩設計は、単に外壁の色を決める作業ではありません。
まずは周辺環境の色を調査し、その結果をもとに基本色を選びます。その後、建物の形態や部位に応じて色を使い分け、最後に素材や仕上げを検討します。
色彩設計の基本的な流れは、次のとおりです。
1. 小型の色見本帳を使って周辺環境を調査する
2. 周辺環境になじむ基本色を決める
3. 建物の形態や部位に合わせて色を使い分ける
4. 素材や仕上げによって質感や個性を加える
色だけではなく、建物の形や素材の質感まで含めて考えることで、周辺環境と調和しながら、その建物らしい魅力を持った外観をつくることができます。
色彩検定の学習では、それぞれの用語を覚えるだけでなく、「調査→基本色→色の使い分け→素材・仕上げ」という順番で理解すると、色彩設計の流れを整理しやすくなります。