「Accessを使って業務効率化」
Accessに罪はないが、この「業務効率化」を大義名分とする動きが
私はちょっと苦手だ。
従業員の労働環境を思いやってる言葉の裏で、念頭にあるのは
「人件費の削減」でしょうねとしか。
基本給だけでは食べていけない層も一定数いる。
Accessを学習し始めた動機は自己研鑽であり、業務(会社)のためではない。
お客さんや職場の仲間のためなら、いくらでも頑張るけどね。
ただ、お盆の時期が来るたび、思い出す言葉がある。
「仕事はだいじにせないかん」
祖父の口癖だった。
祖父の家は米農家。
ふるさと納税の返礼品として利用いただくこともある特産品だが
それだけでは生計が成り立たず
祖父は60過ぎて運転免許を取得し副業を始めた。
妹たちは医療の国家資格を取り専門職の道に進んだ。
名称から敬遠されがちな職種だが
体力のない女性でも長く勤めることができ
収入が安定しているとのことで、父の旧友からおススメされた職業。
祖父は、実習先の病院の玄関先に軽トラを乗りつけ
「孫がお世話になっております」
と、病院関係者に深々と頭を下げて回った。今も語り草だ。
それから数年が経過したある日。
久しぶりに会った妹が「やば、始末書」と頭を抱えていた。
勤め先の院内でハサミが1丁、行方不明。
職員総出で探したが見つからないとのこと。
患者が誤って持ち出した場合、命の危険にさらされないとも限らず大問題。
ほかにはこんなエピソードも。
「教授と食事する時は同時に食べ終える。早すぎても遅すぎてもダメ」
別の妹からは、看護師の残務を何度も肩代わりしていると聞く。
「私のほうが後輩だし」
そうした日常を繰り返しつつ、妹のひとりは仕事の傍ら大学院に通い博士課程を修了。
今では教授として、後進の育成に必死だ。
祖父の「仕事をだいじに」を意識したかは分からないが
バカ真面目で部下に慕われる実直ぶりは、きっと血筋だろう。
私は、企業の一般事務の就職口を得た。
働きながら様々な資格を取得したが
「非生産部門」「裏方業務」「いくらでも代わりがいる」
を前提とした待遇に変わりはない。
「おじいちゃん、今は時代が違う」
「おじいちゃんの時代ほど会社は私たちのことだいじに守ってはくれない」
「私たちも会社や仕事のこと、おじいちゃんほどだいじには思えないよ」
小学1年生がタブレットを操作する時代。
子どもたちが大人になる頃には、業務体制は大きく様変わりしているだろう。
現時点では「AI導入を理由とする雇用減少」と断定できる公的統計はないが
AI先進国のアメリカでは、新卒・インターン・若手・未経験者向け採用の減少を示す研究結果が挙げられている。
◎Harvard大学の研究結果(2026年)
参考記事:Why Entry-Level Hiring Is Down 80% At Companies Adopting AI
寄稿者:Mr.Caroline Castrillon
▷約6,600万人の労働者と28万社以上の企業データを分析した結果、
「AIを導入した企業では2023年以降、新規採用が約80%減少」とする報告。
注目すべきは、上級職の雇用は比較的維持され、若手採用の縮小が目立つ点。
◎Stanford大学の研究結果(2025年)
参考記事:AI adoption linked to 13% decline in jobs for young U.S. workers, Stanford study reveals
寄稿者:Mr.Shreya Ghosal, Mr.Dylan Butts
▷給与データ分析調査にて、22~25歳の若年層雇用が2022年以降、13%減少したことが示された。
(コロナ禍による経済不透明も関係するのではと私自身は考えるが)
AIの影響を受けやすい職種として
カスタマーサポート業務や会計業務、ソフトウェア開発分野などに言及。
日本で少子高齢化がここまで加速した背景のひとつとして
恐らくは、第二次ベビーブームにて誕生したらしい新社会人の多くが
当時の日本経済の冷え込みによる雇用縮小により
就職や家庭を持つ機会を奪われ、そうした社会情勢が結果的に
「第三次ベビーブーム」見送りに繋がった影響は、無視できないだろう。
事情は違えど、「新規採用の見送り」という意味では
当時と同じことが今のアメリカで起きている。
日本も他人事ではない。
人件費を浮かせたいから、ラクをしたいから・・・と
ヒトを見切って人工知能に傾倒することは
さらなる不景気を生み、後世の未来を奪い
結果的に自分たちの生活を苦境に追い込むことにはならないだろうか。
間もなく終戦記念日。
祖父は戦争を経験している。
祖父から当時の話を聞くことはなかった。
「思い出したくないのだろう」と、祖母は慮る。
祖父の希望により、家族で知覧特攻平和会館を訪れたことがある。
祖父は終始無言のまま、掲示された資料のひとつひとつや語り部の様子を食い入るように見つめていた。
会館を後にし、レストランで食事中、祖父が堰を切ったように泣き出した。
戦争の話を聞いたのはその一度きり。
米兵から無条件降伏を要求され
「日本を売り渡すわけにはいかない」と応じず
そのまま絶命した同胞を思い出したと打ち明けてくれた。
我こそ勝ち組と、AIビジネスに加担する精鋭の皆さんからすれば
「捕虜になって先進技術を盗めばよかったのに。勿体なーい」
といったところか。
おじいちゃん。あなたが命がけで守ろうとした日本。
「信仰しないと日本は滅びる」などと祖父宅にやってきた顕正会を
「滅んでたまるか」と、追い返していたね。
このまま少子化が続けば戦争をしなくても
日本は息を引き取ることになってしまうよ。
困ったね。