自然治癒力が具体的にどのように働くのかというメカニズム、これを東洋医学の視点から見ると、とても人間味あふれる「こころと身体の営み」が浮かび上がってきます。
例えば、体内の細胞や組織が損傷してしまったとき。それを元通りに修復するためには、酸素や栄養を届ける「血(けつ)」が絶対に欠かせません。
しかし、私たちの身体は、コンピューターのように「ちょうどぴったりの量」の血を精緻に造り、ピンポイントで送り届ける…といった器用な調整はできません。
修復を確実に成功させるため、どうしても適量より多めの「過剰な血」をその場所へ送り届けることになります。
この、修復のために集まった過剰で一時的な「血」の滞りも、東洋医学では一種の「瘀血(おけつ)」と呼ぶことができます。
そして自然治癒力がうまく回り始めると、身体は
「修復のために瘀血を造る」⇒「傷を修復し、余分な血を巡らせて排泄・処理する」
というプロセスを何度も何度も繰り返していきます。
この小さな修復のプロセスを重ねることで、傷ついた部位はもちろん、そこを司っている「経脈(けいらく:気の通り道)」も徐々に整えられ、だんだんとよくなっていくのです。
東洋医学では、経脈とそれが司る臓器や組織は「持ちつ持たれつ」の関係にあると考えます。
内臓や組織が丈夫になれば経脈も強化され、経脈が整えば内臓も元気になります。
先日、NHKの「明日が変わるトリセツショー」という番組でも、痛みなどの目立った症状がないときでも、毎日ツボ押しを継続することを勧めていました。
まさにこれと同じ理屈です。毎日ツボ刺激を与えることで、経脈の弱っていた部分の修復を日頃から手助けすることができる。
その結果、経脈がコントロールしている五臓六腑の働きも改善され、それまで空回り気味だった自然治癒力も、スムーズに回り始めるわけです。
単に症状が出てから対処するのではなく、日々のツボ押しなどで身体が自ら治ろうとする力をバックアップしていく。
こうした日々の積み重ねこそが、気の巡りの良い健やかな身体をつくっていきます。