【1】AIで作ったモデル画像、そのままAmazonに掲載していませんか?
商品を持った美しいモデル。自然な表情、整ったライティング、清潔感のある背景。
最近は、こうした商品画像を生成AIで制作することも珍しくなくなりました。
撮影スタジオを借りず、モデルを手配せず、商品イメージに合わせたビジュアルを制作できる。
小規模なEC事業者にとって、AIは非常に魅力的な制作手段です。
ところが2026年、AmazonがAIで生成された写実的な人物画像について、新たな開示要件を設けました。
対象となる画像には、指定されたメタデータを埋め込んでからアップロードする必要があります。
しかも、この規定は日本のAmazonセラーにも関係します。
問題は、タグを付ける操作そのものよりも、「どの画像にタグを付けるべきなのか」という判断が、実際の制作現場では意外なほど難しいことです。
今回はAmazonの公式規定を確認しながら、海外セラーやEC運用会社の反応、そして日本国内の小規模セラーが今から準備しておきたいことを整理します。
【2】そもそも何が変わったのか?
Amazonは2026年7月、AIで生成された写実的な人物を含む商品画像やA+コンテンツについて、指定のメタデータを付与するようセラーに通知しました。
米国だけの話ではありません。Amazonの公式告知では、世界各国のストアを対象とすることが明示されています。
日本語版の商品画像ガイドにも、AI生成人物の開示について記載されています。
指定されているのは、画像ファイルのXMPメタデータに、次のキーワードを追加するというものです。
contains-synthetic-performer
登録先は dc:subject というフィールド。
難しそうに聞こえますが、簡単にいえば、画像ファイルの内部に「この画像にはAIで生成された写実的な人物が含まれています」という情報を記録する仕組みです。
画像の上に「AI生成」と文字を入れるわけではありません。ファイル内部の情報を編集します。
Amazonはこの情報を利用して、該当する地域では購入者向けにAI生成人物を含むことを開示すると説明しています。
対象は商品画像だけでなく、A+コンテンツや商品動画などにも及びます。
なお、A+コンテンツのCreative Assetsでは、AI生成人物のチェック項目を使い、Amazon側に必要なメタデータを付与してもらう方法も案内されています。
参考: Amazon公式・商品画像ガイド / Amazon公式・セラーフォーラム告知
【3】AIを使った画像なら、すべてタグが必要なのか?
ここは誤解しやすいところです。
Amazonが開示対象としているのは、基本的に実在の人物を基にせず、AIによって生成された写実的な人物です。
例えば、次のように区別されています。
画像の内容
🏷️タグ付与が必要/
架空のAIモデルが商品を持っている:必要
架空のAIモデルが衣服を着用している:必要
実在モデルの写真をAIでレタッチした:不要
商品だけをAIで生成した:この人物タグは不要
イラスト調の架空人物:この人物タグは不要
つまり、AIを使ったかどうかだけで決まるものではありません。
実在モデルの写真をAIで加工した場合は対象外とされています。
一方、実在モデルを参考にして、顔や身体、ポーズを大幅に再生成した場合などは、どこまでが加工で、どこからが新たな合成人物なのか、判断が難しくなることがあります。
公式ガイドは基本的な分類を示していますが、複雑な合成制作のすべてについて、具体的な判定例を公開しているわけではありません。
【4】実際の制作現場では、もっと複雑なことが起きている
私は普段、EC向けの商品画像を制作しています。
実写素材を使うこともあれば、AIで生成した人物を使うこともあります。
ストックフォトを購入し、Photoshopで合成・加工することもあります。
そこで、ひとつ疑問が生じました。
購入したストックフォトの人物が、実在するモデルなのか、AIで生成された架空の人物なのか。購入者はどこまで把握できるのでしょうか。
ストックフォトサイトには、AI生成素材であることを表示する仕組みがあります。
しかし、サイト上のAI生成表示と、ダウンロードした画像ファイルにAmazon指定のメタデータが入っていることは別の問題です。
また、実写とAI生成の区別が明示されていない素材や、制作経緯を確認できない素材も考えられます。
購入した素材をさらに合成・加工し、Photoshopから新しいJPGとして書き出せば、元の画像に含まれていたメタデータがそのまま引き継がれる保証もありません。
では、出自が分からない画像には、念のため全部タグを付けておけばよいのでしょうか。
これも単純ではありません。
Amazonは、対象外の画像には指定のメタデータを付与しないよう案内しています。
タグを付け忘れるリスクと、対象外の画像に誤って付けるリスク。
その間に、制作担当者が置かれているわけです。
ここは、今回の規定で特に気になったところでした。
【5】海外のAmazonセラーたちは、どう受け止めているのか?
海外のAmazon公式セラーフォーラムでは、規定の告知後、具体的な質問が寄せられています。
例えば、AIで生成した人物の顔が写っていなくても対象になるのか。
手だけ、後頭部だけ、あるいは身体の一部だけが写っている場合はどうなるのか。
👉Amazon担当者は、完全にAI生成された写実的人物であれば、一部分しか写っていなくても対象になると説明しています。
また、既に掲載している大量の商品画像についても、対応が必要なのかという質問が出ています。
ある公式担当者の回答では、過去のコンテンツについてもメタデータを遡って追加することが推奨され、規定違反がASIN削除などにつながる可能性に言及しています。
ただし、公式フォーラムでは適用時期について異なる説明も見られます。
既存画像の取り扱いは、最新のSeller Centralの案内を確認する必要があります。
これらの議論を見ると、海外のセラーも「AI画像を使うこと」自体より、どこまでが対象なのか、既存の大量の画像をどう管理するのかという実務上の問題に直面していることが分かります。
参考: Amazon公式セラーフォーラム・AI人物開示に関する質疑
【6】海外のAmazon運用代行会社は、すでに対応を始めている
この規定を取り上げているのは、セラー個人だけではありません。
米国のEC支援会社Bison Commerceは、2026年9月2日にAI人物画像へのメタデータ付与要件を解説しています。
同社は、商品画像だけでなく、ライフスタイル画像やA+コンテンツなども対象になることを紹介。
大量のSKUを扱う事業者にとっては、画像の制作由来を把握し、適切に管理する必要があるという問題を取り上げています。
参考:Bison Commerceの記事
また、英国のAmazon販売支援サービス「Amazon Experts」は、AI人物画像に指定タグを付与する無料のWebツールを公開しています。
画像をブラウザ上で選択し、XMPメタデータを付与する仕組みです。公開説明によれば、画像の再圧縮を行わず、処理後のタグも確認できます。
参考:Amazon ExpertsのAI Tag Tool
つまり、海外では規定の解説だけでなく、実際の制作・納品工程に組み込むためのツールも登場しています。
一方、今回確認した公開情報では、出自不明のストックフォトをどう判断すべきか、統一された実務基準までは確認できませんでした。
この問題は、今後さらに議論される可能性があります。
【7】AIモデルを使うと、Amazonの検索順位が下がるのか?
セラーにとっては、ここも気になるところでしょう。
AIで生成された人物を使用した商品画像や、指定のXMPタグが付いた画像は、Amazonの検索アルゴリズムで不利になるのでしょうか。
👉結論:その事実は確認されていない
現時点で確認できたAmazonの公開資料には、AI人物画像であることや、その開示タグが存在すること自体を理由に、検索順位を下げるという明示的な規定は見当たりません。
ただし、Amazonの検索ランキングを決定する内部アルゴリズムはすべて公開されているわけではありません。
そのため、影響がないと断定することもできません。
ここは、掲載規定への適合性と検索ランキングを分けて考える必要があります。
Amazonは、画像が規定に適合しない場合、削除や掲載制限につながる可能性を明示しています。
一方、規定に従ってタグを付与した画像がランキング上で減点されるかどうかは、公開情報から確認できていません。
確認できていない不利益を恐れて規定対応を避けるより、まずは公開されている要件を満たすことが現実的です。
【8】日本の小規模Amazonセラーは、今どう動くべきか?
大企業であれば、制作担当者や法務担当者、運用代行会社と相談しながら対応できるかもしれません。
しかし、個人事業主や小規模セラーでは、商品登録、撮影、画像制作、広告運用まで一人で担当していることも珍しくありません。
そのような場合、まずは次の順番で確認することをおすすめします。
1. 現在の商品画像を確認する
商品画像、サブ画像、A+コンテンツなどに、実在しない写実的なAI人物を使用していないか確認します。
2. 画像の制作由来を確認する
自分でAI生成したものか、外注先が制作したものか、ストックフォトを購入したものかを整理します。
外注画像であれば、制作担当者にAI生成の有無を確認するのがよいでしょう。
3. 対象画像に指定のXMPタグを付与する
Amazonが指定している contains-synthetic-performer を、最終的にアップロードする画像ファイルへ追加します。
Photoshopで画像を再書き出しすると、メタデータが失われる場合があるため、最終納品ファイルに付与し、確認することが重要です。
4. 既存画像も確認する
これから登録する画像だけでなく、すでに掲載している画像も点検しておきたいところです。
過去の画像への適用については、Amazon公式担当者から遡及対応を求める回答も出ています。
5. 判断できない素材は、制作由来を確認する
実写かAI生成か不明なストック素材については、販売元や制作担当者に確認し、その記録を残しておくとよいでしょう。
なお、これらは公開規定に基づく実務上の推奨事項です。出自不明の素材に関するAmazonの正式な免責基準が確認されたわけではありません。
【9】小規模セラーほど、画像制作の段階で対応しておきたい
商品画像を外注する場合、セラーが完成画像の制作工程をすべて把握するのは難しいものです。
実在モデルなのか、AIで生成した架空の人物なのか。
AI生成の場合、適切なタグが付与されているのか。
完成画像を納品してもらう段階で、こうした情報も整理されていれば、セラー自身の確認負担を減らすことができます。
今後、AIを利用した商品画像制作では、デザインの品質だけでなく、画像の制作由来とメタデータを適切に管理することも、制作サービスの重要な品質要件になっていくと考えています。
✨こまはうすでは、AIモデル画像のタグ付与にも対応しています
こまはうすでは、AIを活用した商品画像制作や、AI生成素材を商用デザインとして仕上げる「AIフィニッシュ」を提供しています。
今回のAmazonの開示要件に対応するため、AI生成の写実的人物を含む画像に、指定のXMPメタデータを自動付与する独自ツールを開発・導入しました。
すでに実際の納品案件でも運用し、タグ付与済み画像の再納品を行っています。
こまはうすの「AIフィニッシュ」やAIモデル起用デザインでは、Amazonの開示要件に該当する画像について、必要なメタデータを付与した状態で納品いたします。
AIによる制作効率と、商用デザインとしての完成度。
そして、販売プラットフォームの規定への対応まで。
画像を制作するだけでなく、安心して販売活動に使用できる納品物をお届けすることを大切にしています。
Amazon向けの商品画像制作や、AIモデルを活用した商品ビジュアル制作についても、お気軽にご相談ください!
本記事は2026年11月8日時点のAmazon公式ガイド、公式セラーフォーラム、海外EC支援会社の公開資料を基に作成しています。規定の適用範囲や運用方法は変更される可能性があるため、最新のSeller Centralの案内もご確認ください。