月初に集計が上がってきて、先月完了した現場の粗利が思っていた額に届いていないと分かる。工事はとうに終わっている。外注の請求も材料の伝票も、全部通した後だ。この時点で打てる手は、次の現場の見積りに反映することくらいしか残っていない。
台帳そのものは毎日つけている。日付、現場名、業者、金額。それなのに、現場ごとの残りがその場では出ない。集計しようとすると、まず現場名の表記を揃えて、月をまたいだ請求を拾い直して、まだ動いている現場を除く。この下ごしらえに時間がかかる。
当方はExcelや紙で回している管理業務をWebアプリに移す仕事をしていて、工事台帳もその一つだ。預かって最初に見るのは合計の式ではなく、1行の持ち方になる。締めまで利益が見えない原因は集計の手順ではなく、日々入れている行のどこかが欠けていることにある。欠けたまま溜まるから、毎回同じ下ごしらえが必要になる。
「締めてから分かる」の中身
日々つけているのに月末まで出ない、というのは裏を返すと、日々つけている行がそのままでは集計に使えないということだ。使えない理由は三つに分かれる。どの現場のものか特定できない行があること、いつの分として数えるかが決まっていないこと、まだ終わっていない現場と終わった現場が同じ表に混ざっていること。
入力を速くしても、この三つは解けない。行が溜まる速度が上がるだけだ。逆に三つが片づいていれば、集計は画面を開いたときに明細から数え直すだけで済む。月末を待つ理由がなくなる。順に見ていきます。
現場は番号で持ち、名前は表示のためだけに使う
最初の躓きは、同じ現場が別物として集計されることだ。「○○様邸新築」「○○邸 新築」「○○様邸」。打つ人が違えば揺れるし、同じ人でも月が変われば揺れる。工期の途中で呼び方が変わることもある。
対策は、現場名を毎回打たせないこと。現場のマスタを一つ作り、原価の行はそこから選ぶ形にする。行に保存するのは現場の番号で、画面に出す名前は表示のたびにマスタから引く。名前は表示のためだけに持つ。こうしておけば、後から現場名を正式名称に直しても過去の集計は動かない。名前を直しただけで数字が変わる状態のほうが、あとで怖い。
番号は社内の工事番号をそのまま使えばいい。新しい体系を作ると、現場では旧番号で呼び続けるので二重管理になる。台帳の中だけで通じる番号を増やしても、誰も覚えない。
区分より先に、どの現場に付けるか
入力画面を作るとき、材料・外注・労務の区分を先頭に置きたくなる。分類しないと集計できないと思うからだ。ただ、入力する人が詰まるのはそこではない。
請求書を見て、これは材料なのか外注なのかで迷う。迷っている間に電話が鳴って、行を保存しないまま画面を閉じる。消えるのは区分だけではない。金額も現場も日付も一緒に消える。区分は後から一覧で直せるが、現場の紐づけが無い行は復元できない。何の伝票だったか、翌月には誰も覚えていない。
未分類のまま保存できるようにしておくと、月末に「区分が未分類の行」だけを絞り込んで、まとめて直せる。分類という作業を、入力の邪魔にならない場所へ動かすということだ。
原価と請求で、日付の動き方が違う
集計を月末へ押し出しているもう一つの原因が日付だ。工事台帳には日付が何種類も出てくる。材料を使った日、業者から請求書が届いた日、こちらが支払った日、施主へ請求した日、入金があった日。行ごとにどれかが入っている、という状態になりやすい。
同じ現場の粗利が、月をまたぐたびに上下する
遅れて届いた外注の請求が翌月に落ちれば、先月は原価が少なく見え、今月は沈む。現場はもう終わっているのに、数字だけが後から動く。
決め方は一つで、計上の基準日を先に決めて全部そこへ揃える。完成した月で見るのか、発生した月で見るのか。どちらが正しいという話ではなく、途中で変えないことのほうが効く。届いた日も支払った日も、持っておく分には構わない。集計に使う日付を一つに固定する、というだけだ。
請求が遅れる業者があるなら、発注の時点で概算の行を起こしておく手もある。金額は未確定のまま置き、請求書が届いたら確定に差し替える。締めの直前に拾い直す作業が減る。
進行中と完成を、同じ集計に混ぜない
工期が月をまたぐ以上、月末の表には終わった現場と、まだ動いている現場が並ぶ。ここを一つの合計で見ると、粗利率が毎月ふらつく。着工したばかりの現場は原価だけが立って売上がないので、率を押し下げるからだ。
現場のマスタに状態の欄を持たせて、見積中・受注・着工・完成・請求済みのように分ける。集計の画面で状態を切り替えられるようにすれば、完成した現場の粗利と、進行中の現場の投入額を別々に見られる。混ぜて眺めていた頃より、読めるものが増える。
追加工事は、新しい現場として起こさないほうがいい。番号を別に振ると、元の現場の粗利からその売上と原価が抜け落ちる。元の現場にぶら下がる明細として持ち、合算と単独の両方を出せる形にしておく。施主への請求は分けたい、社内の採算は通しで見たい、という要望はだいたい同時に来る。
最初に作る画面は三つ
台帳をアプリに移すという話になると、請求書の様式、工事写真、原価管理表の印刷まで一度に広がる。ただ、最初に動かす画面は三つで足りる。
この三つが回り始めると、月末を待たずに現場ごとの残りが見える。帳票はその後でいい。紙に出すものを先に作ると、画面が帳票の形に引っ張られる。印刷の都合で入力欄の並びが決まってしまい、集計しにくい持ち方のまま固まる。
今の台帳をそのまま移すのか、持ち方から変えるのかで作る量は変わる。これは現物を見ないと判断できない。Excelの台帳を1枚見せてもらえれば、どの列がそのまま移せて、どの列を分解する必要があるかはお伝えできます。
当方は元金融系のシステムエンジニアで、締めた後の数字が動かない作りや、合計を保存せず明細から数え直す作りは、そこで身につけたものだ。ココナラでは、Excel・紙で回している管理業務を買い切りのWebアプリにする仕事を受けている(サーバーは依頼者さま名義でご契約いただくので、当方へお支払いいただく月額はない)。いま何に時間がかかっているかが分かれば形にできるので、まずはココナラのメッセージからご相談ください。