更年期になると、突然、顔や首が熱くなったり、汗が噴き出したりすることがあります。 これは「ホットフラッシュ」と呼ばれる症状です。
一般的には、女性ホルモンであるエストラジオール(エストロゲンの一種)の減少が原因と説明されますが、なぜホルモンが減ると急にほてりや発汗が起きるのでしょうか。
西洋医学が捉えるメカニズム:体温調節の過敏化と神経伝達の変化
私たちの体温は、脳の視床下部という場所でコントロールされています。
通常の体温調節では、体温が上がると視床下部がそれを感知し、皮膚の血管を拡張させたり発汗を促したりして放熱します。そして放熱によって体温が下がると、その情報が再び視床下部へ戻り、熱を逃がす反応を抑えます。これが、体温を一定に保つための「負のフィードバック」という仕組みです。
ところが更年期になりエストラジオールが減少すると、この体温調節の仕組みに変化が生じます。
エストラジオールの低下に伴い、視床下部にあるキャンディニューロンをはじめとした神経伝達に変化が起こり、体温調節の許容範囲が狭くなってしまうと考えられています。
その結果、体温が実際には大きく上昇していないにもかかわらず、急激な発汗や血管拡張が起こります。
通常なら「負のフィードバック」によって穏やかにコントロールされるはずの反応が、一気に発作的に引き起こされてしまうのです。
しかも、その反応は持続的ではなく、通常は数分程度で収まります。
「なぜそのタイミングで急に発作が始まり、なぜ数分で収束するのか」といった詳細なメカニズムは、西洋医学でもまだ完全には解明されていません。
東洋医学の視点:全体の中で見る「身体の試み」
西洋医学が、症状が起きている局所の組織や神経、ホルモン、分子などの仕組みを解き明かしていくのに対し、東洋医学はその症状を「身体全体の働きやバランス」の中に位置づけて捉えます。
東洋医学の視点では、ホットフラッシュは、
「弱った経絡(けいらく)の一部分に一時的に気の流れが滞り、その滞りを身体が何とかして解消しようと奮闘しているサイン」と捉えることができます。
つまり、単なる不調ではなく、身体が自ら気の循環を取り戻そうとして起こしている「調整の試み」でもあるわけです。
気の巡りを助けるための養生法
滞った「気」の巡りを無理なく整えてあげることが、身体の治ろうとする働きを助ける一番の近道になります。
• 深呼吸とリラックス: 気はストレスや緊張で滞りやすくなります。一呼吸置いて息を深く吐き出してみましょう。
• ツボ押しで気を引き下げる: のぼせを感じるときは、足元のツボ(太衝や湧泉など)をやさしく刺激して気を下に誘導します。
• 足元を冷やしてしまうと気は昇りやすくなります。厚い靴下やレッグウォーマーなどを活用して下さい。
「自分のほてりはどうケアすれば良いか分からない」「体質に合った養生を知りたい」という方は、ご自身の身体のサインを一緒に紐解いてみませんか😊