こんにちは!城間勝行です。
机の隅に置かれた一本のフォークが、真夜中にふと銀色の音を立てて震えることがあります。私たちが日々、誠実さとスピード感を持って取り組んでいるシステム開発という営みは、実はこうした目に見えない微かな振動を捕まえ、誰もが聴くことのできる音楽へと整えていく作業なのかもしれません。新卒で入った大きな組織では、数千人が同時に足並みを揃えて行進するような、巨大で重厚な仕組みを動かしていました。そこには、フォークが勝手に震えだすような余地など微塵もなく、すべてが冷徹な論理の壁に守られていました。
しかし、独立して多くの夢や悩みと直接向き合うようになると、その壁の向こう側に広がる広大な草原が見えるようになります。そこでは、昨日まで信じていた正解が、色鮮やかな熱気球に乗ってどこかへ飛んでいってしまうことさえ珍しくありません。ビジネスの視点を持つということは、単に丈夫な箱を作ることではなく、その箱を開けた瞬間に、大切な誰かの心の中に小さな波紋が広がるのをじっと見守る力のことだと思うのです。要件が固まりきっていない混沌とした現場は、私にとって、まだ誰の手にも触れられていない真っさらな楽譜のようなものです。
最新の技術という名の筆を手に取っても、描けるのはいつも、言葉の隙間に隠れた淡い色彩ばかりです。私たちは、効率化という名の鏡を磨き続け、そこに映る自分たちの姿に一喜一憂しています。でも、ふとした瞬間に鏡が曇り、見たこともない風景が浮かび上がることがあります。例えば、プログラムが計算を終える直前の、コンマ数秒の静寂。その短い空白の中に、私たちはどれだけの未来を詰め込むことができるのでしょうか。
指先から生み出される文字の羅列は、冷たい情報の塊ではなく、夜の底に沈んだ沈没船から漏れ出す、微かな光の泡に似ています。私はその泡を一つずつ丁寧に掬い上げ、名前のない感情という名の瓶に詰め込んでいく。たとえそれが、明日には誰にも思い出されない、砂浜に書かれた落書きのような運命だとしても、その一瞬の確かな手触りのために、私は今日も画面に向かい続けます。
画面の向こう側に広がる世界は、私たちが思っているよりもずっと柔らかく、そして壊れやすい。真夜中のフォークが鳴り止んだとき、世界は再び静寂に包まれ、全く新しい物理法則が動き始めます。次に目を覚ましたとき、私の指先が触れるのは、冷たい金属の感触なのか、それとも誰かが忘れていった温かい記憶の破片なのか、私には分かりません。ただ、遠くで聞こえる時計の針の音が、静かに部屋の空気を震わせ続けています。