専門的な内容を書いていると、「必要な情報をきちんと説明したい」と考えるあまり、一つの文に多くの情報を詰め込んでしまうことがあります。
特に、装置やシステム、業務の手順などを説明する文章では、
「データを取得する」
「基準値と比較する」
「異常を判定する」
「結果を通知する」
といった複数の動作を、一文で説明しがちです。
内容が正しくても、一文に情報が集中すると、読み手は頭の中で順番を整理しながら読むことになります。
そこで今回は、専門的な内容を変えずに、一文を分けて読みやすくする方法を紹介します。
こんな文章になっていない?
次のような文章になっていないでしょうか。
* 一文の中に複数の動作が入っている
* 「~して、~したうえで、~すると」と説明が続く
* 主語と述語が離れている
* 一文を最後まで読まないと、説明の全体像がつかみにくい
専門的な文章では、専門用語そのものに注意を向ける必要があります。
そのため、文章の構造まで複雑になると、さらに読みにくくなります。
Before
たとえば、装置の動作を説明する文章なら、次のような書き方があります。
> この装置では、センサーが検出した振動データを制御基板が一定間隔で取得し、あらかじめ設定した基準値と照らし合わせて異常の有無を判定したうえで、異常が認められた場合には作業員の端末へ通知を送信するとともに、履歴として記録を残します。
この一文には、主に次のような動作が含まれています。
1. 振動データを取得する
2. 基準値と照らし合わせる
3. 異常の有無を判定する
4. 通知を送信する
5. 履歴を記録する
複数の処理が一つの文の中で連続しているため、読み手は内容を整理しながら読む必要があります。
どこを改善する?
ポイントは、一つの文に含まれている動作を、工程ごとに分けることです。
ただし、単純に「一文=一動作」にすればよいわけではありません。
関連性の高い動作まで細かく分けると、かえって文章が途切れ途切れになり、読みにくくなることがあります。
大切なのは、意味のまとまりごとに区切ることです。
改善の考え方
次の3段階に分けて考えると整理しやすくなります。
① 最初の処理を説明する
最初に行われる動作を、一つのまとまりとして説明します。
② その結果を受けた処理を説明する
次に行われる処理を、別のまとまりとして説明します。
③ 最後の処理・結果を説明する
最終的な対応や結果を、さらに別のまとまりとして説明します。
つまり、文章を短くすることではなく、読み手が処理の流れを追いやすい単位に分けることがポイントです。
After
先ほどの文章を整理すると、次のようになります。
① この装置では、センサーが検出した振動データを、制御基板が一定間隔で取得します。
② 取得したデータは、あらかじめ設定した基準値と照らし合わせ、異常の有無を判定します。
③ 異常が認められた場合は、作業員の端末へ通知を送信し、履歴として記録を残します。
①〜③は、関連する動作をひとまとまりにして区切っています。
文=1動作にすると、かえって細切れになるためです。
内容そのものを大きく変えたわけではありません。
変えたのは、複数の処理を一つの文に詰め込まず、意味のまとまりごとに区切ったことです。
なぜ伝わりやすくなる?
大きな理由の一つは、主語と述語の関係を追いやすくなるからです。
Beforeでは、
「センサーが検出したデータを……取得し、……照らし合わせて……判定したうえで……通知を……記録を……」
と、一つの文の中で動作が連続しています。
Afterでは、
「装置がデータを取得する」
↓
「データを基準値と比較する」
↓
「異常があれば通知・記録する」
という流れが、文ごとに確認できます。
また、1文=1つの主要な処理に近づけることで、読み手が前の部分を読み返さなくても、次の工程へ進みやすくなります。
専門用語を減らせない文章でも、こうした構造の整理によって読みやすさを高めることができます。
まとめ
専門的な文章が読みにくいときは、専門用語の多さだけが原因とは限りません。
まず確認したいのが、一つの文に複数の動作や情報を詰め込んでいないかという点です。
文章を見直すときは、
* 一文の中に複数の工程が入っていないか
* 「~して、~して」と動作が続いていないか
* 主語と述語が離れすぎていないか
* 意味のまとまりごとに文を分けられないか
を確認してみましょう。
専門的な内容を削らなくても、説明する単位を整理するだけで、読み手が理解しやすい文章に変えられることがあります。
「内容は合っているのに読みにくい」を見直したい方へ
文章添削では、誤字脱字だけでなく、
「一文が長すぎないか」
「説明の順番は分かりやすいか」
「専門的な内容を読み手が追いやすい構成になっているか」
といった点も確認できます。
仕事の説明文や技術文書など、自分では内容を変えたくないけれど、文章の構造や伝わり方を見直したいという方も、お気軽にご相談ください。